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yuzuの記

優しい風に誘われて

母の午後

2021-09-03 16:15:05 | つれづれ

 

 

まだ私が大阪で、新病院の検査室立ち上げ禍中だった頃

朝起きた時から寝るまで、分秒単位でのスケジュールに追われて

仕事漬けの日々を過ごしていました。

田舎では母が何度かの膝の手術を受けて正座が出来なくなり

長年続けていたお茶とお花の出稽古も家の稽古も

自分でもう限界と判断して退いていました。

父が亡くなって以来兄一家は近くにいるものの

昔ながらの古くてだだっ広い家にひとりいることが心配で

月に1度は実家に帰っていたものです。

「 大阪で一緒に住もうよ。私も安心だし 」

どう見ても兄夫婦との同居はなさそうにみえて

娘と暮らす方が気楽でいいはずです。

何度そう話してみても

「 ひとりでやれるうちはここにいるわ。親しい人はみんなこのまわりにいるのだし 」

と、頑固に首を縦にふりません。その気持ちもわかるのです。

ある日、システムの都合で土曜日の作業が急に中止になりました。

連絡はしていないけど帰ってみようか・・・

思い立って実家に帰ってみると母は留守でした。

どこに行ったのだろう・・あの足では遠くへは行けないはずだし・・・

買い物は一人では行けないし、午後に病院ということはないだろう。

玄関の鍵も開いてたからすぐ戻るつもりだったのだろう。

取りあえず隣近所を探しても見当たらなくて

私は車で近くを走ってみることにしました。

母は携帯などは持たない人です。

お天気も良く日差しも暖かい午後です。

もしかしてゆっくりと散歩にでも出たのでしょうか。

家から700mほどの市役所の近くが公園になっていて

すぐそばの土手沿いは桜並木の美しい所です。

まさかとは思いつつゆっくり探していると

少年野球をやっているグランドでは家族も含めて

賑やかに応援していました。

ふとみると、すこし離れたベンチに座っている人の後姿が・・・

母だ・・・こんなところで何を・・

ひとりベンチに腰掛けて

白球や少年たちを目で追っているのかと思うと

目の前の少年野球を見ると言うより

ただ視線をそこに置いていると言った感じで

心はどこかへ飛んで行ってるようにみえ

その空間だけがやけに寂しそうでやるせなくなくなりました。

こんなところまで杖を頼りに休み休み歩いてきたんですね。

 

「 こんなところにいたの? あちこち探したよ 」

そっと声をかけると驚いて、それからぱあ~ と明るく笑いました。

「 どうしたの ? 急に 休みが取れたの ? 」

 

ふたりで腰かけて

「 少年野球もいいねえ 」 としばらく見ていました。

いつも家で習字の稽古やパズルなどしている姿に慣れていましたが

人には極力頼らない気丈な母の一面にうろたえて言葉も続かなくて

 

あなたはこんな午後を過ごすこともあったのですね。・・・

 

それから実家に帰るのは月に2度になりました。

もう遠い昔のひとコマのようになってしまいましたね。

 


この夏が残したもの

2021-08-30 08:35:06 | つれづれ

 

 

今年の高校野球選手権大会も

智辯和歌山と智辯学園の兄弟校対決で幕を閉じ

戦ってきた他の高校球児たちの夏も終わりましたね。

 

何故こんな時期に無理やり開催するのかと

( 4年に一度の照準を定めて努力を重ねたアスリートたちに思いは飛ぶけれど )

開催自体がいぶかしく思えたオリンピックもありました。

背景に IOC や日本政府の利権がちらつく五輪とは違って

それこそ一心な姿に心鷲掴みの高校野球でした。

純粋な姿って、青春ていいなあ~ ~ o(*^▽^*)o~♪ 

心底お疲れさまでしたと拍手を送りたい気持ちになります。

 

 

夏休み最後の土日とあり

琵琶湖にも多くの水上バイクや泳ぐ人たちが

繰り出してきて賑わっています。

滋賀県も緊急事態宣言が発令されて

緊張感が増しているはずの時期ですが

目の前にはいつもの夏が広がっていているようです。

 

