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穴賀篤鱈から羽入鱒粘へ

折々の写真なども

花梨の小径から

2025年02月22日 | その他
カリンの実を拾い 持ち帰って楽しんでいるという話です。

週に一度のサイクルで一万歩ほどの散歩をしに公園へ出掛け
坂道を含む早歩きと本当に緩い駆け足とベンチを利用した緩い筋トレをしています。
坂道(石段)を登ったところに私が勝手に「花梨の小径」と名付けているお気に入りの狭い土の道があり
そこには名前の通り背の高いカリンの木が数本並んで立っています。

気まぐれなのか何なのか 年によってはその実が良く実る年があったり全くゼロに近い年(昨季は2個だけ見た)もあり
この冬は生り年に当たりました。
下は二年前の1月の写真です。 珍しく雪が積もった日の午後の写真です。
その下は数本の木で合計2個しかならなかった時の写真です。

  

 





下は この冬12月の写真です。





カリンの実はとても重く枝がしなって垂れ下がっています。
落ちてきた実が下を歩く人に当たらないように注意喚起のために道には赤いコーンが置かれています。
確かにあの高いところから落ちてきた硬くて重いカリンの実が頭に当たるようなことがあれば
ケガだでけでは済まないように思います。


今年のカリンの木はいわゆる「生り年」で アホ程(関西方面でよく使う「とてもたくさん」と言う意味)
の数の実が生っては落ちてきました。
去年の夏ごろから 「今年はどうかいな~?」と思って毎週の散歩のときに「花梨の小径」を通っては確認していました。
期待通り この冬は毎週(2週に一回かな)のように三つほどのカリンの実をリュックに入れては持ち帰り
家のそこいらに置いてはその香りを楽しむことができました。
リンゴと同じバラ科の木と言うことで「サンフジ」のリンゴと同じような爽やかでほんのりとした甘い香りがします。


ところで 今年もそろそろカリンの楽しみも終わりかなーと思っていた矢先 
先日の木曜日に過去最大の特大花梨をゲットいたしました。 拍手。



実の表皮は新鮮なリンゴと同じように薄く油分で覆われています。
実の黄色い皮は2~3週間程すると部分的に茶色く変色してきて臭いも少し変わってきます。


カリンの木の幹













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新年のご挨拶 2025 巳乃歳

2025年01月01日 | その他
   
   
 
 


 

       どこかの公園の地上絵
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第8回 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 2019年 7脚出品 (最終回)

2024年03月25日 | その他
   
   
   

これは私が2013年に兵庫県の丹波年輪の里で開催した『椅子をいろいろ知る講座』のために製作した
「二次元マネキン」の原寸模型です。(身長約164センチ 座高約90センチの男性)
人間工学について書かれた書籍(著者 小原二郎さん他)の中から複写が許されている図を元に拡大して
段ボールに貼り付けて製作したもので 大まかですが各関節が曲がるようになっています。
参加された皆さんにはこの各部位別になった10分の1のコピーをお渡ししています。

『椅子をいろいろ知る講座』は2012年に丹波年輪の里で開催された「座っ展」(本当の)と
その終了後にまとめて頂いた来場者アンケートの結果に触発された私が勝手に開いたものです。
講座は場所や土曜日の半日を5回という期間の制約などもあり 結局のところ テーマは
「さまざまな角度で椅子について考えながら自分自身で設計デザインする」として主に木工の椅子に関心がある人
という狭い範囲で受講者を募ることになりました。 

下の図は 募集のチラシに載せるために当時の私の椅子の製作への思いに関してまとめたもので
中心の三つの不可欠な構成要素を形作るために外側に関連する知識と実際を表したものです。
少し大層なことになっています。

   

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
募集チラシの文言を抜粋したものは下記のようになっています。

―――どのような目的の講座ですか?

さまざまな角度で椅子について考えながら自分自身で設計デザインすることで将来の椅子作りがもっと楽しくなる講座です。

―――講座の内容は?

図のようなイメージです。
ご覧のように椅子作りにおいて知っておきたい事柄は多岐にわたります。
時間の都合により すべての内容を深く掘り下げて話をすることはできませんが講座では
【いろいろな話⇔デザインと設計⇔原寸図作成⇔工作に必要な知識】と専門的な内容を複合的に織り交ぜながら
実際の生活と関連付けて分かりやすく進めてゆきます。

―――実際に木の椅子を作るのですか?

いいえ。 基本的に木工作の実技の講習は行いません。 左記の通り、工作を始める一歩手前までの講座です。 
比較的簡単な【スツール】と、その何倍も難しくておもしろい【チェア】のデザイン設計(原寸図作成)をしていただきます。
「誰かのための椅子」「自分が座る椅子」というように目的を持って計画的に考案することで、より使いやすくより美しい
椅子を合理的に作ることが可能になります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

椅子の形の案を練るときには原寸の製作図面を描きます。
上の写真の二次元マネキンは座の高さや奥行 ひじの高さや背骨の位置など側面図を描く時に少々役に立ちます。
他 背中の横のカーブや尻の幅や両手の位置を知るために平面図と正面図を描きます。 
平面図は左右の半分だけを描くことが多いです。
また 平面図では図面を台に置き実際にその上に座り込んで各寸法の検討もします。

   
   これは10分の1の二次元マネキンで左はステッドラー社の既製品です。

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 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 
 第8回 2019年 7脚出品

