音律計算ブログ(7と12が織り成す不思議)

誤差のない音律データを目指して。
音律計算やその他について、気になった事をまったりと書いていこうと思います。

「定義」が知りたいのです(余談)

2014-04-06 20:02:03 | 音律

 私にとって「チェンバロの保守と調律」補遺篇 東京コレギウム 野村満男著 という書籍がどれだけ救いだったかを言葉で伝えるのは難しいのですが、購入前の様子からその一端を示してみようと思います。


 表13-1はとあるチューナーの取扱説明書の付録として載っていた音律表です。上半分が元のもので下半分は五度圏順に並べ替えたものです。これを見てどう思われるでしょうか?特に何とも思わない方が大多数だと思います。私は少数派^^; 

(表13-1) チューナーの取説より

(8は「ヴァロッティ」の値です。8を五度圏サークルの時計回りに1つシフト(上記の表では右にシフト)したものが「ヤング」の値です。他の音律と揃える場合は更に全体を-2してA=0にします。)

 

 私はこれを見て「「定義」が知りたい」と強く思ってしまいました。

 

 平均律・純正律・ピタゴラス・ミーントーンの仕組みは知っていたかも知れませんが、まだ音律書籍も持ってなくてネットも使えなかった頃のことです。ほとんど何も知らない状態からここまで知ることができただけでも本当はありがたいことなのですが。

 整数セントよりは612分割の方が「定義」に近づけると考え換算しての考察もしましたが、たいして意味はなかったかも知れません。この中でキルンベルガー3だけは音律書籍購入まで意味不明のままでした。

 

 表13-2は表13-1に該当する値を「定義」から求めたものです。下半分が五度圏順、上半分は元と同じに音高順に並べ替えたものです。

(表13-2) 「定義」より

 

 表13-3について

上半分は「定義」から求めた表13-2に操作を加えて表13-1と一致させたもの。

下半分は上半分と表13-1の差。検算用。一致させた後なので全てゼロ。

 どんな操作かと言うと、下記3つ以外は小数点以下第一位を四捨五入して整数化しただけです。(round関数により)

純正調(短調)は0.3を足してから小数点以下第一位を四捨五入して整数化
ミーントーンは0.05を引いてから小数点以下第一位を四捨五入して整数化
キルンベルガー3はかなり特殊です。小数点以下第二位を四捨五入した結果を、更に小数点以下第一位を四捨五入(正負対称型)で整数化 (「定義」から近似値を見つけるのにこんなに苦労するなんて ^^;)

 「チューナーを作った関係者はキルンベルガー3については小数点以下第二位を四捨五入した値しか入手できなかった」と私は予想します。二重丸めは良くないです。(下手な近似をするなら最初から整数セントを使うほうが弊害は少ないのかも知れません。)

(表13-3) 近似の予想と検算

 

 余談1

 グーグルドライブのround関数が四捨五入(正負非対称型)だったので少し難儀しました。リブレオフィスのround関数は四捨五入(正負対称型)で、エクセルのround関数もたぶん四捨五入(正負対称型)と思います。

 バージョンアップが早いようなので知らないうちにエクセルと同じになっているかも知れませんが。

 エクセルと同じになっている事を確認しました。(r010924追記)

  

( ↑ 画像追加h260407)

 

余談2

 今回は元の表に合わせましたが私は「ヴァ」行を使うのはあまり好きではありません。自分が「ヴァ」行で話すことはないからです。そんなことを言ったら「お前は完全に言文一致してるのか?」とつっこまれてしまいそうですが。「v」が必ずしも「ヴァ」行になるとは限らないので横着している、というのも理由(言い訳)の一つです。「好き嫌いに理由は要らない。でももし分かるなら知りたい。」という程度の話なので完璧な理由づけは不可能です。

 「ビラ=ロボス」と「ヴィラ=ロボス」、後者の方が似合っているけど前者で我慢しています ^^;

 

