こうちゃんとタッパ

 

 

　こちらに引っ越してきて　説明すれば少しややこしいけれど　遠い親戚の

　こうちゃんの家から　ずいぶんと近くなりました。

　もともと　こうちゃんは母と仲良しで　ひとり暮らしだったときに　ちょくちょく訪ねてくれて

　「おばあちゃん　焼き飯作って～」　と　やってきては　美味しい美味しいと

　食べて　母を喜ばせてくれていました。

　引越しの手伝いもしてくれたことから　その後も道がついたように　やってきてくれます。

　ある日　おばあちゃんが　ピーマンを炒め　お醤油で軽く味付けしただけの小鉢を

　これまた　旨い旨いと　気に入って食べていたかと思うと

　数日後　家で作っている（作っているのはお父さん）　ピーマンときゅうりを持ってきて

　「おばちゃん　これで　弁当のおかず作ってよ」

　「あはは　よほどこの間のが　気に入ったのね。いいよ～」

　まだ　就職したばかりで　給料も安いので　お弁当を自分で作っているらしいのですが

　ろくなものが出来ないから　持って来たと言います。

　お父さんと　今は二人暮らしなので　夕食もメニューは限られていて　だんだんと

　買ってくるようになったと笑います。

　「おばちゃんが　帰ってきたら　もうおばあちゃんより　おばちゃんに作って欲しいのね」

　母が笑いながら　ちょこっとやきもち　(笑)

　冷蔵庫にあるもので合わせて　サササっと　3品くらい作って　タッパに入れてあげると

　喜んで持って帰りました。

　何日かすると　また　ピーマンを持ってきて　タッパに入れてお弁当のおかずを

　持って帰るのです。ピーマンばかりじゃ飽きるだろうに．．．．

　「これまで　自分で作っていたんだろうね．．．」

　「お母さんがいないのだし　おばあちゃんも亡くなったから　するしかないしね」

　母が不憫がって　ずっと可愛がってきた子なので　こうちゃんも　だんだんと

　出来ることが制限されていく母の体を　いつも気遣ってくれます。

　ところが　何回か持って帰るうちに　タッパの数がどんどん減って

　「こうちゃん　作るのはいいんだけど　タッパを持ってこないと入れられないよ」

　「あっ　また忘れた～出るまでは覚えていたのになあ．．．次もってくるね」

　「きゅうりやピーマンはいいから　タッパを持っておいで」　と　叱られています。(笑)

　そのうち　一度作ってあげたメニューを覚えると

　マーボ茄子や　ほうれん草のおひたし　たこ酢　肉じゃが　鳥の香草焼きなどの

　材料を買ってきて　「おばちゃん　作って～」　と　さげてくるのです。　

　私が作っている間　母と五目並べやオセロで真剣勝負です。(笑)

　こうちゃんも　そのうちいい人見つけないとね．．．．優しい子だといいな。

　あっ　またタッパ忘れてるぅぅぅ。　こらあ～～

　次はちゃんと持って来るんだよ～～～。

 

　そんなこうちゃんが　8月のわたしの誕生日に　写真の百合1輪とお財布を

　プレゼントしてくれました。　ありがとね～～～大事にするね。^-^