デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー(術後10年クリアーし"卒がん")、海外旅行記、 吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

吾輩も猫である 83 ( 吉本隆明について )

2015-01-15 22:59:54 | 吾輩も猫である
 

 吾輩、明日から主人の介護帰省に同行する。で、主人 「なんか書いておけ」と気軽に言ってくれたものだ。こんな時は「コメントなどさらさら書く気になれない」ような自己満足の一文を書くことになる。

 吉本隆明? 知らんなぁ。 吉本ばななの父親?
 主人の世代には「吉本隆明」の信奉者が少なくない。その訳を主人に訊くと「さぁな…」と生返事。主人は信奉者ではないと見た。「吉本隆明、嫌いですか?」と訊き直すと、「好きも嫌いもろくに読んだことがない」。主人の世代でもそれが寧ろ大多数かも。

 戦後史証言プロジェクト「吉本隆明の思想の軌跡」 
 先夜、Eテレ「戦後史証言プロジェクト」で、軍国青年であった時代から亡くなる(2012年)までの吉本隆明の思想の軌跡を特集した。主人、関心ナシと思いきや、熱心に見ていた。訊くと「この歳になり同世代の多くが信奉した訳を知りたくなった」とは意外!

 「戦争を継続すべし」と思いつつ「腑に落ちないところがあった」
 吉本隆明曰く『私は徹底的に戦争を継続すべきだという激しい考えを抱いていた』『死は既に勘定に入れてある。死は怖ろしくはなかった』『反戦とか厭戦とかが思想としてあることを想像さえしなかった』。が、戦争遂行には『腑に落ちないところがあった』と。

  

 政治的無関心こそ戦後民主主義の基底をなす
 やがて「文学者の戦争責任」を著し高村光太郎らを烈しく指弾する。「私生活を優先し政治に無関心な人々」を批判する丸山眞男には、『政治的無関心こそ戦後民主主義の基底をなす進歩だ』と逆批判する。吉本のこういうところに主人は「なんだかなぁ」。

 共同幻想論
『言語はコミュニケーションの手段ではない。根幹は沈黙だ』と無言の価値を説く。『国家は共同幻想』であり国を何とかしようとは考えない。戦時下、非転向を貫いた共産党宮本顕治を『非転向も転向の一形態に過ぎない』と一蹴、反代々木の人々は喝采を送る。

 上野千鶴子さん なかなか言うじゃない!
 吉本曰く『市井の片隅に生まれ育ち生活し老いて死ぬ無数の人物も、千年に一度しか現れない人物の価値と変わらない』。上野千鶴子は『自分が大衆の代弁者だ』と思い始めた吉本に「彼の妄想であり彼の足を引っ張った」「その頃から吉本に関心を失った」。

  

 反「反核」の顔 
 意外に思われようが、吉本は「反!反核」。原発について『地球の破滅などと憂慮して見せるのは停滞以外の何物でもない』『人類が積み上げた成果をたった一度の事故で放棄していいのか』『今なすべきは完璧に近い放射線に対する防御策を講じること』と説く。

 科学信奉主義者の顔
 彼と袂を分かつ人が増える。上野千鶴子の吉本隆明評は「彼は天邪鬼だと言うこともあるし、(東工大工学部卒で)科学信奉主義者ですね。失敗を繰返しながら科学技術は進歩して行くんだ、と。そちら(反!反核)側に立つと予想していたらその通りだった」。
 
 戦後日本がもった 全くオリジナルの思想家
 一方で上野は「私は大学から給料を貰う身だが、彼は民間思想家を貫いた」「戦後日本が全くオリジナルの思想家をもったことは誇るべき」と評価する。歌人の道浦母都子の言う「私は給料というものを頂いていない。自分の腕一本で生きている」と相通じる。

 取り敢えず書いた書いた。吾輩、ロングドライブに備えそろそろ寝るが、先日主人がぶらり訪れた京都:六角堂の仏さんでもご覧いただき、皆さんもおやすみなされまし。

  

  にほんブログ村 病気ブログ 腎臓がんへ

 【過去ログ目次一覧】
 吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
 吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
 吾輩も猫である81~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
 かんわきゅうだい  http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
 閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
 腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
 旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
 ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ご苦労様。 (北親爺)
2015-01-16 09:21:27
 介護帰省お疲れ様です。
また早々のブログ更新精力的で何よりです。ブログの更新があると僭越ながら、ささやかにデ某さんの体調に安堵しているところです。
さて介護帰省それも遠距離大変な労苦が伴うように思いますが心配する次第です。一方ではやはり年老いた方にとっては住み慣れた土地が一番落ち着くのも理解が出来ます。
早々と息子、娘に呼び寄せられ希望に胸膨らませながら終には失望し病に斃れると言う状況を一、二見たことがあります。賢明な貴殿のこと十分理解の上だからこそ遠距離介護をしているのだと拝察しております。当然前後家族の協力もあることでしょうから、頑張りすぎず頑張って頂きたいものです。

