「わっ、きれいな景色!」
「ほんと、行ってみたいね」
3月の総会時、展示した一枚の写真を見て二人連れの女性が感銘を受けたように見入っていた。
昨年、私たちの団体で実施したコンテストの入賞作品、夕張の「三弦橋」を撮ったものだ。断面が三角形、四角錘を連ねた桁橋で、トラス工法という独特の作りだ。その幾何学模様が朝霧のシューパロ湖で幻想的な光景を醸し出し、実に美しい。
「きれい!」という言葉に触発されて、昔、勤めていた炭鉱の社内誌の記事を思い出した。
「幾何学的につくられた坑道は美しく強い」という内容だった。
坑内では盤圧によって鋼鉄の枠が押しつぶされることがよくある。坑道を掘り進んでいくときは、半円形の鉄枠で天磐を支えるが、立て付けが悪かったり変形した枠を使用すると、弱い部分から捻じ曲げられ坑道そのものが潰れてしまう。そのため、坑道掘削と鉄枠布設にあたっては、圧力を分散するようにしなければならない。同じ大きさ、同じ間隔で一直線に枠を並べていく。同時に、同じ太さの矢木(鉄枠と岩盤との間に隙間を埋めるために籠められる細い木材)を差し込んでいく。これがなかなか難しい技術だ。しかし、そうしてつくられた坑道は惚れ惚れするほどの美しさがあり、その美しさが力を均等に吸収して坑道を支えてくれる。
社内報の記事は、美しいと思える仕事をすることが大事と教えていた。
炭鉱は汚くごつごつしたものというイメージが強いかも知れない。しかし、いたるところで美的感性が生かされている。立坑櫓に見とれてしまうのも、ただ高いからだけではない。整然とした造形美が魅力を高めてくれるからだ。
坑内で使う木材の運搬に使われていた三弦橋をみて、改めて、炭鉱のイメージの一面を見直していた。
坑道と電車 稼動時の住友赤平炭鉱 朝霧の三弦橋 撮影玉手恒弘様
「ほんと、行ってみたいね」
3月の総会時、展示した一枚の写真を見て二人連れの女性が感銘を受けたように見入っていた。
昨年、私たちの団体で実施したコンテストの入賞作品、夕張の「三弦橋」を撮ったものだ。断面が三角形、四角錘を連ねた桁橋で、トラス工法という独特の作りだ。その幾何学模様が朝霧のシューパロ湖で幻想的な光景を醸し出し、実に美しい。
「きれい!」という言葉に触発されて、昔、勤めていた炭鉱の社内誌の記事を思い出した。
「幾何学的につくられた坑道は美しく強い」という内容だった。
坑内では盤圧によって鋼鉄の枠が押しつぶされることがよくある。坑道を掘り進んでいくときは、半円形の鉄枠で天磐を支えるが、立て付けが悪かったり変形した枠を使用すると、弱い部分から捻じ曲げられ坑道そのものが潰れてしまう。そのため、坑道掘削と鉄枠布設にあたっては、圧力を分散するようにしなければならない。同じ大きさ、同じ間隔で一直線に枠を並べていく。同時に、同じ太さの矢木(鉄枠と岩盤との間に隙間を埋めるために籠められる細い木材)を差し込んでいく。これがなかなか難しい技術だ。しかし、そうしてつくられた坑道は惚れ惚れするほどの美しさがあり、その美しさが力を均等に吸収して坑道を支えてくれる。
社内報の記事は、美しいと思える仕事をすることが大事と教えていた。
炭鉱は汚くごつごつしたものというイメージが強いかも知れない。しかし、いたるところで美的感性が生かされている。立坑櫓に見とれてしまうのも、ただ高いからだけではない。整然とした造形美が魅力を高めてくれるからだ。
坑内で使う木材の運搬に使われていた三弦橋をみて、改めて、炭鉱のイメージの一面を見直していた。
坑道と電車 稼動時の住友赤平炭鉱 朝霧の三弦橋 撮影玉手恒弘様