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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

WACKオーディションドキュメンタリー『世界でいちばん悲しいオーディション』観て来ました!

2019-03-11 13:07:00 | Weblog


3/10(日)、T-JOY新潟万代で『世界でいちばん悲しいオーディション』を観て来ました!
BiS、BiSH、GANG PARADEなどのアイドルグループが在籍する芸能事務所、WACKが昨年行った、新人アイドルのオーディションのドキュメンタリーです。

これまで、WACKのドキュメンタリー映画だと、2014年の「劇場版 BiSキャノンボール」、2017年(新潟では2018年)の「劇場版 アイドルキャノンボール2017」などがシネ・ウインドで上映されて来ましたが、今回は新潟ではT-JOY新潟万代のみでの上映でした。
WACKのアイドルのことはそんなに詳しくないんですが、このドキュメンタリーのシリーズは好きで毎回観に行っているんですよね。



僕が観に行った日は、ちょうど新潟でBiSのライブがあった日ということで、BiSのキカ・フロント・フロンタールさん、ペリ・ウブさん、トリアエズ・ハナさんの舞台挨拶が行われていました。
しかし、僕は舞台挨拶のことをよく知らずに観に行ってしまったのですが…(そもそもネギヲタの僕は空想委員会のライブに行っていましたからね…)会場にはBiSのライブから回してきたであろう方が大勢いてほぼ満席だったので、後ろの方から観ていました。(なので、舞台挨拶の写真撮影可能だったのに、うまく撮れませんでした…仕方ない!)



この映画は昨年行われたWACKオーディションのドキュメンタリーなのですが、トリアエズ・ハナさんはまさにこのオーディションに参加されていた方で、舞台挨拶ではちょっとした裏話とか見所を話してくれて、映画を観るのが楽しみになりました。
また、WACKはここ最近は毎年オーディションを行っているのですが、キカ・フロント・フロンタールさん、ペリ・ウブさんは2016年にオーディションに参加されていて、当時こういうドキュメンタリー映画があれば対策できたのに…という話が印象的でした。





予告編はこんな感じです。
舞台挨拶の話はこのくらいにして、映画の感想を書いていきます。



そんな訳で、『世界でいちばん悲しいオーディション』はアイドル芸能事務所のWACKのオーディションに参加するアイドル志望の女の子たちを追ったドキュメンタリーです。
参加者は、合宿型のオーディションに参加し、その模様はニコニコ生放送で中継しているので、オーディションそのものをショーにしてしまう意図で行われており、それをさらに編集してまとめているのがこの映画です(それの是非については後述します)。

このような、WACKの合宿型の公開オーディションは毎年行われているのですが、今回は九州の離島、壱岐島での開催ということで、今までにないくらい大規模でお金がかかっているなという印象をまず最初に受けました。
そんな映画なのですが、正直その内容の衝撃度も、過去最大級だったなあと思いました。

露悪的なまでに過酷な内容のオーディションや、そこに参加した女の子たちが厳しい現実に直面してボロボロになって苦しんでいく姿などが壮絶すぎて、ちょっと言葉を失ってしまうくらいの衝撃を受けてしまいました。
過酷なオーディションの中でもがく者、逃げ出す者、それを取りまとめる大人達など、あらゆる立場の人間達の人間臭さが残酷なくらい全開になっていく様子が、とにかく強烈でした。

あまりに衝撃的すぎて、これを面白いって言っちゃっていいのか迷うくらいだったんですけど、正直物凄く面白かったです。
この映画を観ると、アイドルもドキュメンタリーも、人間が苦しんだりもがいたすればするほど、エンターテインメントになってしまうという残酷な構造があるのかなあと思わされてしまうのですが、その現実に体当たりで挑んだのがこの映画なのかも知れません。

例えば、映画の冒頭、オーディションに参加する女の子たちは、全体的に修学旅行に向かうように楽しそうにしているんですよね。
一人一人にカメラを向けて意気込みを聞いていくところでも、全体的にみんな強気なことを言う訳です。

その後、合宿所に到着するなり、まずは食事をするんですけど、中には好き嫌いをして残す女の子もいたりする、そこにWACKの代表である渡部淳之介さんが現れて、こんなことを言う訳です(うろ覚え)。
「皆さんは芸能人になりたくてこのオーディションに集まったわけですよね。芸能界は決して甘い世界ではありません。厳しい世界です。注目していただき、応援していただけるファンの方に支えられないと生きていけません。好き嫌いをして残すような人のことを応援したいと思いますか。こんなことするつもりではありませんでしたが、今残した方は、全員失格です。今すぐ帰ってもらいます」

