川塵録

『インテグリティ ーコンプライアンスを超える組織論』重版出来!

コンプラを変え,会社を変え,日本を変える!

『超凡思考』 岩瀬大輔・伊藤真

2009年02月14日 | 
ビジネス本は読まないようにしていますが,知人2人の書いた本,しかも知人の勤める出版社からなので。義理で,昼に麻布十番で購入。

岩瀬氏によると30分で読めるとのことですが,20分くらいでした。この情報量で1500円は高い…

日本の出版業界は,「ハードカバー」+「カバー」+「帯」の重装備をして値段を吊り上げるのをどうにかしてほしい。何でも欧米を見習えってわけではないけど,ペーパーバックにすればこの本の単価は1000円を切ることができるのでは?

■ 字が小さく,ゴシックなのは読みにくい。やっぱり明朝にしてください。

■ 冒頭いきなり岩瀬さん,

 ≪僕は開成高校を出て,現役で東大法学部に入り,大学在学中に司法試験に受かりました。≫

 これはダメでしょ。世間を敵に回す。含羞がない。こういうキャリアを踏む人は(当然努力もあるのだろうけど)1万人に1人くらいの天賦の素質を持っているのだから,そういう「恵まれた星の下に生まれた」という含羞がないと。

  僕は開成高校を出て,

ではなく,

  僕は,開成高校を出て,

って 点(,) を打った方がまだいい。コンマに含羞が宿る。

また,せめて冒頭に「はじめまして。」「こんにちは。」程度の挨拶があった方がまだいい。イキナリ本の1行目から

  「僕は開成高校を出て…」

はないでしょ。普通の人はドン引きですよ。冒頭でこの一文はダメです。アウト。いきなり読む気が失せます。

含羞がない,含羞が。1万人に1人の恵まれた環境に育ち,1万人に1人の類稀なる素質を持って生まれてきたことに対する含羞がない。

たしかに文脈から,キャリア自慢をするのではなく,実は飽きっぽい性格→達成感が重要,という流れになるのですが,ん?

  飽きっぽい性格?

これもねえ… 開成→東大法→司法試験→HBSにピカピカで入った人が,「飽きっぽい性格だ」と公言することに,僕は若干の違和感を覚える。それって,

  自慢?

地味にコツコツ泥臭く努力なんかしないで,チャチャッと要領よく立ち回ってここまで来れましたよ,ってことですかね。「飽きる」ほどの努力をしないでも,素質だけでここまで来れました,って悪意に解釈されかねない(嫉妬深い人間はこういう読み方をする)。

中野翠の盟友呉智英が言っていた,「俺はこんなに飽きっぽいからワセダどまりなんだ」。飽きっぽくなければトーダイに入れたよ,という文脈で。

開成高校にも東大法にも司法試験にもHBSにも入れない人から見れば,岩瀬さんが「飽きっぽい」と公言することはどう映るか。

過度の謙遜は嫌味。勉強のできる人は,勉強のできない人から試験の出来不出来を訊かれて,「できなかった」と(正直に)答えてはいけない。「まあまあだったよ」と韜晦しないと。

著者お二人とも,東大法から現役で司法試験合格。こういう,「存在するだけで嫌味」なやんごとなきお方は,もう少し言動に慎重になられた方がいいと思います。

■ 伊藤塾長が言う「持続可能な勉強法」「持続可能な勝ち方」というのはいい言葉だ。sustainableね。

 そういえば塾長は「2年間は死ぬ気でやれ」って仰っていましたが。その「2年間」がsustainableな人と,sustainableでない人がいる。

 僕は後者だから司法試験に受かるのに何年もかかった。「法律だけを死ぬ気で2年間」というのは,一握りの人にしかできない。僕は「死ぬ気で1年」やっただけでガス欠になって歴史の本とかに逃避してたなぁ… ま,1年で受かると思った僕の戦略ミスなのですが。

■ 岩瀬氏はコンサルタント時代,よく先輩に訊く人だった由。

そうそう,先輩には適宜こまめに会話した方が,絶対仕事の効率はいい。

■ ホワイトボードを多用する

~~~~

以上,残念ながら心に響く言葉はなかった。お二人とも,ちょっとユニークなキャリアを積んでおられるが,やっぱり学級委員的な優等生なんだろうなぁ。嫉妬深い僕としてはこう思って独り溜飲を下げずにいられない。


 ≪あれもこれも言わなくていい。たった一言,心に響く言葉を言ってくれればいいのに≫


これは誰の台詞だったか。


 後記:西部邁に対する誰かの評だ。
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