出品椅子
1. アローバック・サイドチェア  【ナラ 座板はセン】
2. テープ編サイドチェア  【ナラ 座面はアクリルベルトテープ】
3. グリップ付スツール A  【脚とグリップはナラ 座板はセン】
4. グリップ付スツール B  【脚とグリップ ナラ 座板はセン】
5. 三本脚スツール  【セン】
6. ボールフット・あぐらスツール  【ナラ】
7. 布張りスツール  【脚部はナラ】


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1.アローバック・サイドチェアSP  【ナラ 座板はセン】

   

小学三年生のお孫さんが大人になっても使える椅子…という女性からのとても難しいご注文でした。
座面は ほぼ大人用の高さにして幅を少し広く奥行きを少し浅くしています。
小学生の体には各寸法は適合しませんが しばらくの間は実用というよりも鑑賞用に 
中高生に成長してから実用品として使って頂くことにしました。

多くの家具メーカーから成長に合わせて各寸法を変えることができる児童用の椅子(あるいは幼児用の椅子)
が発売されていますが木の椅子を人間工学に基づいてデザインすると当たり前のように
どれも同じような構造になってしまいます。
私が作っても同じような形になり価格もメーカーより安く作ることは出来ないし 
何よりこのようなデザインが100年もつとは考えられません。
以前に何度か新入学児童用机のご注文を受けたことがありますが その時は必ず椅子は
【キャスター付きの回転椅子で ガススプリングで座面の高さを変えることができ 
背凭れの奥行きと高さ 足乗せの高さが変えられて将来はそれを取り外すことができる既製品の椅子】
のご購入を推奨していました。



2.テープ編サイドチェア  【ナラ 座面はアクリルベルトテープ】

   

座面はアクリル繊維で織った平テープ(ベルト)を強く網代(あじろ)に編んでいます。
座面の内部にもクッションとなる伸縮ベルトを縦横に張ることで経年による座面のへこみを防いでいます。
何度も椅子をひっくり返し一目ずつ表面と裏面を手で編んでゆくので必ずと言ってよいほど指先に逆むけができます。



3.グリップ付スツール A オイル仕上げ 【脚とグリップはナラ 座板はセン】
4.グリップ付スツール B 着色仕上げ  【脚とグリップはナラ 座板はセン】

   

アームレストの代わりに座面の両側にグリップを取り付けました。
腰を掛けるときに手を添えたり 立ち上がるときや椅子と一緒に移動するときにも自然と握ってしまいます。
握り玉の大きさと形 取り付けの位置と角度をあれやこれやと検討しました。



5.三本脚スツール  【セン】

   

ウインザーチェアの座板用の幅の狭い板が半端な長さで残ったので違う長さで二枚接(は)ぎにしたらこんな形になりました。
座面は特別に深くお尻の形に抉ってあります。



6.ボールフット・あぐらスツール  【ナラ】

   

厚いナラ材の端材があったのでボールフットの低めのスツールに使ってみました。
あぐらの姿勢に適した高さのスツールです。
「ボールフット」は玉足のことで 西洋家具の箱物の台の部分に使われることがあり 
どっしりとした安定感のあるイメージになります。
大小の玉が二段に見えますが上の薄いほうは板状になっていて左右が繋がっています。
その板にクッションを張った座板がジョイントボルトで固定されています。
私のお気に入り おなじみの持ち運び用のベルトが中央に取り付けてあります。



7.布張りスツール  【脚部はナラ】

   

  厚いクッションに織布を被せた使う場所を選ばないスタンダードな形のスツールです。
脚を四方転び(外側に広げる)に組むことで上部が重くなりがちなイメージに安定感をもたらしています。
訳があってこれは未塗装になっています。


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私の 『ひとり回顧懐古・「座っとっ展」』は今回で終わりです。
その後 本当の「座っ展」のほうはコロナ禍による2回の中止を経て再開しており今年もいろいろな新しい作品を
たくさん見せてくれるものと思います。
会期はゴールデンウィークの頃ですので検索して確認してください。
もうそろそろ案内ハガキが届くかな。





   


    
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第7回 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 2018年 7脚出品

2024年01月30日 | その他
高いところからの二つの景色




左は 神戸市役所の上のほうの展望室からの風景です。
遠くにポートアイランドが見えますが こんなに高いのにビルの陰になってしまって 神戸ののシンボル
赤いポートタワーは見えませんでした。(右60度ぐらいの方向)

古くから「東遊園地」として親しまれているこの広場は1868年に神戸居留地の外国人が使う日本初の西洋式運動公園「内外人遊園地」として
その歴史がはじまったとのことです。
現在は「阪神・淡路大震災1.17希望の灯」の追悼行事の会場となり 公園内に犠牲者を追悼する慰霊モニュメントが設置されています。
また神戸ルミナリエの会場の一つとなっています。
左の南北の道路(フラワーロード)のところには過去には生田川が流れていましたが度重なる水害により
現在は東のほうに付け替えられています。(1938年~)

もう一つ 昔から好きだった日本で初めて設置された大きな「花時計」が市役所周辺の再開発のために無くなっていました。
「なんてことを!」と思いましたが かなり南側の国道2号線近くの公園内に移設されているとのことで一安心。


右は 子午線の町 明石市の天文科学館の14階展望室からの風景でプラネタリウムの円い屋根が見えています。
遠く明石海峡大橋の右方(南)には淡路島が見えます。
時々 夜に天体望遠鏡による星空観望会やコンサートなどがありこの場所にやってきますが
すぐ南側を東西に走るJR神戸線と山陽電車の列車のヘッドライトや連なる車窓の明かりが
左右遠くからやって来て行き交い通り過ぎてゆくのを見るのが楽しみの一つになっています。(必ず写真を撮ってしまう)