渡辺淳之介さん、開始早々辛辣!なんですけど、でもある意味すごくアイドルの運営として正しいことを言っているとも受け取れるんですよね。
それを最初にちゃんと伝えて厳しく落としていくのも、「お前がこれ以上ここにいても意味がないよ」というある意味優しさでもあるが同時に残酷な現実でもあり、でもそうしないとアイドルのオーディションをしている意味がないということなんだろうなあ…遊びでアイドルプロデュースしてるわけじゃないもんなあ…などとこの時点ですでに色々考えさせられてしまいました。

その後も、歌とダンスを中心にオーディションは進んでいくのですが、それ以外にもマラソンや食事(デスソースがかかっていたりするけど、それも残してはいけない!)など、とにかく罰ゲームのような過酷な毎日なのです。
これも、一見すると鬼畜!って思ってしまうんですけど、考えてみれば渡辺淳之介さんが言うようにプロのアイドルなんて誰でも簡単になれるわけないから厳しいのはある意味当たり前とも言えるんですよね。

それと同時にこのオーディションそのものを見世物として成立するためにバラエティ的なアイディアをたくさん盛り込んで、WACKという事務所を賭けて頑張っているんだなあ…などと、それが正解かどうかは分かりませんが、芸能界で生き残っていくことの重みをすごく感じる映画でしたね。
あまりに過酷なオーディションの内容に代表の渡部淳之介さんが本気で怖くなっていくんですけど、それは芸能界という世界の厳しさを教えないと意味がないという彼なりの理論もあったり、また女の子のいいところも悪いところも一人一人ちゃんと見て判断しているのは流石プロだと思ったし、彼も彼で物凄く身を削っているわけで、ある意味すごく誠実だとも思いました。

また、オーディションに参加する女の子たち色々なエピソードがあって、例えば審査に落とされても救済措置的なプログラムもあったりして(でもそれが作文を書くとかスクワットをするとか相変わらず罰ゲーム感がすごいけど)、その度に渡辺淳之介さんに「私はどうすればいいんですか?」って聞きに行く子がいたりするんですよね。
中には、毎回審査がギリギリで落とされるけど毎回救済措置で復活して必死にアイドルになろうと食らい付くという、ある意味一番過酷な道を選んでしまう女の子とか、頑張ってきた審査についに落とされて渡辺淳之介さんにやり直させてくださいって言いに行きたいけれど、あまりにも辛すぎて泣き出してしまう女の子なんかもいたりして、見ているとなんかもう、「頑張れ!」なのか「もうやめなよ」なのか何と言っていいのか分からない複雑な気持ちにさせられたりして、すごく胸が苦しくなってしまったりしました。

でも、中には「もう渡辺淳之介さんには付いていけません」と言って、救済措置を無視して帰っていく女の子もいて、そんな彼女たちに対しては渡辺淳之介さんはめちゃくちゃ厳しかったりして、それはそれで胸が痛むんですよね。
カッコ良さもカッコ悪さも、この映画の中ではあらゆる人間臭さが全開で、さらにその全てが娯楽として消費されていってしまう、この映画そのものが芸能界という世界の厳しさを体現していたのかなと思ったりしました。

きっと芸能人と言うのは、努力と才能、その両方を持った人間ではないと辿り着けない非常に特異な職業なんだろうな、と思います。
その世界に憧れて生きていても、どう頑張ってもなれない人というのも当然いて、そんな人にとっては非常に残酷な現実の壁と向き合うってことなんだろうなあ…

まあ、そんな映画を観ながら僕が一番思ってしまったのは、「俺はこんなオーディションは無理だ…」「俺には芸能界なんて世界で生きていくのは無理だ…」だったりするんですけどね。
いや、別に芸能人になりたいわけじゃないですが、自分より若い女の子たちがあれほどまでに苦しみながら頑張っている姿を観ていたら、それに比べて自分は…なんて気持ちにもなってしまったわけです。

確かにこの映画には、頑張っていたけれど力及ばず挫折してしまった人や、調子に乗っていたけれど大した素質もなくあっけなく蹴落とされてしまう人(個人的にこっちの方が共感します!)など、カッコ悪い人が大勢出て来ます。
そして、そんなカッコ悪い姿が映画という形で半永久的にこの世界に記録されてしまうなんて、もしかしたら黒歴史になるかも知れない、なんて残酷な運命!なんて思ったりしてしまうわけですが…

でも、そこまでのハードルを背負ってでも夢見た世界に一歩でも踏み出そうとした人のことを、否定したくはないなあ…少なくとも、俺なんかよりはよっぽど精一杯この人達は生きているんだろうなあ…
という訳で、自分は芸能人になりたいわけではないけど、それでもちゃんと自分に恥じない人生を精一杯頑張って生きていけているのかな、なんてことを最終的にはクソ真面目に考えてしまったのでした。道徳の時間に観るべき映画!
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