CINECHANが観た映画について

映画ブログ。感想というより記録のようなもの。
基本的にはネタバレに近いものがあります。

23-075「ロストケア」(日本)

2023年04月04日 00時50分16秒 | 日本映画
世の中には見えるものと見えないものじゃなく、見たいものと見たくないものがあるのかもしれない
 ある早朝、民家で老人と訪問介護センター所長の死体が発見された。死んだ所長が勤める介護センターの介護士・斯波宗典が犯人として浮上するが、彼は介護家族からも慕われる心優しい青年だった。
 検事の大友秀美は、斯波が働く介護センターで老人の死亡率が異様に高いことを突き止める。取調室で斯波は多くの老人の命を奪ったことを認めるが、自分がした行為は「殺人」ではなく「救い」であると主張。
 大友は事件の真相に迫る中で、心を激しく揺さぶられる。(「作品資料」より)


 42人もの介護対象者を殺害した、介護士の斯波宗典。

 介護士として優しい姿を見せ、介護家族からも慕われる青年であった。

 ある日、介護対象者の老人と介護センターの所長が同じ家で亡くなっていることが発見され、それをきっかけに斯波が働く介護センターの老人たちの死亡率が高いことが突き止められる。

 斯波を尋問する検事の大友秀美。

 そして、斯波は介護対象者である老人たち、42人を救ったと口にする。

 斯波は介護が必要な者とその家族の壮絶な生活を口にし、やがて自分と父親の壮絶な介護生活とその救いについて語る。

 自分は殺したのではなく、老人たちとその家族を救ったのだと主張する斯波。

 理不尽に聞こえる主張ではあるが、実際に介護の大変さというものを考えると、簡単に一蹴出来るものでもなかったな。

 検事の大友自身も母親が認知症気味で、老人ホームに入っていることもあり、斯波の話と主張は少なからず心に突き刺さるようなものだったらしい。

 斯波の罪がどうなるのかを焦点にしている話ではなく、斯波の主張する話を考えさせる話になっている。

 実際、裁判の内容は最後の判決の法廷だけであった。

 斯波は介護をしている時は献身的で優しい。

 しかし、家族がもうこれ以上だと壊れてしまうとなった時に、犯行に至っていたのだろう。

 ラストは、大友が斯波に、判決が出たであろう後に面会にいき、思わぬことを語るところで終わる。

 斯波の言葉が胸に刺さったのは、母親のことだけではなかったんだな。

 エンターテインメントでもあり、社会的な問題を捉えた話として興味深い作品であった。

/5

監督:前田哲
出演:松山ケンイチ、長澤まさみ、鈴鹿央士、坂井真紀、戸田菜穂、峯村リエ、加藤菜津、やす、岩谷健司、井上肇、綾戸智恵、梶原善、藤田弓子、柄本明
於:TOHOシネマズ池袋

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 23-074「シン・仮面ライダー... | トップ | 23-076「三茶のポルターガイ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本映画」カテゴリの最新記事