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YOU-PROJECT BLOG

孤独について

 今回は新シリーズ「孤独」について考えてみたいと思います。

 人はどんな時に孤独を感じるのか。

 ちょうど2009年「チェロとケチャップ」で戯曲の内容に関連して同じような質問をした事を思い出しました。そうすると俳優さんは「結婚して初めて、孤独を感じるようになった」とおっしゃっていました。つまり、配偶者がいない状態、あったのになくなった時に、初めて感じるものなのだと思います。

 聖書の伝道(コヘレト)4章7、8節に次のような記述があります。
「ある​孤独​な​人​が​いる。親しい​人​が​おら​ず,息子​も​兄弟​も​い​ない。一生​懸命​働き続け,裕福​に​なっ​て​も​満足​し​ない。その​人​は​自分​に​こう​問い掛ける​だろ​う​か。「誰​の​ため​に​一生​懸命​働き,良い​もの​を​我慢​し​て​いる​の​だろ​う」。これ​も​また​むなしく,哀れ​な​務め​で​ある。」

 この言葉は「満足することのない人がむなしい」ことを描写しており、その通りだと思うのですが、さらに、孤独というものはそうでない状態があって初めて感じるものだという事も分かります。愛する人と過ごす、疲れが癒やされるひと時や、美味しいものを食べたり飲んだりした時の幸福感を味わわずに過ごしてしまうので、本人はその素晴らしさを知らないがゆえに働き続けてしまうことでしょう。寂しいことです。

 でも、独身だと不幸だとか、友達がいないと不幸だ、というのはひょっとすると周囲がそう言ってそんな気がしているだけで、孤独を“感じさせられている”可能性があります。
 マスコミや学校や周囲の人たちやSNSが「みんなとお友達になろう!トモダチ100人作ろう!」と合唱するからこそ感じてしまっているのかもしれません。

 もちろんいろんな状況がありますが、選び取ったものの可能性だってあります。でも確かに、いわゆる孤独死など、社会との繋がりをもう少し持っていてくれさえすれば・・・という状況もあると思います。

 続く9節には「1​人​より​も​2​人​が​よい。」とあり、これは紛れもなくYOUーPROJECTの場合、当てはまります。一人でやっていた僕のところに劇団員が来てくれたのが2009年ですが、今や一人でやることなど想像するだに恐ろしいことです。
 ちなみに利賀演劇人コンクールでも力の限り勉強を手伝ってくださって「小津安二郎監督の「晩春」を見るように劇団員に言われた」と平田さんに言ったら、その俳優はスゴいと褒めてくださっていました。なのに負けて申し訳ない・・・。
 せめて妻を連れて行っておけば・・・って関係ないか。

もう一つ孤独を感じる状況があります。
「私​は​横​に​なっ​て​も​眠れ​ませ​ん。 屋根​の​上​の​孤独​な​鳥​の​よう​です。」と同じく聖書の詩篇102篇7節にあるのですが、この「横になっても眠れない」という箇所は「痩せ衰えました」とも訳せるようです。

 不眠にしても身体の不調にしても、精神的・身体的に苦しい状況に追い詰められる時にも「助けの手が差し伸べられない」と思えて孤独を感じるかもしれません。ここで神様が居たら、と願うのは人の自然な欲求です。

 いずれにしても「孤独」はあるものだけれど、それを感じる可能性が完全にない人はいない、という事は言えると思います。

 で、あれば、私たちが作品を作ることで「孤独に耐え、コントロールし、ひょっとしたら楽しむまでできる人もいるかもしれない」少なくとも「他の人も感じるものだ」という事で、光が見える事もあれば、と願うのです。

 私たちが創るのは一人芝居です。舞台上で役者はたった一人です。

 しかし、その背後には演出である私をはじめたくさんのスタッフと、そしてそれを見ている観客のあなた(YOU)がいるのです。

 これが今回のプロジェクトの趣旨であり、劇団名YOUーPROJECTの由来です。
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