レッドゾーン(上) (講談社文庫) | |
真山仁 | |
講談社 |
中国が莫大な外貨準備高を元手にファンドを立ち上げ、狙いを定めたのは日本最大の自動車メーカーアカマ自動車だった。中国の買収王から共闘を持ちかけられた鷲津政彦はこのメガディールにどう関わるのか。亡くなった旧友アランの死の真相も絡んで事態はますます混沌としていく。
「ハゲタカ」シリーズ第三作。回を重ねる毎に話が大きくなっていくこのシリーズ、とうとう米中日の国家的な政治が絡んだ壮大な物語になり、フィクションの色彩が強くなってきた。とはいえ、企業の抱える事情や産業的な構図、国家間の関係など随所にリアリティを高める演出が施されており、臨場感を感じながら読み進むことが出来る。主人公の鷲津やパートナーのリンといった魅力あるレギュラーキャラクターや、読者の引き込みページを捲らせる語り口の巧みさも相変わらず。しかし、ここまで仕掛けがでかくなると、もう次は苦しいかな。
レッドゾーン(下) (講談社文庫) | |
真山仁 | |
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