清寿司の日々

清寿司の主人が綴る、気が向いたら出す新聞-日々のタネ、酒、客との対話-

秋刀魚・スミイカ・ダルマイカ

2011-08-21 16:41:48 | Weblog

 秋刀魚がどんどん美味しくなってきました。北海道の厚岸から大型船が出るようになって、型の良い秋刀魚が水揚げされています。9尾で2キログラムが一番大きいですね。これですと1尾200グラム以上ありますから、脂がのっていて実に美味しいのです。サイズが小さければグラム単価が安くて助かるのですが、寿司に使うには小さいし、脂ののりも今一なので、どうしても値の張る大型の秋刀魚を仕入れるのです。それでも、お客さんが美味しいと言って喜んで下さいますと、こちらも嬉しいですね。

 14日から17日まで河岸が休み-月遅れのお盆なので、殺生はしない-だったので、その影響から品揃えが悪いのですが、今のお勧めは秋刀魚のほか、スミイカとダルマイカです。

 スミイカは、釣り上げた時などに大量の墨を吐くことからついた名だと言われますが、捌くときでも墨袋を破ったりしたら大変、手もまな板も服もそこいら中真っ黒になります。パスタ屋さんならこの墨を使ってイカスミパスタにしますが、寿司屋では墨入りの塩辛にする以外はあまり利用法はなさそうです。スミイカはコウイカとも言われ、背側に舟と呼ばれる舟形をした石灰質の甲を持っています。胴の長さは余りありませんが、ずんぐり体形で、身が厚く、生で刺身・握り寿司にすると程良い甘さがあって美味しいだけでなく、スルメなどにも加工される烏賊です。この時期のスミイカは、出始めから間がないので、まだほんの小さな体形で仕込みが大変ですが、とても柔らかく、甘みもあって、お客さんに喜ばれています。

 ところで、夏が旬のアオリイカに代わって出てきたダルマイカですが、ダルマイカとはどんな烏賊だかご存じですか。ダルマイカは、アカイカ・シロイカ・マルイカ・ブドウイカなどとも呼ばれるそうです。でも、市場ではその姿が丸みを帯びていることから通常「ダルマイカ」といわれるのです。ところが、調べてみますと、ダルマイカの標準和名を「ケンサキイカ」とする説と「ブドウイカ」だとする説、あるいはダルマイカはケンサキイカの亜種だとする説、ケンサキイカとダルマイカは同じ種類で小さいものをダルマイカと呼ぶという説、市場ではケンサキイカと秋から冬にかけてのブドウイカをあまり区別しないので、違う種だが同様に扱っているという説などもあり、何が何だか良く分かりません。

 ただ、ケンサキイカは大きいものでは胴長が40センチ前後になりますが、ダルマイカとされるものは、胴長が大きくて25センチほどですし、ケンサキイカよりずんぐりした体形です。でも味はどちらもかなり甘みがあって旨いですね。何だか良く分からなくても、美味しいダルマイカの出始めですので、是非食べにお寄り下さい。


湘南の夏の味覚、ショッコ

2011-08-10 13:49:53 | Weblog

 寿司屋でお客さんに喜ばれる白身魚といえば、シマアジ、カンパチ、ブリ、ヒラマサが代表的です。これらのうち、この時季に美味いのはシマアジ、カンパチ、ヒラマサ。皆アジの仲間ですが、何れも値段は高いですね。でもカンパチの幼魚なら大丈夫です。カンパチは小型でも脂があって美味しいのに、値段はさほど高くないので、皆さんに歓迎されているんでが、今年は・・・。

 毎年この時季には、湘南の鎌倉近くの海で、ショッコ(シオッコ(汐っ子)・ショゴなどとも)と言われるカンパチの子供が獲れ、朝水揚げされます。漁師は「夏を告げる魚」と言いますが、今年は未だ揚がりません。毎日こんなに暑いのに、一体どうしたのでしょう。私の店、清寿司では常連さん方が楽しみにしているのですが、海の中に何か変化があったのでしょうか。

 今年は、地震・津波、台風、大雨などの災害があり、寿司種が今いち少ないので、困っています。それでも毎日の暑さに拘わらず、秋の旬種も入って来るようになりました。秋刀魚は大分大きくなり、脂がのって美味しくなっています。スミイカも3センチ位のものが入って来ました。これもシンコと同じくらい細かい仕込み作業で大変なのですが、食べればイカではないような柔らかさ、甘さがあり、口の中でとろける美味さがあります。暑くてお客様がやや少ない今の時期、楽しい話をしながら、ゆっくりと旨い酒を飲み、旨い寿司をつまんでいただきたいですね。そうすれば、暑さに負けず、元気に毎日を送れることでしょう。