僕の細道

道標の無い旅

『道標の無い旅』  

 この旅はアウトドア雑誌「Be‐Pal」(小学館)7月号に「墓の木キャンプ場」(富山県下川郡入善町)の事が掲載されていた事が発端だ。まず、宿泊先を決めてしまった。そこから、インターネットや過去のバイクツーリング雑誌「OUTRIDER」(ミリオン出版)を検索して北陸方面の情報を得ていた。でも、漠然としていて行程は未定ままだった。

 前夜までは4輪車で出掛けるつもり準備をしてあったのだが、日曜深夜にインターネットで現地の天気予報を見てみると何とか持ちそう。慌ててキャンプ道具をバイクに積み替える。う~ん、先月の長野/大鹿村と同じではないか。そうして興奮した体は睡眠を妨げ、寝不足のままツーリングに出掛けるのであった。

 名古屋からはR41で北へ進むも、美濃加茂バイパス周辺で、急遽クラブ定例(7月)の下見をして行く事を思いつく。バイパス突き当たりから左折してK63で道の駅「平成」を訪れてからK58で飛騨金山からR41に合流。このツーリングレポートは定例用に取っておくので、詳細は後日。

 R41で下呂、高山と快走するが、週末のトラブルから睡魔に襲われ、又しても道の駅「飛騨古川」で休憩し、畳の上で一眠り。なんせ、週末に起きたトラブルにより、この二日間で6時間ちょっとしか寝ていなかったのだ。そのトラブルを掻い摘んで記すと、土曜深夜に自宅敷地内入り込み、立小便をしていた酔っ払い2人組に対し、所持していた傘でお尻を一発殴り、蹴りを食らわせたのだった。たまたま、そこに駐禁取締りのパトカーがいて大騒ぎになっただけの事。最初の警官達が応援を頼み、後から到着した警官達は事情が解らない。その際、ちと暴れ警官に押さえられたら身動き出来なかった。そして、某警察署へドライブする事となり、取調室にて2時間以上はそこに居て多数の刑事に入れ替わり立ち代わり尋問を受けてしまったと云う事だ。初めて入室した取調室は意外と狭かった。交通課、警ら課、刑事課の縦割りだったので手間取ってしまった。立小便では被害届けが出せないとの事。科料(財産刑の一つ。軽い犯罪に負わせる。罰金よりも軽い。)というだけで、注意勧告で済むらしい。逆にこちら側が暴行罪で訴えられるとの事。ま、手を出したのは私だから、暴行罪という事になるのかな?今回は向こうの(一人は逃げた。)謝罪という形で収まった。私の方は情状酌量? 結局、調書を書いて事件性は無しで終了。取調室にて警官と雑談していて面白かった。刑事に「えらい、落ち着いとるな。」「根性座っとるな。」「マエ(前科)があるのか?」と言われ、危うく前科持ちかどうか調べられそうになったけど、内輪話で盛り上がり、打ち解けて雑談終了。相手はこってり絞られたようだけど、私とは会わずにご帰還となったようだ。ほんと、酔っ払って態度が大きい奴ほど、酔いが覚めると大人しくなるようだ。

 脱線した。眠りから目覚め、一気に神岡町、富山市を抜け、R8で東へ向かう。ここら辺はGW目前にチューリップツーリングで来ているので、景色も見ずにぶっ飛ばし、北陸自動車道、朝日I付近から 周囲を見出す。そして入善町の黒部川流域をウロウロし、混浴洞窟露天風呂の「小川元湯温泉」に寄り、日々の疲れを癒す。「小川温泉元湯洞窟風呂」はメディアでもよく紹介されていて、以前から入湯して見たかった処です。この露天風呂は川沿いにの洞窟に吹き出る温泉に入るのですが、洞窟というよりも洞穴風呂と言ったところでしょうか。女性用にはその川の先に東屋風の専用露天風呂が用意されていますので、大丈夫です。ちなみにフロントの女性達は小汚い
バイク乗りの私にも親切な方ばかりでした。新館は¥15,000~、旧館は¥12,000~で泊まれます。洞窟風呂の入湯料は300円と場所と建物を考えると安めであった。

 湯上がり後は今晩の食材を探しに徘徊し、何でも売っている田舎の食料品店を廻るものの思ったように買い出しが出来ない。地元の人に教わり、黒部ICで戻り、「あるぺん村」と云う土産店にて買い出しを済ませる。購入した富山の地酒「立山」720mlを一本。地酒の缶酒「銀盤」250mlを一本。地酒メーカーの造った地ビール「銀盤」を330ml一本。宇奈月温泉の地ビール330mlを一本。ホタルイカの沖漬けを1個。ウニ入りイカ飯を1個をタンクバッグへ積め込み「墓の木キャンプ場」を探す。一度、キャンプ場にてテントサイトを確認後、そのまま近くの「ふれあい温泉」へ。この「ふれあい温泉」(350円)はデイケアセンターと併設されている為、何故か病院施設にいる錯覚に囚われまった。それと清掃が行き届いていないので、BAD。

