少し報道も下火になってきましたので、オリンピック組織委員会の高橋理事の収賄罪について取り上げてみます。
そもそも、昨年の東京オリンピックの開催については、
・平成27年法律第33号「令和3年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法」
こんな法律があったのですね。勿論時限立法なんですが。そして、その中には
(組織委員会の役員及び職員の地位)
第28条 組織委員会の役員及び職員は、刑法(明治40年法律第45号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第28条 組織委員会の役員及び職員は、刑法(明治40年法律第45号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
という条文があって、この組織委員会の職員は事実上の公務員であった訳です。ほとんどの職員は東京都や文科省などから出向を命ぜられた元々公務員だった人が多いと思いますので、こんな条文があろうがなかろうが、自分の立場には変化を感じなかったと思います。
で、その刑法なんですが・・・
刑法:第197条 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する。
これは「単純収賄」といわれるものでして、収賄には「受託収賄」「事前収賄」「事後収賄」「斡旋収賄」などがありますが最も重いのは「加重収賄」で詳細は略しますが、20年以下の懲役刑になります。
つまり、公務員たるもの、業者など民間企業の方から金品を受け取ったり食事をおごって貰ったり何か便宜を図って貰ったら全部アウトなんです。ところが、民間企業の方はこうした金品のやり取りや接待で取引先に美味しい思いをさせて自分の会社の利益を図るのが『通常の文化』なのでしょうから、これはなんにも罪にはなりません。
ですから、高橋容疑者も電通の役員として、取引先の企業からどんなに阿漕に金品をせしめていても民間企業であればお咎めなし・・・というか上手く取引が出来ればお褒めにあずかれるのでしょう。
また、自分でコンサル会社を経営していても電通という会社では認められるのでしょうが、一般職の公務員ならば通常は免職になります。
高橋容疑者は、オリンピック組織委員会に理事として入った以上、金品の収受はいかなる言い訳も出来ないのだと知るべきでした。が、それ以上に、電通始め日本の企業の皆さんが本当の製品の価値や企業の将来性などよりも、相変わらずこうした利益誘導で自分の懐を肥やすことが行動基準になっていること自体に情けなさを感じます。失われた30年とかで政府の経済政策を批判している経済団体の皆さん・・・こんな薄汚い企業文化こそが日本の活力を奪ってきたことを自覚して欲しいなあ・・・とおもっています。