東海地震に対する意識を高めるブログ

東海地震への防災・減災意識を高めるため東海・東南海・神奈川周辺で発生したM3以上の有感地震を眺めるシンプルなブログです。

想定東海地震の長期評価(30年以内発生確率88%)を今後単独では行わないという新しい方針について

2013年05月25日 | 気象庁「東海地震に関連する情報」/その他
     
           (地震本部HP「南海トラフの地震活動の長期評価(第二版)について」より)


政府の地震調査委員会は24日、東海地震の長期評価に関して新しい方針を発表しました。
新しい方針によって、従来行ってきた東海地震の長期評価(最新の数値では30年以内の発生確率は88%とされています)を今後単独では行わない、
その代わりに、東海地震を含む南海トラフ沿いのどこかで起きる大規模地震を全体として長期評価する、ということになりました(上図参照)。

ではなぜこのような方針変更を行うことにしたのでしょうか?
それは「個別の地震がどのような起こり方をするかは、現時点の科学的知見では分からない」という理由によるようです。

ところで、この新方針の中で、東海地震を含む南海トラフ沿いのどこかで大規模地震が発生する発生確率は「60~70%」と発表されています(上図参照)。
ですが、同じく地震調査委員会が今年1月に発表したデータでは、東海地震が発生する確率は「88%」とされていました。
ということは、わずか数か月の間に東海地震の発生確率が18~28%も急に下がったことになります。
これは一体どういう意味なのでしょうか?

この点について、地震調査委員会の本蔵義守委員長(東京工大名誉教授)は「(南海トラフ沿い全体でみた発生確率の60~70%は)非常に高い数値で切迫性は変わらない。
歴史的にも最短の発生間隔は90年。昭和の南海、東南海地震から考えるとあと20年だが、それより早く発生しないという保証はない」と話しています。

要するに、従来通り、東海地震の発生確率は非常に高いままであり、いつ発生してもおかしくないことに変わりはない、と私たちは思っておけばよいということでしょう。

ただ、この新方針によって今後は東海地震単独の発生確率が公表されなくなりますので、東海地震に対する住民の警戒感が次第に弱まっていきはしないか、と少し気がかりではあります。

小川英雄・静岡県危機管理監は「東南海・南海と違い、東海地震は約160年起きていない。1日ごとに発生は近づいている」と言っておられます。
東海地震に対する切迫感を今後も決して気を緩めずに持ち続けていきたいものです。


【関連報道記事など】

○ 「東海」の枠組み消滅 南海トラフに統合 (静岡新聞 2013/5/25)【※リンク切れ】

○ 〔南海トラフに統合〕「切迫性は不変」 東海地震、意識低下を懸念 (静岡新聞 2013/5/25)【※リンク切れ】

○ 南海トラフの地震活動の長期評価(第二版)について (地震調査委員会 2013/5/24)




今年3月から、気象庁の「東海地震に関連する情報」が新しくなっています

2011年07月20日 | 気象庁「東海地震に関連する情報」/その他

本年3月24日から、気象庁が発表する東海地震に関連する情報の名称などについて、少々変更が行われています。

この変更から約4ヶ月が経過していますので、すでにご存知の方が多いかと思いますが、
変更前後に東日本大震災、原発事故、計画停電などがあった影響で見逃した方がいらっしゃるかもしれません。
そこで、変更点についてもう一度見ておくことにしましょう。

重大な変更はありませんが、今後の気象庁からの発表に驚いたりしないように、
この機会に情報の意味を確かめておいて損はないでしょう。

変更されたのは、以下の3点です。


1 「東海地震観測情報」から「東海地震に関連する調査情報」へ名称を変更

以前は、観測データに通常と異なる変動があるが、それが東海地震の前兆現象であると直ちに判断できない場合に
その原因についての調査の状況を発表する情報を、「東海地震観測情報」という名称で呼んでいました。

しかし、「東海地震観測情報」という名称は、すでに東海地震が発生しているかのような印象を人に与え、
わかりにくいということがありました。

そこで、「東海地震観測情報」は「東海地震に関連する調査情報」(下表のカラーレベル青の「臨時」)という名称へ
変更されました。


2 各情報の危険度を赤・黄・青の「カラーレベル」で表示

各情報の危険度が一見してわかるように、各情報に赤・黄・青の「カラーレベル」を付けて表示することになりました(下表 - 気象庁HP 「東海地震に関連する情報」より)。





3 毎月、「東海地震に関連する調査情報(定例)」を発表

「東海地震観測情報(旧称)」は、
「変化の原因について調査中です。通常通りの生活を継続してください。」という旨を伝える情報で、
観測データに通常と異なる変動があったときにだけ不定期に発表されていました。

ところが、日頃馴染みが薄いため、気象庁から突然に発表されて「何か大変なことが起こるのか?」
と住民が不安になることがありました。

そこで、平時から東海地震に関する情報に接する機会を増やし、住民の理解をすすめるため、
「東海地震に関連する調査情報」(定例)として毎月定期的な発表も行うことになりました(上表のカラーレベル青の「定例」)。
定例の発表内容は、気象庁で毎月開かれる判定会の評価結果を伝えるものとなります。

「東海地震観測情報(旧称)」については、1で述べた通り、「東海地震に関連する調査情報」(臨時)へ名称を変更した上で、存続させています(上表のカラーレベル青の「臨時」)。


さらに詳しい内容については、気象庁HP 「東海地震に関連する情報」 をご覧ください。


なお、これらについてわかりやすく説明している小冊子が、
静岡地方気象台作成 「東海地震に備えろ!」です。
東海地震についてイラスト入りで子供たちへ分かりやすく解説したものですが、大人にも十分参考になります!