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ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 
第7回 2018年 7脚出品

出品椅子
1.板組のベンチ   【タモ】
2.アローバック・サイドチェア   【ナラ  座板はセン】
3.アローバック・サイドチェア 大   【ナラ  座板はセン】
4.四角のスツール   【タモ】
5.布張りサイドチェア    【ナラ】
6.低いスツール・A   【タモ】
7.低いスツール・B    【タモ】


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1.板組のベンチ   【タモ】


    


      

部品の点数が少なく直線的で単純な構造のベンチですが 曲線の面白さで柔らかな形のイメージを表現しています。
形のヒントは 2015年に木工教室用にデザインした「チルドレンズベンチ(スツール)」です。
(2023年10月5日付の記事 「第4回 2015年 ひとり回顧懐古・座っとっ展」を参照)。
下はその時の組み立て途中の写真です。
展示品は大人用の高さで二人掛用にしましたが構造はほぼ同じです。
比較的 薄い板を使用していますが 通しほぞと楔打ち込みにより強度を保っています。





2.アローバック・サイドチェア   【ナラ  座板はセン】 生地色仕上げ


   


定番で製作しているウインザーチェアスタイルのサイドチェアです。
汎用的なデザインで、後脚の脚先をカットすることで座面の角度を変え、テーブル用や机用などに
使用目的を合わせることが出来ます。
もちろん、個人の伸長や足の長さに合わせて座面の高さを決めることが一番重要です。
背凭れの縦の棒(アロー・矢形)は、背骨のS字カーブにフィットするように曲木加工をしています。

アローバックサイドチェアについては過去にも似たような形を出品しており 
2023年5月28日付の記事 「第一回 2012年」でその詳しい説明をしています。

⁂座面の革は展示時の傷付き防止用です。




3.アローバック・サイドチェア 大   【ナラ  座板はセン】


   


背もたれに矢の形をデザインしたウィンザ―チェアです。
一般に「ウィンザ―チェア」と呼ばれるスタイルの椅子は17世紀末ごろにイギリスで生まれ その後
アメリカに渡り爆発的な人気を呼び発展しました。
イギリスもアメリカも様々な形があり 製作された年代や地域によっても少しずつ形が異なっています。

「ウィンザ―チェア」の主な定義としては次の二つが挙げられます。
★脚や背柱(背凭れも)及びアームの束(つか)が厚い座板に斜め突き刺さっていること。(主に丸いホゾで)
これは構造のシンプルさと頑丈さを兼ね備えています。
★座板は、お尻の形に深くえぐっていること。
 深くえぐることでクッションがなくても お尻の肉がクッションとなり 尾てい骨をサポートし安楽に腰掛けられます。

展示の椅子は大柄なご依頼主のご要望でレギュラーサイズの椅子をひと回り大きくデザインしたものです。
サイドチェア(アームが無いイス)としては座面の幅と奥行きを広く深くとって安楽性にも重点を置いています。

⁂座面の革は展示時の傷付き防止用です。





4.四角のスツール   【タモ】




 
四方転びの新しい脚の組み方を考案し、デスクと合わせてデザインしました。
しかし これは、スツールでは簡単なことですが 背もたれ付きのチェアを同デザインで合わせるとなると 
その難度はかなり高くなります。
持ち運びに便利なように座板中央に把手穴を付けています。
参考用として左奥に把手穴のない物(ウォルナット製)も置いていますが 見た目や使用目的により好みが変わることと思います。




5.布張りサイドチェア    【ナラ】


  


在庫品のダイニング用の椅子を改造しました。
(元の椅子は 前回 第6回 2017年に出品した「5.ファンシーサイドチェア」と同じ)

座面全体を下げ 後脚を少しカットして背凭れを後方に傾けることで 使用目的を作業用(食事など)から
休息用に寄せています。 
背凭れがより後方になり重心を外れているので安全のために畳摺り板を取り付け構造と見た目に安定感を出しています。






6.低いスツール・A   【タモ 布張りクッション】
7.低いスツール・B    【タモ 布張りクッション】


   


室内で床面近くでの作業に適するように高さは20センチになっています。(座面の直径は約32センチ)
持ち運びに便利なように、座面に布ベルトを取り付けています。
園芸用などでこのような低いスツールを見かけますが 私の工房でも床面での椅子の工作や箱物などの
低く奥まった部分の塗装時に同形状のものを便利に使用していました。(中央の茶色の物)

AとBは足の組み方が違います。



       

        
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***
本当の「「座っ展」については 
4月18日付の記事 「座っ展 2023 ー丹波で坐る木の椅子ー」のご案内 や
5月28日付の記事  第1回 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 2012年 5脚出品
をご覧ください。


       
      




   









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新年のご挨拶 2024

2024年01月01日 | その他
   


   
「た つ の と し」 で一首 詠んでみました。


   



  


  徳島旅行でパブロに出会いました。

 「相変わらずやな」 と呆れていました。


   


   
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第6回 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」  2017年 8脚出品

2023年12月05日 | その他
ビックリなクレーンゲーム二体

徳島県の道の駅で見つけました。流石です。 

   

   
 
でも 生の芋が入っているわけではなさそうです。


誰がこんなグロテスクなことを考えるのかなぁ。

   

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ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 
第6回 2017年 8脚出品