 帰路、通りすがりのよろずやで刺身と朝食用菓子パンを購入。道端の自販機で缶ビール500mlを
一本を更に購入してキャンプ場にて一夜を明かす。しかし、この時点では翌日の行動は決めていなかったのだ。この「墓の木キャンプ場」は町営の自然公園で渡り鳥達の中継地となり、早起きするたくさんの野鳥達の飛来が見えます。前町長が「なるべく手を掛けずに自然に近い状態で。」と云う事で、東屋等の建築物も一切無し。トイレは仮設の汲み取り式が数個有るのみ。でも、私は何にも無いのが好きなので、満足です。ちなみに日本一周をしていた友人ライダーもここを薦めてくれていました。

 その夜はアジ、イカの刺身、ホタルイカの沖漬け、イカ飯を摘まみに地酒と地ビールで独り宴をしながら、携帯電話のメールで遊びながら思案を巡らす。BGMは川のせせらぎとラジオのみ。夜更けと共に酔った輩は寝袋に沈むのであった。

 翌朝、口が乾き4時半頃に目覚め、テントの前室を開けておいて再び、まどろむのであった。小さなテントは陽が刺し込むと室内温度が騰がり過ぎてしまう為、寝付けなくなってしまう。これで、ゆっくり寝られる。8時過ぎぐらいに朝食を摂っていると地元のバードウオッチャ-が現われた。今年は黒部峡谷の雪解けが遅かったので、夏を峡谷で過ごす渡り鳥が山へ行けず、GW過ぎにはこの自然公園に多数の飛来があり、野鳥の王国だったそうだ。他にも地方での環境問題、キャンパーの問題、旅人(観光客)の問題などを教えてくれた。公共事業政策により道路などが出来、観光地に人が集まり、増えるにつれ多様な問題が出ている様だ。人の振り見て我が振り治せとはよく言ったモノである。

 オッちゃんとの雑談中に帰りの行程を日本海、糸魚川ルートに決めた。昨夜、寂しい宴を繰り広げていた時には富山まで戻り、R471で奥穂高経由で帰ろうと思っていたのだが、一夜明けるとこれである。独り気ままな旅はそれが許される。キャンプ場からR8に出て、更に東を目指す。途中にある天険親不知子不知を通る際に立て看板を読んでこの断崖絶壁の凄さを再確認する。昔はこの断崖を通る際、親は連れている子の様子を忘れる程で、子も前を行く親の姿を忘れてしまうほど、渡り切るのに必死であったそうだ。現在はその断崖絶壁に斜光洞門が出来ている。しかし、悪天候時は崖の下から狂風が吹き荒れる為、すぐに通行止めになってしまうそうだ。晴天時の波の様子からの想像はかたくない。現代の生活の置き換えてもそのまま親不知子不知言える時代なのかも知れない。

 日本海側はあちこちでトンネル、道路補修工事で片側交互通行になっていた。バイクの機動性を活かし、横着して前に進むしかなかった。糸魚川からR148で南進し、ちょっと土産用にと鮮魚店へ寄って行く。昨夜食べたウニ入りイカ飯、ホタルイカの沖漬け、ゴチのつみれなどを買ってしまった。今回の旅費より掛って高いのではと頭の片隅ので考える。更に南進して出来たばかりの道の駅「小谷」にて休憩する。地図を見ていると秘湯が近いのを確認してちと寄り道。トンネルを抜けたばかりの信号を左折して山深い谷あいをノンビリと登って行くと突如、民家が現われ、その先の開けた場所に「雨飾荘」がある。しかし、目的の露天風呂はその山荘の上に位置していて、その山荘のお風呂が「小谷温泉」と間違える人も多いのではと思う。道路脇の駐車場にバイクを停め、タオルを首に掛けて100mほど歩いて行く。その露天風呂は男女別に湯り、女風呂は男風呂の上方にあり、どちらも木立に囲まれ、森林浴気分に浸れる。入浴料は寸志である。露天風呂には地元のオッちゃん、オバちゃん達が数人浸かっていた。この湯は地元の人達に親しまれているようだ。

 白馬で「小日向の湯」に寄りたがったが、梅雨間の暑さから面倒くさくなり、カットして松本まで堤防道路をチンタラ走る。塩尻市からはR19号から木曽の蕎麦を食べて帰るつもりだったが、分岐の交差点に光ファイバーケーブル工事の道路標識が出ていたので、トラックに続いて進路をR153にしてしまった。だが、R153では最高速度60km/hも行かないぐらいダラダラ渋滞に嵌まってしまった。飯田市からはとうとうキレテ、阿智村からの峠道は爆走モードに突入。パニアケース何するものぞ、前に進んで憂さ晴らし。大型バイクのタイヤをきしませ、寒原峠、治部坂峠と駆け巡る。独りだと気ままに走れてしまうから、傍迷惑だな。そしていつものように伊勢神トンネルの「シルクロード」に顔出しして名古屋に向かうのだった。

 こうして書いてみてもホント行き当たりばったりだな…。でも、週末に起きたトラブルの気分転換は出来たから、結果オーライ。宛ても無く、さ迷うのは面白い。今回も無事、帰着しました。

日程:2000年6月19~20日
使用車種:ホンダCBR1000F
走行距離:760km
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