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宅建試験・司法書士試験勉強会

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「宅建試験講座」32回:民法9-5:「物権変動5:「契約解除による物権変動と登記」

2015-04-26 17:14:13 | 宅建試験

「宅建試験受験講座」32回目
 権利関係32 
 民法9-5:
「物権変動5:「各種不動産物権変動の原因と登記との関係
        その2「契約解除による物権変動と登記との関係」
…………………………
民法
第9章 物権変動5
第5項 契約解除による物権変動と登記との関係
第1号 はじめに
  1 今回は,「②契約解除による物権変動と登記との関係」の勉
    強です。

第2号 契約解除による物権変動と登記との関係
   甲土地 ①売買              ②売買
    A─――――─―─→B─―――――─――→C
       ③契約解除
☆第1 契約解除者と契約解除前の第三者との関係
  1 事例1
  (1)まず,AはBに甲土地を売却しました。
  (2)次に,BはCに甲土地を売却しました。
  (3)次に,AはBが甲土地の売買代金を支払わないので,AB間の甲土
     地の売買契約を解除しました。
  (4)この場合,Aは,Cに対して,Bとの売買契約の解除を対抗(主張)
     することができるのでしょうか。
  (5)これが,契約解除者と契約解除前の第三者との関係の問題です。
  (6)そして,この場合の判例の結論を先にいいますと,
☆  ア Cが登記を受けている場合は,AはCに売買契約の解除により取り
     戻した所有権を対抗(主張)することができない。
     Cの立場からすると,Cは自らの所有権をAに対抗することができ
     る。
☆  イ しかし,Cが登記を受けていない場合は,AはCに売買契約の解除
     により取り戻した所有権を対抗(主張)することができる。
     Cの立場からすると,Cは自らの所有権をAに対抗することができ
     ない。
  2 解説
  (1)それでは,この場合,何故,(6)の結論になるのかを勉強しまし
     ょう。
  (2)まず,この場合は,AがBとの売買契約を解除する前に,BはCに
     甲土地を売却していますので,Cは契約解除前の第三者ということ
     になります。
  (3)したがって,この場合の契約解除者Aと第三者Cとの関係は,Aか
     らB,BからCと目的物が順次売買された場合の前者と後者の関係
     ですから,民法第177条の二重譲渡の場合の対抗要件の問題では
     なく,民法第545条1項の契約が解除された場合は,その契約解
     除の効果はどこまで及ぶのかの問題となります。そして,民法第5
     45条1項は次のように規定しています。
    …………………………
     ★民法第545条1項(解除の効果)
      ①当事者の一方がその解除権を行使したときは,各当事者は,
       その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし,第三者の
       権利を害することはできない。
    …………………………
  (4)上記民法第545条1項は,まず,契約が解除されると,当事者双
     方は原状回復義務を負うことを規定しています。
    アこの意味は,契約が解除されると,契約は無効となり,無かった
     ことになりますので,当事者は双方とも,契約をしたことにより
     履行していた物を相手方に返還して,契約の前の状態(原状)に
     戻さなければならない義務を負うということです。
    イ例えば,事例1でいえば,Bは甲土地をAに返還しなければならな
     いし,また,Bか登記も受けていた場合には,登記もAに返還し
     なければならないということです。
    ウまた,Bは売買代金は支払っていないということですが,手付金
     をいくらか渡していた場合には,AはBに手付金を返還して,契
     約前の状態(原状)に戻さなければならないということです。
  (5)しかし,民法第545条1項は,ただし書で「ただし,第三者の権
     利を害することはできない。」と規定しています。
 
  (6)それでは,民法第545条1項ただし書の「第三者」とは,どうい
     う第三者なのでしょうか。
    ア同条文は,「第三者の権利を害することはできない。」と,単純に
     規定しているだけです。
    イしたがって,条文の文章上(文理上)は,第三者は,善意・悪意
     を問わず,また,登記の有無を問わず,保護されることになりそ 
     うです。
 ☆  ウしかし,判例は,ここの第三者とは,「登記を備えた第三者」で
      なければならない,としています。
 ☆  エ判例が,そのように解釈している理由は,民法第545条1項ただ
      し書の,契約を解除した者が害することができない第三者とは,
      「権利を有する第三者」のことであり,ある第三者が権利を有す
      る第三者といい得るためには,その第三者本人が自分は権利者だ
      と言っているだけではなく,他人から見ても権利者であることが
      分かる第三者である必要があり,そのためには,「登記を備えた
      第三者」でなければならない,としているのです。
        