 

この夏は・・・

いろんな不安や心配事に包囲された夏だったかも・・

そしてそれはまだまだ出口の見えない錯綜が続いていて

私の周りでも新型コロナワクチンへの不信感から

ワクチン接種を受けないと決断する人もやや増えてきました。

接種することのリスクとしない事のリスクを

よく考えるように説得していますが

一部報道の接種への危険性にフォーカスした伝え方にも

問題があるようにも思えます。

打つ打たないは本人の自由意志ではあるけれど

全国民が集団免疫を獲得する方向性は他国の例からも

間違ってはいないと私は思うのですがどうなのでしょうね。

 

 

毎年のように湖岸の遊泳地域では水難事故が起きています。

今年も台風がやってこようとする白波の立つ時期に18歳の若者が

この写真の松林沖で死亡する事故がありました。

 

命は自分で守らなくてはいけない と

様々な場面で考えさせられる2021年の夏は

もうすぐ終わろうとしています。

 


瀬田川の黄昏時に

2021-06-25 09:47:10 | つれづれ

 

 

黄昏時の瀬田川東岸をそぞろ歩いていると

西の空に伊丹空港へ向かう飛行機の白い軌跡が

次々いくつも続いている。

混んでるなあ・・・

瀬田の唐橋の橋桁の間をこれまたスイスイと

練習を終えたボートが何艘も帰路に向かっている。

ふと見ると、先ほどから漕ぐのをやめた1艘が

茫然と身動きもせずに波に揺られている。

 

その姿はまるで何かにはぐれてしまったように

孤独に包まれているようだった。

川面に光の帯がキラキラと

こちらへ伸びて来て彼をすっぽりと包んだ。

どれくらいそうしていたのか

やがて彼はギヤを入れなおしたかのように

その光の帯から抜け出して行った。

 

がんばれ・・・心の中で小さく手をたたいて

彼の悩める「青春の時」を見送った日のこと・・・

 


紫陽花忌

2021-06-20 08:34:07 | つれづれ

 

 

今年も紫陽花忌がやってきましたね。

勝手に名付けた命日だけど

あなたにとても似合っていると思っています。

 

 

みんなで集まることも叶わず

片道4時間の道のりが今は厳しくて

また無精になってしまいましたね。

 

 

時は人に優しくて

あんなに悲しかった日々も少しずつ少しずつ

和らげていってくれましたよ。

 

 

三室戸寺の紫陽花も

今頃は見事に咲いているでしょうね。

雨上がりの水滴が思われますよ。

 

 

遠くへ行けないので

芦刈園の紫陽花を辿っていますが

ここもやってくる人に親切なところですよ。

 

 

紫陽花忌がやってくると

ああすればよかったこうすればよかった 

との後悔で、切なかったものですが

 

 

今はたくさんの人に助けられながら

出来ることも出来ないことも受け入れて

ゆっくりいこうと思っていますよ。

 

また来年の紫陽花忌まで・・・

 

 


心の渇き

2021-06-14 11:50:17 | つれづれ

 

 

会いたい人になかなか会えないそのように

本当に行きたいところへはなかなか行けなくなって

もうずいぶん季節が巡りましたね。

 

 

風になって自由に緑の木立をすり抜け空を旅して

峰々を仰ぐあのまほろばに立ちたいものですよ。

心が飢えるような気がして寂しく思っていたら

ふいに、試練が降ってきました。

そっかあ・・・

大丈夫、乗り越えて見せますよ ^-^

 

 

曇り空の隙間から時折差してくる光に

スポットライトを浴びたように息づく苔たちが

一瞬主役のように浮き立っていますよ。

 

そうですね、まだまだ頑張れますよ ^-^

 


何気ない野辺に

2021-03-12 11:43:54 | つれづれ

 

寒さも和らいで比較的暖かな日差しが野辺にも注いで

こんなところにも小さな春が息づいていますね。

 

 

薄皮が1枚1枚再生するように少しずつ辛い記憶を超えて

あれから10年が経ったのですね。

 