 吉本隆明、若い頃良く聞きました。私は高卒で既に働いていましたが、大学へ行った連中や大学を卒業して入社した人間から良く聞かされました。私自身は良く解らず聞くだけのものでしたが、上司に質問するとお前はそんなものに被れているのかと烈火のごとく怒られました。挙げ句の果てに吉本に被れているらしい、とそのことが転勤の理由になるほどのことでした。終には自分に災いをもたらすものだと早合点し本を読むこともありませんでした。

 その後は仕事に追われ現在に至り、読もうと思っても今度は目が上がり活字には眼精疲労に悩まされます。(笑)
今になっては青年には熱い弁舌だったのだろうと思います。
私の驚きはその内容と相まって良く本が売れ飯を食えたのだなと感心するものです。森田健作ではありませんが「青春とはなんだと」と酒でも飲みながら当時の人間と議論してみたい衝動に駆られます。

くれぐれも健康に留意の上、介護の続行を。
返信する
Unknown (Anne)
2015-01-16 12:45:36
介護帰省されていらっしゃるんですね!
それでシマジロウ君が更新なんて出来たニャンコだなあヽ(^o^)丿
吉本隆明って読んだことはないけれど、随分影響力があったようですね!
カリスマ性のある方だったんでしょうね!
そのイメージとは裏腹によしもとばななさんが語っている父のお話でや、断れない性格で「いいカモ」だったって言ってますね!
年をとられて変わっていったのかと思いますけど、
当時のことを知らないので私には分からないなあ・・・

六角堂の仏さんが優しいお顔で、心地よく眠れそうだわあ!
シマジロウ君は車の中でぐっすり眠るのかな?
返信する
こんにちは~ (讃岐おばさん)
2015-01-18 13:28:23
介護帰省、お疲れさまです。
私事ですが、明日からフランスへ行ってきます。
モンサンミッシェルが見えるホテルで1泊できるというので、楽しみです。
今、厳戒態勢みたいですが、娘はそのほうが安心と。

私もシマジロウ君のような頼もしい助手が欲しいですぅ~
返信する
死ぬまでに一冊は・・・ (デ某)
2015-01-20 00:08:33
北親爺さん
コメントありがとうございます。レスが遅くなって申し訳ございません

> 介護帰省お疲れ様です。
> ブログの更新があると僭越ながら、ささやかにデ某さんの体調に安堵しているところです。
私の帰省、体調にまでお気遣いくださり恐縮です。ありがとうございます

> 介護帰省それも遠距離大変な労苦が伴うように思いますが
> 年老いた方にとっては住み慣れた土地が一番落ち着くのも理解が出来ます。
介護について自らの問題になって初めてわかったことがあります
類型はあり得ても、微妙なところは各々に異なり理解を超える問題があると・・・。
母の心理は時に私にも姉にも窺い知れず読み切れず途方にくれます。
そんな時、老人介護の問題は「神の領域」ではないか・・・とさえ思います。

> 賢明な貴殿のこと十分理解の上だからこそ遠距離介護をしているのだと拝察しております。
> 家族の協力もあることでしょうから、頑張りすぎず頑張って頂きたいものです。
励ましてくださりありがとうございます。
右往左往、疑心暗鬼・・・途方に暮れる日々であり「賢明」には程遠い現実があります。
それでもいつも小さな救いがあり、ささやかに報われることがあります。
そのことに癒され、つぎにつながる力をいただいています。

> 吉本隆明、若い頃良く聞きました。
若い頃から私は彼の書を開くことさえありませんでした
彼にかぶれる人に接するたびに
自身なぜ?と思うほど、唾棄すべき人物、書だ!と思っていました。

> お前はそんなものに被れているのかと烈火のごとく怒られ
> 吉本に被れているらしい、とそのことが転勤の理由になるほどのことでした。
それはまた私とは別の意味で過激な・・・
それほどに「一目置かれる」危険思想だということでしょうか・・・。
東電はじめ原発推進側にはとてつもなく偉大な反!反原発思想家ですけど・・・。

