僕の細道

【となりの山劇】第92話

<通勤の車窓 の巻 その3>

 そうしているうちに再び一宮の高架が始まり、電車は尾張一宮駅に到着します。この辺りまで来ると周辺の田んぼは殆どありません。付近一帯は住宅街になっています。
 一宮駅の高架は、岐阜駅ほど高度がなく、しかも周りは高いビルが多いので眺めはさほど良くはありません。

 一宮駅を過ぎると名鉄線は再び「右」の方へ別れてゆき、線路は次第に高度を下げていきます。
 名神高速の下をくぐると線路の分裂が増えていき、どんどん線路の本数が増えていき、やがて稲沢駅に到着します。

 稲沢駅ホームの真横にはJR貨物の機関車点検整備工場があり、整備待ちの機関車が多いときで数十台が軒を連ねて休んでいる姿は結構好きだったりします。

 ここから清州駅に向かって線路の数が減っていくのですが、この間にコンテナ車がズラリと並んでいて、これもなかなかの壮観だったりします。

 清州駅の右側真ん前には「アラクス」の工場があります。駅を発車すると右側から今度は新幹線が寄り添ってきます。
 その辺りで今度は電車の左側を見ると、ちょうど清州城が見えるんですね。清州城前の五条川には桜の木が多く植えられていて、春になると桜の名所になっているようです。

 電車が東名阪自動車道の下をくぐると、今度は左側にキリンビールの工場があり、工場を過ぎると左の方から城北線が寄り添ってきて、上から被さるように合流します。
 丁度この時、毎日間違いなく電車の右側をディーゼル機関車の3重連とすれ違うのです。同じ時刻っていうところが面白いと思います。

 枇杷島の駅の右側には明治製菓のガム工場があります。ここで生産しているのでしょうか。
 枇杷島駅を出発するとすぐに新川を渡ります。この時、必ず東京行きの「のぞみ型ひかり」が減速してきて、きっちりと横に並びます。こちらの車両に小さな子供が乗っていると「新幹線だー」って、大変喜びますね。

 庄内川を越えると電車はいよいよ名古屋駅に近付きますが、その前に「左側」から名鉄本線が寄り添ってきます。
 先程、一宮で「右側」に別れたはずの線路が、反対側から寄り添って来るのが少々不思議なところです。
 この辺りからJRも線路の本数が増えてゆき、名鉄本線が地下に潜る頃、電車は静かに名古屋駅に滑り込んでいくのであります。

※追記
今ならセントラルタワーだね。これが清州辺りから遠くに見え隠れしていて、名古屋駅に近付くにしたがってどんどん大きくなるんだ。セントラルタワーで可笑しかったのは、雨降りの日。建物の頂上が雲に隠れて見えない時がある。雨雲ってあんなに低かったのか、と、思いました。

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