出品椅子
1.テーブル付スツール   【タモ】
2.スモールサイドチェア   【ナラ  座板はセン】
3.アームレスロッカー   【ナラ  座板はセン】
4.サイドチェア   【ナラ  座板はセン】
5.ファンシーサイドチェア    【ナラ  座板はセコイヤ(レッドウッド)】
6.トールスツール   【ナラ  座板はセン 貫はタモ】
7.ミルキングスツール(フィドル)  【脚はナラ  座板はセン】 
8.ミルキングスツール(シールド)   【脚はナラ  座板はセン】

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1.テーブル付スツール   【タモ】

   

テーブルに向かって読書をするも良し 斜めに座って文字を書くも良し
壁を背にして座り 天板を肘置きにして休息するも良し
使い方いろいろ楽しめます。



2.スモールサイドチェア   【ナラ  座板はセン】

   

理想とする椅子の大きさや形は 用途や人の体形などにより違います。
この椅子は 背もたれと座面を狭く小さくデザインした比較的短時間の使用を目的とした形です。
座面の革は展示時の傷付き防止用で 座板はお尻の形に深くえぐってあります。



3.アームレスロッカー   【ナラ  座板はセン】

   

安楽や休息を目的として作られたロッキングチェアには肘置きや頭を支える部分があるのが普通です。
これは ウインザースタイルのサイドチェアをロッキングチェアに改造したもので
通常の物よりも座面を高く設定してあり サイドチェアでありながら少しの揺れと角度の違いを
楽しむというような使い方に適しています。
座面の革は展示時の傷付き防止用で 座板はお尻の形に深くえぐってあります。

*元の椅子は7月1日の記事 「第2回 2013年」に掲載している
「5. ローリングチェア(サイドロッカー)」と同じものです。



4.サイドチェア   【ナラ  座板はセン】

   

18世紀中頃のイギリスに出現したチッペンデールやシェラトンなどの「家具デザイナー(作家)」は
過去の様々な国や時代の様式家具の影響を受けながら独自のデザインへと変化させ作品を発表しました。
本品は それらのモチーフなどを参考にして より日本的に簡素なデザインにしたサイドチェアです。



5.ファンシーサイドチェア    【ナラ  座板はセコイヤ(レッドウッド)】

   


元の椅子は 廃番にした在庫のダイニングチェアで座面は革張りのクッションを嵌めていました。
もう一脚は形を変えて翌年に出品しています。

こちらの椅子の座板には、「うづくり加工」を施しています。
これは 使用しているセコイヤ杉の材質が軟らかく傷が付きやすいので その欠点をカバーするためです。
うづくり加工により軟らかい早材部を深く削り 硬い晩材部を浮き出たせています。



6.トールスツール   【脚はナラ 貫はタモ 座板はセン】



座面は床と並行ではなく少し前傾しています。
座面が高いので両脚にも少し体重を掛けるようにして座る比較的短時間の作業を目的としたスツールです。
貫の形は私のオリジナルで 薄板の「積層曲木接着(ラミネート)」で三角に組んでいます。



7.ミルキングスツール(フィドル)(左)  【セン】 
8.ミルキングスツール(シールド)(右)  【セン】

   

西洋で使用されているミルキングスツールは、山羊や牛などの乳搾りの作業を目的とした高さになっています。
この二脚は私のオリジナルで どちらも移動時に座板を片手で掴んで持ち上げやすいようにデザインしました。
「フィドル」は座面中央の狭くなっているところを掴みます。
「シールド」は穴に人差し指、中指 薬指の三本を入れて掴みます。
現代の家庭では 玄関で靴を履く時や 部屋の中で低い姿勢での作業などに適しています。

座面を掴む部分(丸い穴状のところ)には口が少し開いた細めのガラスコップを嵌めて花などを飾ることができます。

   


   

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***
本当の「「座っ展」については 
4月18日付の記事 「座っ展 2023 ー丹波で坐る木の椅子ー」のご案内 や
5月28日付の記事  第1回 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 2012年 5脚出品
をご覧ください。



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第5回 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」  2016年 7脚出品

2023年11月07日 | その他
踏み潰された椿の種に群がる黒い蟻たち



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ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 
第5回 2016年 7脚出品

出品椅子
1.いろいろゆれる・ロデオ 【脚部はナラ  座板とベースはセン】
2.いろいろゆれる・ZABU 【座面は合皮にクッション グリップはナラ  底のベース板はキリ】
3.いろいろゆれる・瞑想台 【支柱とグリップはナラ  ベースはセン】
4.トールスツール 【脚部はナラ  座板はセン】
5. グリップ付スツール 【クルミ  グリップ部分はナラ】
6.ミルキングスツール 【脚はナラ  座板はセン】  
7.スモールサイドチェアT型 【ナラ  座板はセン】  

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「いろいろゆれる」 三部作 オリジナル作品



底のベースと床が接する面は浅いボウル状(うどんすき鍋か)になっていて
前後左右 全方向に揺れる家具です。
底のカーブはほぼ同じですが 頭(腰)の高さが三種類違うので揺れる感覚もそれぞれです。
乗って目を閉じると楽しさ倍増です。


1.いろいろゆれる・「ロデオ」 【脚部はナラ  座板とベースはセン】



全方向に揺れるスツールです。
片手でグリップを握り 下の円盤に足を乗せて座ります。
(注)座ると足が宙に浮く子供さんは危険ですので使用できません。


2.いろいろゆれる・「ZABU」 【座面は合皮にクッション グリップはナラ  底のベース板はキリ】



これは正座あるいは胡坐(あぐら)の姿勢で使用するロッキングチェアです。
ちょっと邪魔ですが転げ落ちないように握り棒を取り付けています。
(注)子供さんは危険ですので使用できません。


