あ/た/ま

聴く読む観る買うの備忘録

Children's Songs/ Chick Corea

2009-09-30 | 音楽
Children's Songs

Polygram

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色々なアルバムの1曲として少しずつ発表されてきたChildren's Song を集めた小品集。シンプルなピアノソロばかり20曲と、バイオリンとの共演のAddendum(#20)が納めてある。Chick Corea というと、様々なアーティストと共演する冒険的な演奏家という印象があったが、こうしたシンプルなフォーマットでも美しい作品を仕上げるのは流石。やはり自力のある人なのだろう。端正なタッチと追い易いメロディが印象的で、爽やかな朝に気楽に聞きたい1枚。個人的には本番の中では異色な締めくくりの1曲が最も気に入った。

Concerts (Bregenz) / Keith Jarrett

2009-09-29 | 音楽
ブレゲンツ・コンサート
キース・ジャレット
ユニバーサル ミュージック クラシック

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1981年にドイツのブレゲンツで収録されたソロ・コンサートのライブ盤。アナログレコードではミュンヘン公演とセットでリリースされたらしいが、CDはブレゲンツのみである。同じソロコンサートとはいえ、ケルンに代表される初期のものとは大分雰囲気が異なる。クラシックっぽい表現が多くみられることと、ピアノを打ち据えるようなアグレッシブなタッチが印象的だ。アグレッシブさ故のことかもしれないが、Keithがピアノ以外から発する音(お馴染みの唸り声や床を踏み鳴らす音など)が大きいというか、正直うるさいのが残念。また、ソロとしては珍しく作曲したと思われるものが含まれているが、これがなかなか良い。特に美しい#4は出色と思う。これで本人がもう少しお行儀良くしてくれていれば、更にピアノの音色に集中できるのだが。

1 Part I
2 Part II
3 Untitled
4 Heartland

VATTENSAGA / TINGVALL TRIO

2009-09-28 | 音楽
VATTENSAGA(ヴァッテンサガ)(直輸入盤・帯・ライナー付き)

DISK UNION(原盤:ドイツ:SKIP RECORDS)

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スェーデン出身の Martin Tingvall 率いるピアノトリオ(因みにベースはキューバ、ドラムはドイツの出身のようで、珍しい組み合わせだ)の最新盤。前作、Norrが大変気に入ったため、早速入手してみた。前作でも際立っていたメロディラインの美しさ、キャッチーさは相変わらずだが、本作ではスピード感のある曲も加わってアルバムを通して聴いた際のヴァラエティが広がっている。NORRでは、ゆったりとした曲がほとんどだったこともあって耽美的な印象であったが、曲調の変化に伴い情熱的ともPops的とも言える印象を覚えた。Tingvallの生み出すキャッチなーメロディは躍動感のあるリズムと非常に相性が良く、耳心地の良いピアノトリオの中で彼らのアイデンティティを確立する上で有効な切り口であるという気がした。本作を聴いていると、彼らがポストE.S.T.的な文脈で名前を挙げられるのもなるほどな、という感はある。

MARTIN TINGVALL(p), OMAR RIDRUGUEZ(b), JORGEN SPIEGEL(ds)

1. VAG IN
2. VATTENSAGA
3. VALSANG
4. SUITE KUHLA
5. TVEKLOST
6. HAJSKRAJ
7. RODBLA
8. UNDER YTAN
9. PINOCCHIO
10. MAKUSCHLA
11. VAGOR
12. FLASKPOST
13. VAG UT



武士道シックスティーン / 誉田哲也

2009-09-27 | 
武士道シックスティーン
誉田哲也
文藝春秋

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高校剣道部の二人が、競い合いながらお互いを理解し、成長してゆく青春小説。
著者といえば、「ストロベリーナイト」に始まる姫川玲子シリーズ、「ジウ」等の一連の警察小説の印象の強いが、本作は珍しく誰も殺されない青春小説である。舞台が剣道部なので警察官関係者は若干登場するものの、至って爽やかな青春小説に仕上がっている。「一瞬の風になれ / 佐藤多佳子」「ひかりの剣 / 海堂尊」を足して2で割ったような雰囲気の作品になっている。姫川シリーズでも感じたメリハリのあるキャラ設定とテンポの良いストーリー運びは今回も健在で、舞台が爽やかになったこともあり、更に違和感無く発揮されている。元来テレビ的な組み立ての作品を描く人だと思うが、本作に付いては実際、鳴海璃子/北乃きい主演で映画化されるらしい。

Omunibus/ Ernst Glerum

2009-09-26 | 音楽
Omnibus One (輸入盤 帯/ライナー付)

DISK UNION

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なんとも言えぬ味わいのあるレトロなバスのジャケットを見て、手元に置いておきたいという誘惑に駆られ、聴きもせず衝動買い。ジャケを眺めて満足しつつ満を持して聴いてみたらこれが想像以上にいい。ジャケ抜きでも購入に値する1枚であった。特に私好みの重くゴリゴリしたベースと、抜けのいいドラムの緊張感に富んだ掛け合いが最高に格好良く、他では得られない雰囲気を醸している。

1.More or Less Serious
2.Omnibus
3.Make Believe Dimples on the Beach
4.Locate
5.Everlasting Soul
6.Naima
7.Fly Over
8.Engineous
9.Pippin'
10.Slam Blues
11.Cement

Ernst Glerum (p,b) Clement Van Der Feen (b) Owen Hart Jr. (ds)
Han Bennink (snare-ds)

