『関税定率法15条 特定用途免税』
「特定用途免税の対象貨物は、以下の貨物で輸入され、その輸入の許可の日から2年以内に次に掲げる用途以外の用途に供されないものになります。」
とある中で、今回のパンダは
「①国もしくは地方公共団体が経営する学校、博物館、物品陳列所、研究所、試験所、その他これらに類する施設、又は国及び地方公共団体以外の者が経営するこれらの施設のうち政令で定めるものに陳列する標本若しくは参考品又はこれらの施設において使用する学術研究用品、若しくは教育用のフィルム、スライド、レコード、テープ、その他これらに類する物品
②学術研究または教育のため、前号に掲げる施設に寄贈された物品」
の②に当たると思われる。
つまり、かみ砕いて言うと、上野動物園という施設で学術研究のために寄贈(今回は貸し出し)された物品=パンダちゃん、ということ。
「その輸入の許可の日から2年以内に次に掲げる用途以外の用途に供されないものになります」
というのは、つまり、上野動物園での展示目的以外に売却して利益を得た場合、税金を徴収しますよ-、ということ。
まぁまず売却される心配はないだしょう。
しかし、輸出入には「他法令」という縛りがあり、いくら税法上正しくても、他法令(例、薬事法)で制限されている物はそこをパスしないとならない。パンダはワシントン条約という国際条約の絶滅危惧種に指定されていることから、日本では経済産業省の「輸入承認証」が必要となる。そしてその輸入申告は指定された税関官署でなければ行うことができないということらしい。
今回の場合、経済産業省がNOとは言わないだろうし、そして指定された税関官署=成田税関であったのだろう。
~ここまでは税法上のお話~
ではパンダちゃんの輸送費は???
相場が分からないので、成都→上海の輸送費と上海での輸出通関費用が合わせて10万円とする。
上海~成田の航空運賃は、動物を運ぶ場合、正規運賃の150%。
パンダの重量は、檻1個が2m立方とすると、容積重量で1600kgs扱い。
レートがよく分からないから、面倒だから1000円/kgとすると、檻2個分として、
1600kgs x 2個 x 1000円/kg = 320万円
日本に着いてからの通関と上野までの運送費も面倒だから10万円とする。(中国国内と同じか、と思うだろうが、距離が全然違うので・・・)
とすると、上記合計340万円がパンダちゃんの輸入に掛かった費用@都税となる。
細かいことを言えば、途中で死なれた場合の保険も掛かっているし、中国から来た飼育員さんの人件費も掛かっているから、もっと掛かっているだろう。
本来ならパンダの費用(いくらだ?)+上記輸送費340万円+保険に対して5%が課税されるのだが、それが今回は免税されている、と思われる。