   (7)したがいまして,民法第545条1項ただし書の「第三者」とは,
      先にも勉強しましたが,判例によって補足されており,次のよう
      になります。
    ア 解除権者Aは,第三者Cが登記を受けている場合は,AはCの権
      利を害することができない(民法第545条1項,判例)。
      つまり,Aは売買契約の解除によって自らに回復した甲土地の所
      有権をCに対して,主張することができない。その結果、Cが甲
      土地の所有権者となる。
    イ しかし,Cが登記を受けていない場合は,AはCに売買契約の
      解除を主張(対抗)することができる。その結果,Aが甲土地の
      所有権者となる。
  3 結論
  (1)以上勉強してきた所から分かりますように,契約解除者と契約解
     除前の第三者との関係は,次のような結論になります。    
 ☆(2)契約を解除した者が,契約解除前の第三者に対して,契約解除後
     の自らの所有権を主張(対抗)する場合,第三者が登記を備えてい
     れば,その主張は認められない(民法第545条1項,判例)。
     第三者が所有権を解除者に対抗することができ,第三者が所有権
     者として,保護される。
 ☆(3)しかし,第三者が登記を備えていなれば,契約解除者の主張は認
     められ。第三者は保護されない(民法第545条1項,判例)。
     つまり,第三者はその所有権を契約解除者に対抗することはできな
     い。その結果,契約解除者が所有権者となる。
 ☆(4)この場合,第三者の善意,悪意は関係がない。
 ☆(5)それでは,第三者が背信的悪意者の場合はどうなるのでしょうか。
   ア その場合は,第三者が仮に登記を備えていても,契約解除者はその
     背信的悪意者である第三者に対して,自らの権利を主張(対抗)す
     ることができ,その主張は認められる。
   イ 民法は,信義則を原則としており,それに反する背信的悪意者は保
     護にあたいしないからです。

 第3 契約解除者と契約解除後の第三者との関係
  1 事例2
  (1)AはBに甲土地を売却しました。
  (2)次に,AはBが甲土地の売買代金を支払わないので,甲土地の売
     買契約を解除しました。
  (3)その後で,BはCに甲土地を売却しました。
  (4)この場合,Aは,Cに対して,登記なくして,Bとの売買契約の
     解除を対抗(主張)することができるのでしょうか。
  (5)Aは,登記なくして,CにAB間の売買契約の解除を対抗(主張)
     することはできません。
  2 解説 
  (1)この場合は,AがBとの売買契約を解除した後で,Bは甲土地
     をCに売却しています。つまり,Cは契約解除後の第三者です。
  (2)したがって,この場合には,
   ア AがBとの売買契約を解除した時点で,甲土地の所有権はB
     からAに復帰して,AはBに対して甲土地の返還請求権を有
     します。
   イ また,その後,Aに登記が復帰する前に,BがCに甲土地を売却す
     ることにより,Cも甲土地の所有権を有し,CはBに対して甲土地
     の引渡請求権を有します。
   ウ 故に,この場合は,BがAとCとに二重に譲渡したのと類似(似た)
     の法律関係となり,民法第177条の問題となります。
☆ (3)したがって,解除者Aと第三者Cの関係は,先に登記を具備した者
     が勝ち,完全な所有権者となります。
  3 結論
☆ (1)以上のように,契約解除者と契約解除後の第三者との関係は,民法
     第177条の対抗要件としての登記の具備の問題となる。
  (2)したがって,契約を解除した者が,契約解除後の第三者に対して,
     契約解除によって自らに復帰した所有権を対抗(主張)するために
     は,登記を備えていなければならない。
☆ (3)また,逆に,第三者が契約解除者に対して,自らの所有権を対抗(主
     張)するためには,登記を備えていなければならない。なお,この
     場合,第三者は悪意であっても,登記を備えていれば,自らの所有
     権を対抗することができる。
  (4)したがって,契約解除者と契約解除後の第三者といずれが優先する
     かについては,登記を先に具備した者が優先し,その者が完全な
     所有権者となる。
☆ (5)ただし,第三者が背信的悪意者の場合は,,契約を解除した者は,
     登記がなくても,その者に自らの所有権を対抗することができる。
         民法は,信義則を原則としており,それに反する背信的悪意者は保
     護していないからです(判例)。

第4 問題と解説

   問題と解説は,下記電子書籍「宅建試験受験講座」で勉強してください。

   
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    ★それでは,「宅建試験受験講座」32回
     権利関係32:民法9-5:「物権変動5」
     「契約解除による物権変動と登記との関係」
          はここまでと致します。
        ★文章中の「☆」マークはポイント事項です。
        ★次回は,権利関係33:民法9-6
     「時効取得による物権変動と登記との関係」
     です。
    ★本書の転記・転載,著作権侵害・違反行為は厳禁
     ということでお願い致します。   
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