雲随の歴史話

歴史人物の生き方、考え方、行動など一緒に学びましょう。
現在は諸葛亮孔明について記載しています。

「三顧の礼」劉備は軍師諸葛亮孔明を得る。

2008年11月02日 | 三顧の礼
劉備は2回、諸葛亮の住む草盧を訪ねたが、会えなかった。
季節は春を迎えていた。

劉備は易者を呼びつけ、諸葛亮孔明に会える日を占っていた。

易者「4日目、草盧に行けば諸葛亮に会えますな。」
劉備「我々の軍師になってくれるか?」
易者「良い卦が出ていますので、
   劉備将軍の素のままを見せるのが良いでしょう。」
劉備「よし。そしたら俗世界を断つため、肉料理も食べないでおこう。」
劉備は喜びながら、易者を見送った。


関羽と張飛は、来る日も来る日も、諸葛亮のこと考えている劉備のことが
不満だった。(そこには男の嫉妬もある。)

関羽「長兄(劉備のこと)、今まで何回も我慢して来ましたが、
   今日は言わせてもらいます。
   長兄は2回も臥龍崗に行ったことは、
   礼を尽くしすぎているのではないでしょうか?
   もしかしたら、諸葛亮は無能な人物かもしれない。
   だから、
   長兄を避けて会おうとしないのでは?…。」

不安気に微笑む劉備
   「弟達(関羽、張飛のこと)は、
    春秋戦国時代を知らないのか?
    斉の恒公は、東郭野人に会うため、5回も足を運んだのだ。
    
    だから現代の私も、
    諸葛亮という有能な賢者を得るため、再び会いに行くのだ。」

張飛「もう長兄は臥龍崗に(諸葛亮孔明が住む草盧)
   行く必要はない!
   張飛一人で、孔明を連れて来る。
   おい誰か!馬と縄の準備をしろ!!」
張飛はすぐ馬にまたがった。


劉備「三弟(張飛のこと)!!
   臥龍崗に何をしに行くのだ!!」

張飛「長兄の代わりに臥龍先生を(諸葛亮孔明)
   連れて来るんだ。」

劉備「どうやって連れて来るんだ?!」

張飛「もし臥龍先生が断ったら、縄に縛り上げて連れて来る。」

劉備は張飛を睨みつけて、馬を制した。
  「三弟、兄の願いを邪魔するのだな!」

いつもと違う対応の劉備にびっくりする張飛。
劉備「曹操は周りに有能な賢者がたくさんいたから、
   袁紹を官渡の戦いにて打ち破った。
   孫権も、江東6郡八十一州を統一できたのは
   様々な賢者を起用したから、
   偉業を成し遂げたのだ。

   我々が今も、小さい新野ひとつしか得られていないのは、
   策を企てる賢者が欠けているからだ。
   軍隊を使いきる能力のある人物がいないからだ。違うか?

   我々は仲良く、生死を共にする覚悟を誓ったのに、
   今だに、兄の願いが理解できないのか!!
   
   三弟、 周の文王が姜子を訪ねたことを聞いたことがないのか!
   文王でさえ、賢者を敬い尊んだのに、
   どうして三弟は賢者に対してそんなに失礼なのだ!!」

嘆き崩れる劉備を関羽と張飛で支えた。

劉備「もうお前は来るな!
   私と次兄で臥龍崗に行く。」

張飛は泣きそうな顔で起立しながら、
  「兄上達が2人一緒に行くなら、私も連れて行ってください。」

劉備はさらにすごい形相で睨みながら
  「もし来たければ、絶対に失礼なことはするな!!」
と念をおした。

張飛は反省しながら両手を前に、頭を下げて
   「わかりました。わかりました。」
と何度も答えた。*********************************************************


4日目、
劉備3人は、陸中臥龍崗の草盧に馬を走らせた。
諸葛亮のことで喧嘩して、気持ちが滅入っていたが、
諸葛亮が住む草盧に来ると気持ちが晴れる。

途中、諸葛亮の弟、諸葛均に出会った。
諸葛均「昨夜、兄が帰って来ました。今日は兄に会えますよ。」
と言って街へ歩き出した。

ここでも張飛はキレそうになる。
張飛「無礼なガキだ。普通なら、劉備将軍を家まで案内するだろう。」
劉備「それぞれ訳があるのだから、無理強いするな。
   こないだ、失礼なことはするなって言っただろ。」
張飛は体を丸めて「はい、わかりました。」と反省した。