> 今になっては青年には熱い弁舌だったのだろうと思います。
どうやら青年に限らず、昔の青年にも未だ大きな影響を遺しています
私、死ぬまでに一冊は彼の書を読もうと思いますが、いつ死ぬのか未だわからず・・・(笑)
でもその時も「もっと早く気づき読むべきだった」とは思わないでしょうね。
それが・・・人が人に感じる「肌合い」なのだと思います。

> 私の驚きはその内容と相まって良く本が売れ飯を食えたのだなと感心するものです。
上野千鶴子さんもそこに敬意を払っています
彼には生活感(男の所帯臭さ)というものがなかったのでしょう。
狡さも食意地もなかったと思いますが、色気とダンディズムは旺盛だったようです(笑)

> 森田健作ではありませんが
> 「青春とはなんだと」と酒でも飲みながら当時の人間と議論してみたい衝動に駆られます。
ぜひ議論を挑んでみてください(笑) 森田健作さんのような軽さは期待できますまいが・・・
なお私は吉本信奉者と話すのはちょっと遠慮申し上げます(笑)

北親爺さんのここ2~3回のブログ、興味深く読ませていただいています。
コメントを!と思いつつ足踏みしていますが、いずれぜひ・・・。
なお前回の「閑話休題(権力批判はタブーか)」において、
コメント欄で少しだけ北親爺さんのブログ記について触れています。
ご了解いただきますよう宜しくお願いします。
返信する
シマって賢いんですよ (デ某)
2015-01-20 00:39:08
Anneさん
いつもコメントありがとうございます
レスが遅れたこと・・・お詫び申し上げます

> 介護帰省されていらっしゃるんですね!
> それでシマジロウ君が更新なんて出来たニャンコだなあヽ(^o^)丿
いえ、シマも帰省に同行するよう命じていましたので、帰省する直前に書いたようです
猫語の漢字変換ソフトがありますので、仕事は早いです(笑)
市販されているか?と? 猫結社の秘密兵器・・・非売品です。

> 吉本隆明って読んだことはないけれど、随分影響力があったようですね!
> カリスマ性のある方だったんでしょうね!
信奉者が多い!と言うことは、カリスマ性があるのでしょうね
シマは勿論、私自身が一冊も読んでいない書ですからどう言えばいいのか・・・。
一つの文化現象として制作された番組・・・としてはたいへん興味深い内容でした。
再放映されることがあればぜみ視ていただきたく思います。

> 年をとられて変わっていったのかと思いますけど、
> 当時のことを知らないので私には分からないなあ・・・
カリスマ性を云々される思想家はともすれば悲劇的であったり病的であったり・・・します。
しかし吉本隆明はそうした雰囲気とは対角にあるオシャレな雰囲気があるようです。
たぶん思想とは関わりない彼の生来の持ち味でありましょう。

> 六角堂の仏さんが優しいお顔で、心地よく眠れそうだわあ!
ここの仏さん、どこか西村公朝さんの「釈迦十大弟子像」と共通する温かさを思いました
公朝さんの像は、ごく小さな木像ですが、
仏さんの各々の表情にしばし心をときほぐされます。

> シマジロウ君は車の中でぐっすり眠るのかな?
はい、よく眠っていました
それでも米子道では顔を窓に擦りつけ一面の雪景色を興味深そうに眺めていました。
SA(3か所)に着くと自主的にケージに入るところがなんとも可愛くて賢いんです(自慢)
返信する
パリおばさんに (デ某)
2015-01-20 01:01:43
讃岐ならぬパリおばさん
出発前の慌ただしいときにコメントくださりありがとうございます

> 私事ですが、明日からフランスへ行ってきます。
年末年始のン回目の台湾旅行でしばらくジッとされるだろうと思いきや、フランス旅行!?
さすがジッとしてない讃岐さん・・・そのお元気とリッチが羨ましいです。

> モンサンミッシェルが見えるホテルで1泊できるというので、楽しみです。
ホテルから「ちょっとモンサンミッシェルまで」とお散歩ですか?
景観に見とれて・・・満ちてきた潮に沈みませんように!(笑)

> 今、厳戒態勢みたいですが、娘はそのほうが安心と。
言論の自由、表現の自由が問われるのも然ることながら、
西洋・キリスト教文明から異教徒、異人種を見下ろす蔑視、嘲笑も問われる事件ですね。
またパリ感覚のレポートをお待ち申し上げます。

> 私もシマジロウ君のような頼もしい助手が欲しいですぅ~
手!はかかりますけど、なかなか手!は貸してくれません
私のサポートがあればこそのシマジロウでございます。

それにしても去年の正月はエジプト旅行、今年はフランス旅行ですよねぇ。
いいなぁ~~行きたいなぁ~~
返信する

コメントを投稿