The Beauty of the Rain/ Dar Williams

2009-09-25 | 音楽
The Beauty of the Rain

Silverline

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Chris Botti参加のタイトル曲(#4)をたまたまiTunesで聴いて、ジャケの格好良さと中古版の安さもあり衝動買い。印象的な声質を持っており、$4や#11など美しい仕上がりの曲もあるのだが、通して聴いてみると割りと平凡なFlok/Pop系SSWというか、決して悪くないのに印象が薄い。それでも#4は突出しており、この曲だけを聴くと、もっと飛びぬけたアルバムを作れそうなのに少々惜しい。プロデューサー次第で化けるアーティストかもしれない。

1. Mercy Of The Fallen
2. Farewell To The Old Me
3. I Saw A Bird Fly Away
4. The Beauty Of The Rain
5. The World's Not Falling Apart
6. The One Who Knows
7. Closer To Me
8. Fishing In The Morning
9. Whispering Pines
10. Your Fire Your Soul
11. I Have Lost My Dreams

柿色のベビーベッド / 赤川次郎

2009-09-24 | 
柿色のベビーベッド (光文社文庫)
赤川次郎
光文社

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 毎年、主人公が1歳ずつ歳を重ねてゆくシリーズ物。15歳から始まって本作で22作目である。シリーズが始まった頃に著者の作品を読み漁っていた名残で今でも年1冊これだけは手にとってしまう。22作も続いていると色々な登場人物や人間関係があり、本作でもそこここに断片的に登場しているが、そうした要素を詰め込みつつも毎回のテーマを完結させる手腕は流石。しかし、作品を重ねる毎にシリーズとしての比重が大きくなっる一方、1話毎のテーマの作りこみが薄くなっている気がする。歳を重ねる主人公達の成長を追う楽しさはあるものの、事件としての驚き、納得感が薄い。

 ここ数年、この人とあの人どういう関係だっけ?と登場人物の記憶が曖昧になっているケースが増えてきていたのだが、そういう人も私ばかりではなかったのか、下記のようなガイドブックも発売された。その中に収められている超短編を読むとシリーズ中の登場人物の謎が一つ明らかになる。私も前から少々きになっていたのでスッキリ。
夢色のガイドブック―杉原爽香、二十一年の軌跡 (光文社文庫)
赤川次郎
光文社

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11:11 / Rodrigo Y Gabriela

2009-09-23 | 音楽
11:11

ATO

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メキシコ出身の兄妹によるアコースティックギターデュオ。ライブ盤を挟んで2枚目のオリジナルアルバムである。ユニット名を冠したデビューアルバムを店頭で聞いて「ギター2本でここまで表現できるのか!」と衝撃を覚えて即買いしたのも記憶に新しい。聞く側の驚きこそ当時程ではないが、実力とオリジナリティは相変わらず。フラメンコのような情熱とロックの躍動が同時に味わえる。聞いているだけで全身が覚醒し活力が漲るような凄まじい音は、他のアーティストには中々求めることが出来ない。敢えて前作との違いを探してみるとハードロック寄りの楽曲が増えているのと、曲によってはエレキギターやピアノを用いるなど表現の手法をやや広げているところだが、むしろいい意味で変わらない部分の方が印象的。発売と同時に試聴もせずに入手したが、後悔一切無し。因みに1,500足らずの輸入版なのにDVD(リハーサルやインタビュー等)付で更にお得。それにしても彼等の作品にはいつも独特のセンスの邦題が付く(今回は「格闘弦」)が、これはどうにかならないものか・・・

1. Hanuman
2. Buster Voodoo
3. Triveni
4. Logos
5. Santo Domingo
6. Master Maqui
7. Savitri
8. Hora Zero
9. Chac Mool
10. Atman
11. 11:11

Muse / Yaron Herman Trio

2009-09-22 | 音楽
Muse

Sunnyside

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Keith Jarrett や Brad Mehdau を引き合いに出してその才能を称えられることの多い若手実力派ピアニストの最新作。イスラエル出身でフランス在住という人らしい。ピアノトリオに弦楽四重奏を加えた変則フォーマットでのリリースである。美しいタッチと溢れるエネルギーを兼ね備えた演奏を聴いていると冒頭の二人の名前を挙げたくなるのも分かる気がする。若者らしく、斬新なアプローチを試みているが、ただの実験に終わらず楽しんで聴ける作品に仕上がっているのは実力故だろう。あくまでピアノ主体のトリオ(+α)であるが、飽きずに、むしろのめり込んで最後まで聴ける。今後の活動に注目したい人物だ。

1 Muse
2 Con Alma
3 Vertigo
4 Lamidbar
5 Perpetua
6 Isobel
7 Joya
8 Lu Yehi
9 Twins
10 And The Rain
11 Rina Balle

DUPLICITY: デュプリシティ

2009-09-21 | 映画
デュプリシティ [DVD]

ジェネオン・ユニバーサル

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業界トップシェアを争う二つの企業が、一方は新製品開発の秘密を守るために、他方はその秘密を奪うために元CIA/元MI-6の敏腕スパイを雇い情報戦を繰り広げるが、雇われた二人も別の野望を持って動いていた-。雇われた二人のスパイを演じるのはJulia Roberts とClive Owen。企業と企業の騙し合い、スパイと企業の騙し合い、そして過去からの浅からぬ因縁の在りそうな二人のスパイの騙し合いが並行して進むクライムサスペンスであると同時に、スパイであるが故に相手を信じられない恋人同士の恋愛の物語でもある。現在進行形の企業スパイ劇の合間に二人の過去の経緯がフラッシュバック的に挿入される構成のため、設定を頭に入れていくのが大変。この分かりにくい脚本が難点ではあるが、これが好きな人もいるのだろう。複雑な構成にストレスを感じつつも、主演の二人の醸しだす緊迫感と洒落た雰囲気で結局は最後まで引っ張られるのは流石。解き明かそうと構えなければ期待通りに楽しめる作品。