3.いろいろゆれる・「瞑想台」 【支柱とグリップはナラ  ベースはセン】



これは厳密にいうと いわゆる「チェア」ではありません。
「椅子・いす」は、古くは「倚子」と書き 「いし」と発音していました。
にんべんの「倚」には「寄り掛かる」「凭れる」という意味があり今回は意味のこじつけから
「いろいろゆれるシリーズ」の組作品の一つとして出品しました。
(注)握り棒に手を添えて台に乗ってください。
子供さんは危険ですので使用できません。




年輪の里の指導員の方たちに乗ってもらいました。





4.トールスツール 【脚部はナラ  座板はセン】 



イギリスのウインザーチェア様式のスツールです。
脚の形は「バンブーレッグ」と言い 竹の形が元になっています。
前脚はその節のところが貫を取り付ける穴を穿つのに目印となっていて合理的です。


5.グリップ付スツール【クルミ  グリップ部分はナラ】



同じ形のものを何脚か作り 残った部品があったので何かヘンなモノを作ろうと思いこのようになりました。
持ち運ぶ時のためだけに座面の中央に把手を取り付けています。
白いところを引き抜くとと手提げのグリップになり 中心で持ち上げることで傾くことなく水平に移動ができます。
四本の脚は、かなり外側に広がっているような感じがしますが、接合部分の強度を保つためと
安定性や安全性を保つための角度で作っています。


6.ミルキングスツール(ビーンズ )【脚はナラ  座板はセン】



これは 【第1回 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 2012年 5脚出品】のところで掲載した
「ウォルナット」と同じ形です。 (以下の文もほぼ同じ)

「ミルキング」の名前の通り ヤギやヒツジの乳搾りのためのスツールで高さは30センチぐらいです。
乳搾りをする場所はたいてい土の地面ですので安定させるために足は三本脚になっています。(カメラの三脚と同じ)
座板は40ミリほどの厚さの板を使用し 座った時に転げないように(上体が前後左右に大きく動くので)
脚先ができるだけ座面の重心から外に出るようにかなりの角度を付けて座板に組み込んでいます。
現代では動物の乳搾りをする人も少ないので(笑)これらは家の中で普通の椅子と床との中間の高さで
何かの作業するときに使用します。
マンションの上がり框の無い玄関で靴を履いたりするときなどに便利です。

 
7.スモールサイドチェアT型 【ナラ  座板はセン】




オリジナルのウインザーチェアです。
定番で作っている「スモールサイドチェア」(翌年に出品)は座面がもう少し小さいのですが
これはお客様の要望で背凭れの形は変えずに座面だけを大きくしたデザインになっています。
だからちょっと格好が悪い。
「スモール」をコンセプトにデザインしているのに「何をさせるねん!」という感じです。

【右の小さいテーブルは 出展者の会合の時に「来場者が椅子の使い方をイメージできるよう
何か小さなものを置きたい」という私の要望が叶い置かせてもらうことになった物です。
これはラストの2019年まで続きます。】

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***
本当の「「座っ展」については 
4月18日付の記事 「座っ展 2023 ー丹波で坐る木の椅子ー」のご案内 や
5月28日付の記事  第1回 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 2012年 5脚出品
をご覧ください。

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第4回 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」  2015年 7脚出品

2023年10月05日 | その他
似て非なる物 3



左は8月13日の神戸ポートタワーです。 
現在 改修工事中ですが当日は台風が接近しているということで全体を覆う白い幕が
縦のパイプにきれいに括り付けられています。(本来の姿は検索して)
右は古い写真で イタリア 傾く前のピサの直塔です。




公園の椿の実が割れ始めました。
今年は地面に落ちた種を拾い集めて椿油を搾ってみようと思っています。
目標は5㎖ぐらいかな。


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ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 
第4回 2015年 7脚出品

出品椅子
1. アローバックサイドチェア・W 【ナラ  座板はセン】
2. 四本脚スツール・A「端正」  【脚部はナラ  座板はタモ】
3. 四本脚スツール・B「ひねくれ」  【脚部はナラ  座板はタモ】
4. あぐら椅子  【ナラ  座板はセン】
5. ローリングスツール・Ⅲ  【ナラ  座面は牛革にクッション】
6. チルドレンズベンチ・A  【タモ  オイル仕上げ】  
7. チルドレンズベンチ・B  【タモ  着色仕上げ】

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1.アローバックサイドチェア・W  【ナラ  座板はセン】



背もたれに矢の形をデザインしたウィンザ―チェアです。
一般に「ウィンザ―チェア」と呼ばれるスタイルの椅子は17世紀末ごろにイギリスで生まれ、その後
アメリカに渡り爆発的な人気を呼び発展しました。
イギリスもアメリカも様々な形があり、製作された年代や地域によっても少しずつ形が異なっています。

「ウィンザ―チェア」の主な定義としては次の二つが挙げられます。
★脚や背柱(背凭れも)及びアームの束(つか)が厚い座板に斜め突き刺さっていること。(主に丸いホゾで)
これは構造のシンプルさと頑丈さを兼ね備えています。
★座板は、お尻の形に深くえぐっていること。
 深くえぐることでクッションがなくても、お尻の肉がクッションとなり、尾てい骨をサポートし安楽に腰掛けられます。
展示の椅子は、サイドチェア(アームが無いイス)としては座面の幅と奥行きを広く深くとって安楽性にも重点を置いています。
(5月28日の記事 「第一回 2012年」のアローバックサイドチェアとは少し大きさや形が異なります)
※座面の革は、展示時の傷つき防止用です。



