「Blue Note best jazz collection」 3号は懐かしのソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)だ。
■ DeAGOSTINI Blue Note best jazz collection / Sonny Rollins
ソニー・ロリンズの音は、聴いた瞬間に彼と判る。
因みに、私の数少ないジャズコレクションの中のソニー・ロリンズも2枚だ。
■ 「気まぐれ五線紙 Memory」 Sonny Rollins ( ソニー・ロリンズ )
ソニー・ロリンズは1930年9月7日生れで現在81歳だが、いまも世界で活動しているようである。
ブルーノートとの契約は1956年~1957年で、4枚のアルバムがリリースされているようだ。
この本には、マイルス・デイヴィスやハービー・ハンコックを語るには、そのリーダー的資質やアレンジ能力にも触れなければその魅力は伝えられないが、ソニー・ロリンズについては彼の演奏そのものがすべてを物語る、と書かれている。まさに私も同感である。
彼は8歳の頃からピアノを習い始め、11歳でアルトを吹くようになり、16歳でテナーに持ち替えている。
テナーに変えたのはコールマン・ホーキンスの影響のようで、なんとホーキンスはロリンズの近くに住んでいたそうで、ホーキンスの家にまで押しかけているようだ。
また、ニューヨークに生れ育った彼には、この頃のセッション仲間にジャッキー・マクリーンがいたようだ。
高校を卒業した彼はすぐにプロとなったようで、1948年には18歳で早くもレコーディングをしている。
1951年の頃、彼を親身に理解してくれたのがマイルス・デイヴィスで、なんとマイルスはロリンズのためにピアノまで弾いているようだ(そうなんだ)。
ソニー・ロリンズの失踪はよく聞く話だが、1954年から1972年の間に3回いなくなっているようだ。
1954年は麻薬の根絶で、1956年は周囲からの評価と自分が考える実力とのギャップによるもので、いまの自分の演奏がこれでいいのかという自問自答があったようだ。最後の1969年はジョン・コルトレーンが亡くなったことによるものらしい。彼のあの豪快な音の裏には、意外にも繊細で真摯な面が隠れていたようだ。
Blue Note best jazz collection / Sonny RollinsのCDは今回も5曲収録だが、ブルーノートとの契約は1956年の暮れだったようで4曲が1957年の録音で、ロリンズの音としてはピンポイントな音となる。
(例によって記載順は録音順にしたが、今回はほとんど意味が無い)
2. 「Decision デシジョン」
(Music by Sonny Rollins) 録音: 1956年12月16日
Donald Byrd(tp) / Sonny Rollins(ts) / Wynton Kelly(p) / Gene Ramey(b) / Max Roach(ds)
ブルーノートでの記念すべき1枚目のリーダーアルバム「Sonny Rollins Vol.1」の1曲目に収録されている。
ロリンズの自作曲で、ハード・バップだ。
1956年は積極的に活動した年だったようで、その1年の最後に行われた録音ということになる。
4. 「You Stepped Out Of A Dream ユー・ステップト・アウト・オブ・ア・ドリーム」
(Word & Music by Gus Kahn / Nacio Herb Brown) 録音: 1957年4月14日
J.J.Johnson(tb) / Sonny Rollins(ts) / Horace Silver(p) / Paul Chambers(b) / Art Blakey(ds)
ブルーノート2枚目のアルバム「Sonny Rollins Vol.2」の5曲目の曲だ。
1. 「Asiatic Raes エイジアティック・レエズ」
(Music by Kenny Dorham) 録音: 1957年9月22日
Sonny Rollins(ts) / Wynton Kelly(p) / Doug Watkins(b) / Philly Joe Jones(ds)
アルバム「Newk's Time」の2曲目に収録された曲だ。
不規則に不思議なリズムを刻むケニー・ドーハムの作品で、多くのジャズメンが取り上げている曲のようだ。
3. 「The Surrey With The Fringe On Top 飾りのついた四輪馬車」
(Word & Music by Oscar Hammerstein II / Richard Rodgers) 録音: 1957年9月22日
Sonny Rollins(ts) / Philly Joe Jones(ds)
上の「Newk's Time」の4曲目の曲で、ロリンズはベースも外したドラムスだけをバックに演奏している。
こういった場合のアドリブでも、やはり彼の頭の中にはコード進行は有るのだろうか。
彼は1985年にニューヨークの近代美術館ですべての曲をテナー1本で行ったことがあるようだ。
(その時のライブ盤が「ザ・ソロ・アルバム」で、彼は1時間近い長時間のアドリブをしているようである)
5. 「Namely You ネイムリー・ユー」
(Word & Music by Johnny Mercer / Gene De Paul) 録音: 1957年9月22日
Sonny Rollins(ts) / Wynton Kelly(p) / Doug Watkins(b) / Philly Joe Jones(ds)
同じく「Newk's Time」から最後の収録曲である。
フィリー・ジョー・ジョーンズのドラムとのやりとりが、なんだか面白く、ロリンズらしい音が楽しめる。
ところで、ソニー・ロリンズは細かいことは気にしないで、感性でのびのびと雄大に歌うタイプの人だが、これに対しブルーノート側は数日間リハーサルを行い万全の体制で本番に入るそうで、彼にとっては苦手だったようだ。
ところが、1956年の初録音で彼は、共演者との綿密な打ち合わせをして収録したそうで、その時の写真がページ一面に載せられていて、なんだかそれらしくていい。
いやぁ、しかしロリンズの音を聴いていると、若い頃を思い出し、昔懐かし、これぞジャズという気がしてくる。
話はブルーノートに変わって、ブルーノートが会社として設立されたのは第1号が発売され、2回目のレコーディングも行なわれた1939年4月の翌月5月のようで、この5月にはその2回目のレコードも発売されたようだ。
ただ、興味深いのが、この時アルフレッド・ライオンは登記に必要な300ドルが無く、資金稼ぎに港湾労働者として働いたりしたようだ。(当時のアメリカの300ドルがいかほどの額かはよく解らないが)
しかし、その300ドルは出来ず、ライオンはジャズマニアのライター、マックス・マーグリスという人を、共同経営者に向かい入れたようである。(マックス・マーグリスは1947年頃に会社を離れているようだ)
ブルーノートの3回目のレコーディングは、1939年の6月8日に行われたようで、この時にシドニー・ベシェ(ss・cl)が加わり彼のソプラノ・サックスをフィーチャーした「サマータイム」が録音されている。この発売がこの年の冬のようで(ずいぶん時間が開いている)、売り上げは徐々に伸び1年間で2000枚以上プレスしたらしい。(1号は50枚だ)
この「サマータイム」のおかげで、ブルーノートの経営は一気に好転し、アルフレッド・ライオンは自分のオフィスを構えることが出来たようだ。
また、この時にドイツから渡米してきた旧友フランシス・ウルフという人をブルーノートに招き入れている。
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