22-213「沈黙のパレード」（日本）

まったくユルくない
　数年前から行方不明になっていた女子高生が、遺体となって発見された。
　警視庁捜査一課の刑事・内海によると事件の容疑者は、湯川の大学時代の同期でもある刑事・草薙がかつて担当した少女殺害事件の容疑者で、無罪となった男だった。男は今回も黙秘を貫いて証拠不十分で釈放され、女子高生が住んでいた町に戻って来る。
　憎悪の空気が町全体を覆う中、夏祭りのパレード当日、さらなる事件が起こる。（「作品資料」より）


　「容疑者Ｘの献身」「真夏の方程式」に続く〝ガリレオ〟シリーズ劇場版第３弾。

　３年前に行方不明となった少女の遺体が発見され、蓮沼という男が容疑者として挙がるが、彼は２３年前にも少女殺害の容疑者となったものの完全沈黙を貫き、無罪になった男。

　今回も完全に沈黙を貫き、証拠不十分で釈放され、遺族は憤りを感じる。

　そんな中、町のパレードが行われた日、蓮沼が殺される。

　もちろん容疑者として挙がるのは、殺された少女の家族であり、恋人であり、仲の良かった人々。

　湯川がその謎を解き明かすという展開であるが、かつて蓮沼を落とすことが出来ず、無罪にしてしまったという苦悩を抱える、湯川の親友で刑事である草薙の憔悴も描かれる。

　殺された並木佐織は家族のみならず、周囲の人々に愛されており、それ故蓮沼を憎み、容疑者となり得る人物も多数。

　果たして、いったい誰が蓮沼を殺したのか。

　科学による犯罪の証明というものはわずかで、そこには犯罪による犠牲者になった人々が抱えている苦悩が描かれる。

　いかにも悪人であるという感じの蓮沼に対し、佐織の関係者は善人という感じ。

　そんな中から、真犯人が明らかとなるのか。

　実は、佐織殺害に関しては、真相が隠されており、更にまたその裏に隠されていたものがあるという展開が最後に用意されている。

　事件の真相に関しては、少なからずエゴというものがあったのかなという感じはする。

　果たして、状況証拠だけで完黙によって無罪になるのだろうか。

　事件の仕掛けと、関係者のそれぞれの思いを描き、今回も面白い人間ドラマであった。

/５

監督：西谷弘
出演：福山雅治、柴咲コウ、北村一輝、飯尾和樹、戸田菜穂、田口浩正、酒向芳、岡山天音、川床明日香、出口夏希、村上淳、吉田羊、檀れい、椎名桔平
於：新宿ピカデリー