(地震本部HP「南海トラフの地震活動の長期評価(第二版)について」より)
政府の地震調査委員会は24日、東海地震の長期評価に関して新しい方針を発表しました。
新しい方針によって、従来行ってきた東海地震の長期評価(最新の数値では30年以内の発生確率は88%とされています)を今後単独では行わない、
その代わりに、東海地震を含む南海トラフ沿いのどこかで起きる大規模地震を全体として長期評価する、ということになりました(上図参照)。
ではなぜこのような方針変更を行うことにしたのでしょうか?
それは「個別の地震がどのような起こり方をするかは、現時点の科学的知見では分からない」という理由によるようです。
ところで、この新方針の中で、東海地震を含む南海トラフ沿いのどこかで大規模地震が発生する発生確率は「60~70%」と発表されています(上図参照)。
ですが、同じく地震調査委員会が今年1月に発表したデータでは、東海地震が発生する確率は「88%」とされていました。
ということは、わずか数か月の間に東海地震の発生確率が18~28%も急に下がったことになります。
これは一体どういう意味なのでしょうか?
この点について、地震調査委員会の本蔵義守委員長(東京工大名誉教授)は「(南海トラフ沿い全体でみた発生確率の60~70%は)非常に高い数値で切迫性は変わらない。
歴史的にも最短の発生間隔は90年。昭和の南海、東南海地震から考えるとあと20年だが、それより早く発生しないという保証はない」と話しています。
要するに、従来通り、東海地震の発生確率は非常に高いままであり、いつ発生してもおかしくないことに変わりはない、と私たちは思っておけばよいということでしょう。
ただ、この新方針によって今後は東海地震単独の発生確率が公表されなくなりますので、東海地震に対する住民の警戒感が次第に弱まっていきはしないか、と少し気がかりではあります。
小川英雄・静岡県危機管理監は「東南海・南海と違い、東海地震は約160年起きていない。1日ごとに発生は近づいている」と言っておられます。
東海地震に対する切迫感を今後も決して気を緩めずに持ち続けていきたいものです。
【関連報道記事など】
○ 「東海」の枠組み消滅 南海トラフに統合 (静岡新聞 2013/5/25)【※リンク切れ】
○ 〔南海トラフに統合〕「切迫性は不変」 東海地震、意識低下を懸念 (静岡新聞 2013/5/25)【※リンク切れ】
○ 南海トラフの地震活動の長期評価(第二版)について (地震調査委員会 2013/5/24)