2.四本脚スツール・A「端正」  【脚部はナラ  座板はタモ】




AとB  座板に組み込む脚の方向を変えるだけで、こんなにもイメージの違うものが出来上がりました。

Aは少し円くなった四角形の座板の対角に向けて脚を付けたものです。
Bの脚は座面の対面に対して直角方向に穴を穿って取り付けたものです。
AとB 強度や安定性にはほとんど差はありません。

 

3.四本脚スツール・B「ひねくれ」  【脚部はナラ  座板はタモ】







4.あぐら椅子  【ナラ  座板はセン】



あぐら(胡座・胡坐)は背や腰の筋の活動度が高く 脚は楽ですが腰や背中には大きな負担が掛かっています。
床と同じ高さで座る 旅館にあるような曲げ木合板の背凭れ付きの座椅子は人間工学的にみると無茶苦茶なデザインと言えます。
座面の高さを床面から10㎝ほど上げることによって筋の活動度を減らすことが出来ます。
「あぐら」は後ろに凭れる姿勢ではないので このデザインの場合 背凭れには実用というより尻の位置を決めることと
肘置きとしての機能を持たせています。
足の板に付いている丸穴は ほんの少しだけ重量を軽くするためのものです。



5.ローリングスツール・Ⅲ  【ナラ  座面は牛革にクッション】



ロッキングチェアは常に二つの点だけで床に接しているのに転倒しないのはなぜでしょう?
長いそりを一つだけにして、三本脚のスツールのイメージでデザインしました。
靴を脱いで両足をそりの両端に乗せ尻に体重を預けて座ると前後どちらでも妙な揺れ方をします。
じっと座っていると普通のスツールとして使えます がやはり揺らさずにはいられません。
※座ると足が床に届かない小さい子供さんは使用できません。



6.チルドレンズベンチ・A  【タモ  オイル仕上げ】 



三日間(約15時間)の木工教室用にデザインしました。(2015年6月・兵庫県立三木山森林公園・20名)
座面の高さは五歳ぐらいの子供さんに適しています。
畳の部屋での使用や玄関で靴を履くなどの低い作業用として大人も腰掛けられるよう座面の幅を広くとっています。
その他 物を飾るなどいろいろな使い道がありそうです。
  
Aの塗装は樹脂オイルの擦り込み仕上げですが 下のBは素地に2回の着色を施した後樹脂オイルを擦り込んでいます。

Bは1回目の水性着色では乾いた後に手擦れや尻が当たるところなどを元の木の色が出るぐらいまで研磨紙で擦って色を落とし
2回目は顔料ウレタン樹脂系の濃い着色剤を塗った後すぐにウエスで色の調子を見ながら拭きとって古色感を表現しています。
アンティーク仕上げでは生地の段階でわざとへこみを付けたりスリ傷を付けた後に着色するとその部分が濃い色のまま残るので
使い古した感じを出すことができますが いつもはきれいに仕上げることを心がけて仕事をしていたので
これは少しの罪悪感が残りあまり好んだ仕上げではありません。

7.チルドレンズベンチ・B  【タモ  着色仕上げ】




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本当の「「座っ展」については 
4月18日付の記事 「座っ展 2023 ー丹波で坐る木の椅子ー」のご案内 や
5月28日付の記事  第1回 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 2012年 5脚出品
をご覧ください。






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第3回 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」  2014年 7脚出品

2023年08月10日 | その他
  公園の椿の実が色付いてきました。
  
  「ここから割れてやる!」という三本の筋を発見し嬉しくなりちょっとご報告を。

   


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ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 
第3回 2014年 7脚出品

出品椅子
1.ハイバック・アームチェア  (ナラ・座板はセン  ヘッドレストは織布にクッション)
2.ピアノスツール  (脚部はナラ  座面は合皮)
3.三本脚のスツールA  (脚はナラ  座板はセン  貫はステンレスパイプ)
4.三本脚のスツールB  (脚部はナラ  座板はセン)
5.ローバック・サイドチェア  (タモ  座面は織布にクッション)
6.ハイスツール (脚部はナラ  座板はクルミ)
7.グリップ付スツール  (脚と座板はセコイヤ【レッドウッド】  グリップはウォルナット)

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1.ハイバック・アームチェア  (ナラ  座板はセン  ヘッドレストは織布にクッション)

    
                                   (オットマンは非出品)

座面から上のデザインは第1回(二つ下の記事)のロッキングチェアと同じです。 
オットマン(足乗せ)があると居眠りに最適です。
ヘッドレストは丹波篠山でのモノづくりのグループで一緒に活動していた
服飾家の「たなかみゆき」さんに頼んで作ってもらいました。
後ろのベルトの調整により高さを変えられるようになっています。 
(ヘッドレストには汚れ防止のためのビニールを被せています。)



2.ピアノスツール  (脚部はナラ  座面は合皮)

   

古物店で程度の良いピアノスツールを贖い 付いていたスチールの脚を外して木製の脚部を取り付けました。
座面は内部に昇降機構がありグリップを回転することで昇降します。




3.三本脚のスツールA  (脚はナラ  座板はセン  貫はステンレスパイプ)
 
 


4.三本脚のスツールB  (脚部はナラ  座板はセン)

           

この2脚のスツールは 「座板を薄く見せる」と「金属の貫を付ける」ということをデザインのテーマとしましたが 
金属は木のようにゴマカシが出来ず Aの工作と組み立てに大変苦労をしたのでBの貫はデザインを変更し
2ミリ厚の薄板を積層に貼りながら曲げたものを三角形に合わせて一つの貫としました。

