舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

幻想劇団◎経帷子の「月の雫に濡れながらゆっくりと眠る方法」を観て来ました!

2011-11-16 22:55:26 | Weblog
まつもと演劇祭で観劇した舞台の感想を書いていこうのコーナー!
昨日の「劇団山脈」に引き続き、今日は「幻想劇場◎経帷子」さんの舞台の感想です!



幻想劇団◎経帷子「月の雫に濡れながらゆっくりと眠る方法」



経帷子のアングラ和菓子屋さんこと廣田さんほど、松本で演劇を楽しんでいる人はいないのでは?
今回の演劇祭の舞台を観て、そう感じました。


経帷子さんのお芝居は、役者が白塗りだったり、人間の恐怖や死などを扱ったりと、いわゆるアングラ演劇の要素を持っています。
実際、経帷子は寺山修司の作品を過去に多く演じているらしいです。

「らしい」ですみません。昔の経帷子さんは見たことがないので…
そもそも寺山修司も詳しくないし、そもそも俺は演劇に大して詳しくないのに語るという前提で読んで下さいね!


確かにアングラ演劇の要素を含んでいるとは言え、経帷子さんの舞台を一言でアングラ演劇と呼んでしまうのは、ちょっと違う気がします。
俺にはどうも、廣田さんはただ舞台の上で好きなことをやり続けただけで、その手段の一つとしてたまたまアングラの要素があった、だけのように思えるのです。


例えば舞台が始まる前、いわゆる前説というものがあります。
演劇の雰囲気を壊さないような感じでちょっと凝った前説があるのかな……なんて俺は思ったりしていたのですが……

廣田さんはそんな男ではありませんでした!!
これから本番だという衣装、白塗りメイクのまま、舞台に上がりこんで来たのです!!

しかも、相方に演劇連合会の大ボケ担当、ボンちゃんを引き連れてです!!
そのまま、二人でアドリブで前説を始めていたのですが、まるで漫才!!


特に俺が見た回はすごかったです。


廣田さん「ボンちゃん、今日彼女来てるらしいじゃん」

ボンちゃん「おおおおい!!ちょっとやめて下さいよおおおお!!」

廣田さん「彼女、どこにいるの?」


それ聞くのかよ!!


ボンちゃん「えええええ!!いやあ、彼女は・・・ええと、あそこに・・・」


ボンちゃんも指さすのかよ!!


廣田さん「あの人ですか?ちょっと分かりにくいけど」

ボンちゃん「ちょっと、立ってもらっていい?」


何言ってんだ!!


因みにこの時は、たまたま観客席にいたつばきっくさんが、空気を読んで立っていました。
そして起こる謎の拍手!!


ここで終わればいいものの、廣田さんはここでやめない。


廣田さん「そう言えばボンちゃん、プロポーズしてないらしいじゃん」

ボンちゃん「えええああああ!!!いやあ、まあ・・・」

廣田さん「ここでしちゃいなよ!!」


まさかの急展開!!
そしてボンちゃんは舞台上でマジプロポーズをして、謎の拍手が!!


こんなやり取りを、演劇が始まる前に5分も10分もずっとやっていたのです。
完全に、ふざけているとしか思えない!!


しかし、もちろんそれだけでは終わらない……経帷子のカッコイイお芝居がここから始まっていったのです。
暗転したと思うや否や、手術用のストレッチャーで運ばれてくる男……

数人の男女が闇の中を動き回り、そしてそれを照らす二つの懐中電灯の光。
開始数秒で、俺はもう経帷子の世界に入り込んでいました。


その後も、記憶と現実の狭間で眠り続ける男と、その夢の中に現れる謎の女、若かった頃の懐かしい思い出と、大人になって立ちはだかる厳しい現実……
……などなど、虚構と現実の入り混じった不思議な世界が展開していました。

経帷子の舞台は、照明の当たり方など、舞台の使い方など、かなり熟知していると思わせる部分がいくつもあって、流石だと思いました。
そして、音響はなんとギターの生演奏!!そして役者の生歌!!音楽も物凄くカッコイイ!!


しかし、そんなカッコイイ世界にも、しっかりギャグパートを入れてくるのが経帷子の凄いところでした。
例えば、眠り続ける男の妻が、男のお見舞いに来るシーンでは、男の役(ズバットさん)が動けないのをいいことに、口の中にからしいなり(しかもからし三倍)や、大量のお茶を流し込む……完全にリアクション芸人のネタ!!

「不要な過去を消去する人」みたいなキャラクターが登場すると、彼らが捨てて行くのはレコードやカセットテープに始まり、ベータ(しかも録画されているのはダンバイン)や、ワープロ(しかも文豪ミニ!)。
不要なものを集めて燃やす時に口ずさむ「燃やせ、燃やせ、真っ赤に燃やせ!」ってそれは闘将ダイモス!!マニアックな小ネタも満載!!


決めるところはとこんとんカッコよく、ふざけるところはとことん下らない。
そんな、大人の本気の遊びがある舞台でした。


そして、出演者の一人一人が生き生きと演技していました。
かなり個性豊かでアクの強い役者ばかりだったと思いますが、それぞれのいいところを引き出している脚本だったと思います。

脚本、演出を手がけた廣田さんが、役者の一人一人を本当に好きなんだなあと思いました。
それは、カーテンコールで役者を一人一人名前を挙げて紹介していく姿からも感じられました。


舞台を作る事、見せる事を、楽しみきった最高にカッコイイ舞台でした。
流石は廣田さん、第一回まつもと演劇祭から16年間出続けてるだけのことはある!!
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4 コメント

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街は生きている (眠れる街の10shock)
2011-11-17 01:00:30
ローカルな視点がとても印象的でしたねぇ。
縄手通りのたいやき屋やら映画館の話題やら。
変わりゆく街を嘆く人もいる一方で、僕は松本の街は生きているからこそ移りゆくんだと思いました。
返信する
Unknown (和菓子屋女将)
2011-11-17 10:38:12
ちひろっ!うちも見にこんかい!あと、「寺山修司」が正しいです。
返信する
前説担当の廣田です。 (キョウカタ)
2011-11-17 21:42:55
あの回はちょっとむちゃぶりだったねぇ。

彼女さん
ほとんど顔を上げず迷惑がってたんで。
悪いことしたなぁと反省しています。。

きのうボンちゃんと
何往復かメールやりとりをしましたが、
最後「ところで、彼女とはどう?」
と送ったメールに
返答ありません(^_^;)
返信する
夕暮れ朱に染まる路地 (ローメン)
2011-11-18 21:29:33
>眠れる街の10shock

あの作品はもともと、縄手通りに特設ステージを組んで行った野外公演だったものらしい。
縄手通りが作品に登場するのはそのためです。

>和菓子屋女将さん

観に行きたかったんだけど行けなくて残念でした。
演出にスタッフに、そして観客にお疲れ様でした!女将さん!

>廣田さん

公演お疲れ様でした。
まあやり過ぎっちゃやり過ぎでしたけど、舞台上であれだけ自由奔放に振舞えるのは凄いと思います。
松本の演劇でも、あれだけ自由に出来る大人はそういないんじゃないでしょうか。
ボンちゃん、元気にしてるんでしょうか……?
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