いっぱいいっぱい光が当たるといいね。

人にも地にも・・・

 


もしも水鳥がこんな話をしていたら・・・

2020-12-04 07:54:36 | つれづれ

 

 

 「 ねえ、どうして僕と結婚しなかったの? 」

「 さあ・・もう何十年の前の事だから忘れたわ。」

 

晩秋にしては暖かい日の小さな池に

水鳥のカップルが二組ゆったりと過ごしていました。

ん? その一組の方の距離感が微妙で気になり

つい先日Prime Bideoで観た

琵琶湖畔の古い旅館の再建ドラマのシーンが蘇ってきて

妄想が膨らみます。

そのセリフが思い出されて思わずクスクス ^-^

 

 

「 何十年も経った今だから言えるってこともあるんじゃないのかな? 」

 

 

「 男の人は大変ね、納得いかないことがあればとことん知ろうとするのね。

 女はね、どうにもない事なら忘れるようにするの。

そんな時代だったでしょ。ふたりともいろんなことがあったけど 」

「 僕もそれなりに頑張って来たよ。もう先が長くないと分かったら

自分の心に解決を付けてやりたくてね 」

「 今こんなにいい友人としていられるじゃない、それで十分よ 」

「 そっか、そうだね・・・1日1日、大事に過ごすとしますか 」

 

 

湖畔の夕景に包まれて湖に向かいながら

語り合う二人の後ろ姿がなんとも静かで

残り少なくなった自分の心に収まりをつける様子が

頭の中のスクリーンに広がっていくようでした。

 

勝手な空想で水鳥には迷惑だったかも m(__)m

 


透けゆくあなたへ

2020-07-30 11:41:00 | つれづれ

 

 

ねえ

知っていますか ?

あなたがどんどんと透けていくようで

たまらなく不安だってこと

むかつくほどにえずくほどに

寂しいってこと・・・

 

あなたがいてくれることが

存在自体が

心の杖のようだったこと・・・

そうなっていくことは

何もかも承知しているはずなのに

無心でいられない私がいます。

 

頼りない命の残り火をようやく灯して

悟ったような穏やかな顔が

とてもとてもね

悔しくてならないのです。

 


祈り

2020-07-27 15:35:18 | つれづれ

 

 

久しぶりの朝焼け

日の出前のこのひと時が

いちばん美しいような気がしますね。

ふっと

まるで当たり前のように夜寝て、朝が来ると思っているけれど

近頃では無事に朝を迎えられる事に

ありがとう・・・と思います。

いつどんなことがあっても

元気でいることが何をおいても大切なんですね。

 

 

気づけばもう盛夏へ・・・

本当ならオリンピックが開催されていたはずでした。

この難局はいつ突破できるのでしょうね。

 

世界中が未知の細菌やウイルスの脅威にさらされることは

過去何度かありました。

今のこの時期にこの体験をしたことを

健康と安心を取り戻して

次代にこうだったよ と伝えられる日が

早くやってきますように・・・

 


紫陽花忌

2020-06-05 09:31:00 | つれづれ

 

 

はや 六月

もうまる8回目の紫陽花忌がやってきます。

そんなに年月が経ったと思えないのに

数字だけは無機質に増えて行くのですね。

あなたの長い長い不在に慣れはしませんが

今では、受け入れていますよ。

 

 

まだ6月に入ったばかりというのに

毎日暑い日が続いていますよ。

今年の命日にはお参りできそうもないですね。

県を4つもまたいで離れてしまい

今更どうしてこんな遠くへ来てしまったのだろう・・・と

何度も転勤で引っ越すことに頓着なかった癖の

つけが回ってきてしまいましたね。

でも元気にしていますよ。

世の中が早く落ち着いてほしいと今はそればかりです。

 

 

あれから

何度も相談したい事や

聞いてほしい事が

沢山ありましたよ。

妹がね

毎週あなたに電話していたそのように

今では毎週私にかけてきます ^-^

 

私があの子の実家になってあげなくちゃと

分かっていますよ・・・