座板には厚さ30ミリの薄い板を使い 脚と座板の接合部分を中央に寄せたのでこのままでは強度が出ないので
写真には写っていませんが座板の裏側にもう1枚の円形板を貼り付けて貫通ホゾの長さを確保しています。 
貫通のホゾによる組み立てはホゾと穴との嵌め合いのきつさと共にその長さが重要です。




5.ローバックサイドチェア  (タモ  座面は織布にクッション)

   

2014年に兵庫県立三木山森林公園というところで2月~3月にかけて5回のシリーズで木工クラフトセミナー(20人程)の
講師をしたときにメニュウとして製作して頂いたデザインです。
技能レベルと製作時間を考慮して、構造の単純化を図りながらも頑丈さと格好の良さと座り心地にも気を配りました。
座面張りにも挑戦しました。

5日間 実質25時間の木工教室ではこのデザインをゼロから完成させることはほぼ不可能ですので一部の部品は
私が下加工したものをお渡ししています。(後脚上部のカーブや座面の合板の形取りや脚部と接合のための金具取付など)
座面張りは初日に工作の方法の見本を見せて最終日までに皆さんに家で製作して頂きました。
背凭れのデザインはもう少し幅の広い板を使いたかったのですが 材料と使用可能な工作道具との関係で
苦肉の策でこのようになりました。

右は参加されたHさんご夫妻から送って頂いた写真です。強度的に問題の無い範囲で自由に加飾して頂いています。




6.ハイスツール (脚部はナラ  座板はクルミ)

 

スツールは背凭れが無いため通常は作業のための腰掛けとして位置付けられています。
座板の高さはそれぞれの作業により違い これは通常のスツール(一般的な高さ約43センチ)より
座面の位置が高くなっています。使用目的としては、より作業性が強くなります。(高さ約48センチ)
**【もちろんすべての椅子の理想的な座面の高さは各人の伸長により変わってきます】





7. グリップ付スツール  (脚と座板はセコイヤ【レッドウッド】  グリップはウォルナット)

 

他で使った「セコイヤ杉」という軽く目の通った板が残っていたので「持ち運ぶこと」と目的としたスツールを作りました。 

生活工芸品としての「座る楽しさ」「見る楽しさ」に加えて、
移動時の「触れる楽しさ」を味わうためのウォルナット材の握り棒(グリップ)を取り付けました。


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本当の「「座っ展」については 
4月18日付の記事 「座っ展 2023 ー丹波で坐る木の椅子ー」のご案内 や
5月28日付の記事  第1回 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 2012年 5脚出品
をご覧ください。











 




                                  
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第2回 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」  2013年 6脚出品

2023年07月01日 | その他
ひとり回顧懐古・「座っとっ展」
   
第2回 2013年 6脚出品 



搬入時の風景   「座っ展」2013  ー丹波で坐る 木の椅子ー

   




出品椅子(左から)
1.T型スツール  (ナラ・座板はセン)
2.アームスツール  (セン)
3.二人掛けベンチ (クルミ)
4.バックスツール  (ナラ・座板はセン)
5. ローリングチェア(サイドロッカー) (ナラ・座板はセン)
6. カントリー・チッペンデールアームチェア (ナラ)

   

   

写真の各椅子の上には 事前の会合において他の参加者の皆さんの許諾を得たうえで個人的に用意したノートとペンが置いてあります。
会場では来場者の皆さんにアンケート用紙をお配りして感想などと共にお気に入りの椅子を選んでいただき
その理由などを書き込んで頂いていました。 後日これらを職員の方が細かく分類してまとめて下さりとても参考になっていました。

私はお気に入りに選ぶ選ばれないに拘わらず私の椅子に腰かけた方々の思いを直に知りたいと思い 
各ノートの表紙には簡単な説明と制作意図などを記して感想などを自由に記入して頂いていました。
会期が10日間程あり そのうち会場当番は1~2日だけでしたので お知り合いの人が来られたのに
お会い出来なかった時にも便利なノートでした。




1.T型スツール  (ナラ・座板はセン)

   

T型のTとは銅器の生産で有名な富山県の高岡市のことで ここで毎年催されているクラフトのコンペに出品したものです。
普段に製作する家具は「スタンダードな形の中に丈夫と美しさを兼ね備えたものを」という心がけで作っていましたが 
コンペティションに出品する物はそれとはすこしだけ違っていて 他の人が思い及ばないような形で 且つ 
道具としての機能(この場合は安楽に座ることができる)を備えている物 遊び心のあるデザインをということで
あれやこれやと結構楽しめる作業になります。
もちろん賞金を狙いますがこの時は入選止まりでした。

屋外での写真のほうがよくわかりますが座板に組み込まれている脚のホゾが一直線になっています。
そして その直線を強調するために中央にもうひとつ5個目のホゾを取り付けました。
何か意味のないものが垂れ下がっています。 
いやいやこれはちゃんと用途としての意味がある物で 移動の時にこれを掴んで持ち上げるとバランスよく持ち運べるという
半ばこじつけのような代物です。

脚の形がツイストしているように見えるのも面白いところです。
これは原寸の平面図を書いて各々のホゾ位置と足先の位置を決めて角度を割り出して座板に穿孔します。
端から2本目の脚はかなり角度が付いていて製作と強度的には限界に近いところでした。
そのような理由から座板の形は少し細長い目の楕円になっています。
例によって座板の表面は尻がフィットするように少し抉ってあります。

   
2.アームスツール  (セン)

   