余談3 理論値ではなく定義?(h260412追記)

  私は「理論値」を「近似値ではない正確な値」・「誤差を全く含まない値」という意味のつもりで使いました。

 検索してみると理論値の対義語は実験値や実測値という例を見かけます。もしそれに従うならほとんどの音律の整数セント値は(丸め誤差を含むとはいえ実測値ではなく)理論から計算された値でしょうから立派な理論値と言えそうです。「理論」の対義語も「実践」ですし。困りました(汗)。


「定義」 … 正しそうだけど少し堅苦しい
「定義値」 … 「定義」とは違う意味になってしまう気がする
「本来の値」 … 合っているけどできれば一語で言いたい
「本来値」 … 変な言葉
「正値」 … 正の値・負の値の前者のこと?
「真値」 … 合っていそうだけど分かりにくい。「正値」の類推で真偽値(boolean)の「真(true)」と誤解される?
因みに「対数」の対義語っぽいものは「真数」というらしいです。

 上記の中では「定義」が良さそうです。過去記事は訂正しませんが、今後は「定義」を使っていこうと思います。

 「理論」といえば当たらずとも遠からずでしょうか?キルンベルガー3の定義・キルンベルガー3の理論・キルンベルガー3の理論値…

 

余談4 この記事だけ「定義」に書き直し(r010924)

 この記事だけ「理論値→「定義」」と書き直しました(後続の記事は特に変更せず)。あと分かりにくい表現等を少々修正しました。


周波数の対数

2014-04-06 06:22:54 | 音律

 周波数比の対数の話ではありません

 

 周波数の対数の値にある操作を加えると時刻の「x時y分z秒」のように「xオクターブy(音名)zセント」と表示することもできます。音名はたとえば「256Hzから100セント上までをCとする」などと方針を決めておく必要はあります。以下440Hzで計算してみます。

log(440)/log(2) = 8.781360

 整数部 = 8[オクターブ] (1Hzの8オクターブ上という意味) (1Hzの振動を音と言ってよいかどうかはここでは考えない)

 小数部 = 0.781360 (次で使います)

上の小数部*12 = 0.781360*12 = 9.376317[等分律半音]

 整数部 = 9 … 音名 = A (Cの等分律半音*9上の音という意味)

 小数部 = 0.376317 (次で使います)

上の小数部*100 = 0.376317*100 = 37.6317[セント]

440Hz = 「8オクターブのAの37.632セント」

 最後のセント部分が普通はキリのいい数字にならないのが難点です。絶対音高を周波数以外で表示するのは珍しいことかも。

 オクターブを無視し、音名の代わりに五度圏ID(仮)をx軸に使い、三つ目のセント値をy軸に使うと図2とそっくりな図4が出来ます。(補助線は図2の数値を参照してます)

x = mod(int((log(周波数)/log(2)-int(log(周波数)/log(2)))*12)*7+4,12)-4
y = ((log(周波数)/log(2)-int(log(周波数)/log(2)))*12-int((log(周波数)/log(2)-int(log(周波数)/log(2)))*12))*100

 

 図4も図2と同じく青がキルンベルガー3、オレンジが補助線のピタゴラス等々です。x軸の「軸交差の位置」を48に設定して図2に似せてみました。

(図4-1)

 

 

(図4-2)

 

 

余談

いろいろなピッチの対数を計算してみました。

mod(1200/ln(2)*ln(392),1200) = 737.652 = G +37.652
mod(1200/ln(2)*ln(415),1200) = 836.361 = Ab+36.361
mod(1200/ln(2)*ln(430),1200) = 897.831 = Ab+97.831
mod(1200/ln(2)*ln(440),1200) = 937.632 = A +37.632
mod(1200/ln(2)*ln(442),1200) = 945.483 = A +45.483
mod(1200/ln(2)*ln(444),1200) = 953.299 = A +53.299
mod(1200/ln(2)*ln(465),1200) =1033.304 = Bb+33.304