3人は服装と身だしなみを確認しあってから、諸葛亮宅の門をたたいた。

童子は笑顔で門を開けてくれた。
  「劉備将軍また来ましたネ。」
劉備「劉備が先生にお会いしたいとお伝えください。」
童子「先生は家にいるが、お昼寝していますよ。」
劉備「では、そのまま起こさないでくれ。
   次兄と三弟は門の外で待っていてくれ。」
と言って劉備は庭先で立って待ったいた。
すだれ越しには昼寝している諸葛亮が見える。


張飛がまたイライラしだした。
  「ここの先生はそんなに偉いのか?
   我々の兄じゃが庭先で立って待つなんて。
   その上、先生は寝たままか。
   家に火つけたら、すぐ起きるんじゃないのか。」
張飛は庭先まで入っていったので、慌てて関羽が押さえつけた。
関羽「お前はなんで、そんなに愚か者なんだ。」

張飛が落ち着くと、
関羽は庭先に置いてある日時計を見つけて眺めていた。


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劉備の心中は不安と期待でいっぱいであったろう。
はたして話は聞いてくれるのか?
私の軍師になってくれるのか?
自分はまだ居候で生きているに過ぎない。
諸葛亮に相手にされなかったらどうしよう。
でもどうして、天下の奇才が未だ誰にも仕えないのだろう?  と。
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童子は劉備を見かねて、諸葛亮を起こそうとしたが、

劉備は「ダメダメダメ。先生を寝かせておいてあげてください。」 と断る。



ついに諸葛亮は昼寝から目を覚ましてくれた。

諸葛亮「夢を見て、私は知った。
    草堂で春眠すれば、窓の外に誰かがちょっと訪ねに来た。
    誰が来たのだ?」
童子 「劉備将軍です。」
諸葛亮「なぜ、すぐに報告しないのだ。すぐに着替えてお会いする。」
童子 「劉備将軍が起こしてはダメだと注意されましたから。」

劉備の心遣いに諸葛亮は驚いた。

諸葛亮は着替えて、劉備の前に現れた。

背は約184cm、スラッとしていて、
顔は冠につけるような玉のように白く、
白羽扇をあおぎ、まるで仙人のようであった。
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ドラマの中でも見られるように、諸葛亮孔明とは
白い衣類を着こなし、清潔感がある。
背は高く、学問もでき、音楽も愛し、容姿も優れていた。
周囲に住む土地の者も
才能があり、容姿も優れた女性を奥さんに
しなければならないと考えられていた。
当時だけでなく現在でも、女性にモテたと思われる。
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諸葛亮はただ劉備を見つめるだけであったが、
しばらくしてから微笑んでくれた。



劉備玄徳、張飛、関羽は3人揃って挨拶をした。

劉備「私、漢王朝の遠い血筋の出生、氵豕郡の愚か者です。
   臥龍先生の名声は、雷鳴の如く世の中に聞き及んでおります。
   2回程お伺いしましたが、ご縁がないためなのかお会いできませんでした。
   置き手紙を弟さんに託したのですが、
   先生のお手元まで、届きましたでしょうか?

諸葛亮「南陽野人の怠け者です。
    劉備将軍に何度も足を運んでもらい、申し訳ございませんでした。
    どうぞ、お入りください。」
劉備 「臥龍先生こそお先にどうぞ。
    次兄、三弟は、ここで待っていてくれ。」

劉備は3回目にして、天下の奇才、諸葛亮孔明と
対談することができたのである。

諸葛亮「劉備将軍のお手紙は既に拝読しました。
    将軍が、漢王朝のことや領民のことを考えていることは、
    十分に理解させて頂きました。
    でも私の年齢(当時27歳)では、将軍の役には立たないでしょう。
    
劉備「水鏡先生や徐庶が言ったことは嘘なのですか?
   ぜひ臥龍先生からいろいろと学びたいのです。」

諸葛亮「水鏡先生と徐庶は、才能豊かな方で、嘘つきではないですよ。
    しかし、私はただの農民。天下統一を語るような人物ではない。」

劉備「臥龍先生は謙遜しすぎです。
   素晴らしい才能を持っているのに、この竹林に埋もれるおつもりですか?
   天下統一のため、先生のお力を貸して頂きたいのです。」



ここから2人は本音で会話する。********************************************
諸葛亮「では、まず劉備将軍の志をお聞きしたい。」

劉備「漢王室には力はなく、逆賊が政権を握っている。
   この劉備は力不足だが、天下万人の役に立ちたいと願っている。
   だが知恵が浅いため、今まで何も結果をだせなかった。
   だからこの世の中の危機を救うため、臥龍先生が、
   この怠け者劉備軍の能力を開花させてほしい。
   そうそれば、
   天下万民、安心して暮らせる平和な世の中をつくれるだろう。」