2008年に兵庫県立三木山森林公園というところで1月~2月にかけて5回のシリーズで木工クラフトセミナー(20人程)の
講師をしたときにメニュウとして製作して頂いたデザインです。
クラフトセミナーでは毎回テーマを決めてデザインしますがこの時のテーマは座面下の板の工作でした。
脚に繋がる2枚の幅の広い板(根太・幕板)が中央で交差しますが この部分が弱いと椅子が3日と持たないので
少々複雑な加工になっています。(文字での説明も難しい)
飾り程度のアームレストはいろいろなデザインの型紙を用意したり各自で考えたりして楽しんでいただきました。
私のは満月と月食です。

参加者には初めから完成品を見せるのではなく各部品に加え10分の1の三面図と工作する部分の原寸の三面図をお渡しして
製作のポイントなどを説明します。
工作に掛かるときにはこのクラフトセミナーの一番の重要課題として道具の使い方や木の特性などを話しながら
作業の見本を見せ 私のほうも皆さんの進捗度合いに合わせて部品の加工を進めてゆきます。
三面図と一緒に5回分の工程表もお渡ししているのでだいたいのその日の作業に目途が付くようにはしていましたが 
全くの初心者の方もいらっしゃいますので館のサポーターの方にも手伝って頂いて5回目には必ず完成させ
塗装も終えて楽しく持って帰って頂くということを目標にしていました。


   
   

3.二人掛けベンチ (クルミ)

   

展示の物は単体の写真が見当たりませんでしたので同じぐらいの大きさの写真を載せています。
こちらのデザインは体重を支えるための構造が少し違います。 
もう一つ 下は2メートルほどの長さで幅も少し広いベンチの製作途中の写真です。

  

板厚も厚いものを使用しています(ウォルナット材)。 展示物の構造はこちらとほぼ同じです。
こちらは座板が長いので(3~4人掛け)座面裏の根太を一本の幅の広い板にして体重を支えられるようにしています。
展示物のほうは長さ130センチ程ですので座る人数と座る位置から板の厚みだけで支えられると判断して
脚部の所だけ横揺れ防止の根太を取り付けています。

   


4.バックスツール  (ナラ・座板はセン)

   

   

ウインザーチェアのスタイルで背もたれが極端に低いものを作ってみました。
展示の物は単体の写真が見当たりませんでしたので その後に作った同じようなスツールを載せています。
背凭れのデザインをちょっと変えています。

イギリスの古い資料を見るとスツールに低い背凭れが付いた腰掛は「チェア」では無く「バックスツール」として分類していました。
また「椅子」の成り立ちの歴史では 「チェア」の背凭れが取れて無くなって「スツール」が出来たのではなく
背凭れの無い「スツール」から背凭れを付けた「チェア」へと変化したようです。

先史時代に石の床に寝ていた穴居人が体を起こして胡坐や立膝で座りながらいろいろと作業をしていたけど
ちょっと高くなった岩に腰かけたところ途端に作業性が良くなった辺りから「腰掛け」という物が生まれたのかもしれません。
その後 長い年月をかけて臥位の姿勢でなくても上半身を安楽させるために腰掛に背凭れが付いたのでしょう。
しかし 人間工学の観点では人間の上半身で一番の安楽姿勢は寝ている状態で 椅子に座ってもたれている時が
一番の緊張状態になるそうです。
寝ていては何も作業ができないので「人間は仕方なく椅子に座っている」ということになりましょうか。


5. ローリングチェア(サイドロッカー) (ナラ・座板はセン)
   


5. ローリングチェア(サイドロッカー) (ナラ・座板はセン)

とても珍しい横に揺れるロッキングチェアです。 「ローリング」(横揺れ)は私の勝手な命名です。
数あるアメリカの古い椅子の資料の中で唯一見つけ出したのがこの形で他に類は見当たりません。
丁度 廃番にしようと思っていたサイドチェアの在庫が二脚あったので一脚をこれにしてみました。
(残りの一脚は4年後の2017年に形を変えて登場します)

私にとって珍しいものは当然お客さんにとっても初めて目にするものでしたので評判は良かったです。
足先をそりの両端に乗せ全体重でユラユラすると脳みそが横に揺られて新しい発想が生まれるような気がします。
そりは資料よりも緩いカーブにして揺れ過ぎないようにしています。且つ両端10センチほどはそりの底を直線にして
それ以上に揺れないようになっています。 もちろん揺らさずに普通の椅子としても使用可能です。


6.カントリー・チッペンデールアームチェア (ナラ)

   

18世紀にイギリスで活躍したトーマス・チッペンデールの名前が付いていますが この形はアメリカの18世紀終わり頃に
アメリカで名もなき職人が作ったものと思われます。
ペンシルバニアの博物館での当時の室内風景展示の資料写真として載っていたものです。
チッペンデールに限らずウェグナー然り 家具作家のほとんどは過去の様式家具を学び自分のスタイルに中に取り込んで
デザインして世に送り出しています。

写真はチッペンデールのスタイルを極端に簡素化した背凭れを用いています。
座板は平面の板になっていてそのままではちょっと尻が痛いです。
資料では前貫(前脚の下部をつなぐ横棒)があったのですが座ると足の後ろが当たりそうなので位置を変えて横貫に取り付けました。(中貫)


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本当の「「座っ展」については 
4月18日付の記事 「座っ展 2023 ー丹波で坐る木の椅子ー」のご案内 や
5月28日付の記事  第1回 ひとり回顧懐古・「座っとっ展」 2012年 5脚出品
をご覧ください。

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