セイコガニをご存じですか。ズワイガニの雌なのですが、雄は有名な松葉ガニや越前ガニです。産地によって雄も雌も名が違いまして、雄は山陰の島根から丹後にかけて松葉ガニ、福井で越前ガニ、雌は山陰でセイコガニ、丹後でコッペガニ、福井あたりで香箱ガニと呼ばれます。もっとも産地は、山陰から福井にかけてだけでなく、日本海側はほぼ全域、太平洋側は銚子以北でとれます。海外でもグリーンランドから北米にかけての大西洋、アラスカ沖の北極海、北米太平洋沿岸からベーリング海、チリ沿岸太平洋、オホーツク海などでかなり獲れます。
雄と雌とは値段が天と地ほども違っていて、雄はブランド品の松葉ガニ・越前ガニだけでなく、ロシアなどからの輸入が国内水揚量の5~10倍もあります。一方安い方の雌は、全量国内水揚げです。
雄が有名でも、雌も内子が旨いのでこの頃よく知られるようになってきました。市場でセイコガニが出ています。もっとも産地は福井だというので、正しくは香箱ガニですが、ここは市場の表記のままにしておきましょう。11月6日に漁が解禁になり、形の良いセイコガニが順調に入荷しています。その漁期は2ヶ月と雄より短い漁期でして、食べられる日数も少ないのです。
雌は雄より形が小さいのですが、味が悪いわけではないのです。塩茹でにし、甲羅の中のミソ子とも言われる卵が内子、ふんどしと言われる腹側に付いてる卵が外子で、どちらも美味しいのです。身は滑らかで甘くたまらない味ですが、小さいので食べられるところが少ないうらみがあります。少し面倒ですが、旨い物を食べるのに少々の手間暇をかけるのは仕方ないので、細い足の身まで食べていただきたいですね。下の写真がセイコガニです。なんとなく旨そうですね。美味しいものが食べられるうちに、是非おこし下さい。