諸葛亮「なるほど。
    では劉備将軍が一番知りたい
    天下統一の方法について
    天下の形勢を踏まえてお答えします。

    極悪非道をつくした董卓のあと、天下に多くの豪傑が現れた。
    曹操の力は袁紹に及ばなかったが、
    天が授けた強運と周囲の人物に恵まれたため、
    最後は袁紹を打ち破った。
    現在、曹操は天下13州の内すでに8州を平定して
    100万の兵力を持ち、皇帝を脅して勅旨を出している。
    最も勢いがある軍団。よって正面から戦える相手ではない。

    江東の孫権は既に3代に渡って統治しているから、
    領民は安心してついてきている。
    有能な人物が多い。
    だから協力してもらうことがあっても
    争ってはならない。よって同盟すべき相手。
    
    荊州は、北には漢水が流れ、南には南海があり、
    広大で豊かな領地に恵まれ、
    侵略されても守れる地形が多く存在する。
    北は河北、東は江東、西は益州に通じ
    天下を制覇する人物にとって拠点になる地域。
    しかし劉表一族は能力が無いから守りきれない。
    ありがたく頂くべき領地。
    
    益州は天然の山嶺に囲まれた要害で、
    道は悪いが領地は肥沃である。
    漢の高祖はここを得ていたから皇帝になれた。
    だが劉璋は無能で、東州兵の暴走を抑えることさえできず、
    軍と領民の関係は悪い。
    領民は君子を待ち望んでいる。
    ここも頂くべき領地。
    
    劉備将軍は漢王朝の血筋を継ぎ、信義というものを知っている。
    すべての領民は英雄を求め、待ち望んでいる。
    であるから劉備将軍が行う政治は領民に受け入れられるから
    領土を多く拡張しても非難されることはないだろう。

    
    第一段階の目標として、劉備将軍が
    荊州、益州を獲って第3勢力を作り、
    北の曹操、東の孫権にて3巴の状態にて
    力を平衡する。

    第2段階の目標として
    一方は荊州から北上し、洛陽を進撃
    もう一方は益州から北上し長安を進撃
    この二手ではさみ、中原(黄河領域)を克服する。
    その後、劉備と孫権で曹操を討つならば、
    十分に天下を獲ることが可能でしょう。
    
    そうすれば漢王室は歓喜し、
    天下万民に安泰がおとずれる。


    これが私の考えた天下を制する策です。」
    (天下三分の計をという)

劉備「臥龍先生の言われたこと、よく理解できました。
   悪夢から目が覚めた思いです。
   
   

   先生は未来を見通して、天下が3つに分かれることを
   知っている。
   なんと素晴らしい能力をお持ちなのだ!
   私は有名ではないが、臥龍先生の協力をもらいたい。
   私は先生の指示通りに行う。一緒に来てもらえないでしょうか?」


と劉備ひざまついて、頭を床につけ頼みこんだ。

諸葛亮「私はここで農業をして、学問をしておきたいのです。
    草盧の外に出たくないのです。」
と困り果てた。

諸葛亮「外に出たくないのです。」
と立ち上がって劉備に背中を向けた。

劉備「先生!本当に協力してもらえないのか?」

諸葛亮「そんなのは無理です。外に出たくない。」

諸葛亮に協力してもらえない劉備は急に悲しくなった。涙がこみ上げる。

劉備「先生の協力がなければ、天下万民の安泰はどうなるのですか?」
頭を床につけて泣き続ける。

諸葛亮は、振り向いて劉備を見つめていた。
20歳も離れた劉備玄徳は恥を捨て、心から泣き、
その醜態を見せた。

諸葛亮「劉備将軍の志が何であるか知ることができました。
    将軍の望みを叶えるため、
    私、諸葛亮は将軍の臣下になります。」


諸葛亮が頭を床につけた。
劉備ならば天下人にさせても、民衆を苦しめることはしないだろう。
この人と一緒に漢王室を復興させてみようと決意する。

その後、諸葛亮は劉備と辛苦を共にするのである。

劉備は諸葛亮が草盧を出る準備の間、劉備は通い続けて
天下の形勢、夢を話し合った。
知れば知るほど、2人の境遇は似ていた。

ついに劉備は
軍師、諸葛亮孔明を手に入れたのだった。
三国志上最大の決戦となる「赤壁の戦い」10ヶ月前である。
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もしも劉備が諸葛亮を訪ねなかったら、
彼は、そのまま草盧で静かに学問をしながら暮らして、
世の中に知られなかっただろう。

諸葛亮も劉備に会うことで全く予想していなかった
人生を歩みだしたのである。










挿入歌「臥龍琴」


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