On楽工房奮戦記byよっさん@アコギ

わたしの音楽活動、楽器、PA、読書についての勉強を綴ります。

大ホールの機材を使う

2008年06月30日 | PA機材解説~大ホール編~
少し話題が飛びますが市民会館大ホールの音響機材の応用について書きます。

実は今年の夏~冬にかけて、あるプロの方がコンサートをされる予定なんですが、この財政難の相生市のことですから十分な音響機材を持ってきてもらえるほど予算を出していないらしく、相生On楽工房にもしかしたら機材提供含め仕事が回ってくるかもしれないという情報が来ています(詳しいことはまだ未定なので書きません)。
相生市民会館大ホールで常備している機材でコンサートを行う場合に、いろいろ工夫が必要になってくるのでこれを書きます。市やコンサートスタッフの方もできれば見ておいて頂ければ良いかなと思います。

相生市民会館の機材がコンサートに不向きなのは下記の点です。
1.ミキサーの入力ch数が少ないこと
2.ステージモニターへの返しが2つ(それもステレオ接続されている)しかないこと。
3.ステージが見渡せないこと。ステージの音が正面から聞けないこと。

それぞれ細かく書きます。
1.ミキサーの入力chの問題
モノラルchが12あるのですが、うち4つはワイヤレスで占有され、5つは舞台床のコネクタから、1つはエレベータマイク、1つは映写室から来ています。あきchは1つしかありません。
コンサートを行うためにはたとえばトリオ演奏ならピアノ2、ベース1、ドラム4~5、MCでプレイヤー用1、司会者用1必要ですので10ch程度が必要になりますが、舞台上にある5つのコネクタでは足りません。袖にある別のコネクタ盤を使用し音響調整室に送ります。パッチ盤で繋ぎ替え、ワイヤレス等を外して使うことになりますが、当然ゲイン調整等の知識がないと仕使用不可能です。また現況復帰がきちんとできないとダメです。

2.ステージモニター不足
返しの系統は4系統くらいは最低ないとグループ構成のミュージシャンが困ると思います。音響調整室からステージ廻りには2系統しかありませんし、それもAUX-LRのステレオから行くように接続されています。これをまず別ミックスになるようパッチ盤でAUX出力を繋ぎ替えてやる(AUX1~2)と同時にあと2系統(AUX3~4)を別のケーブルで舞台まで下げ、ここでアンプ経由でスピーカーをもう2台接続せねばなりません。

3.見えない
これは致命的です。リハーサルで決めてしまえばokですが細かい調整は本番では不可能です。

そこでうちの機材を持ち込んで、小編成のグループによるコンサートをホール機材を使いながらやるにはどうしたら良いか、手順を書きます。

条件
1.入力18ch程度以内
2.メイン出力はホール機材を使用する。(アンプとスピーカー)
3.ロビーへのBGMや案内送りもできるようにする。
4.正面から音響操作できるようにする。
5.ホールのワイヤレスも使用できるようにする。

持ち込み機材
ミキシングコンソール24ch用
ステージモニター2台(SX300)または4台
アンプ1台(P2500S)モニター用250W
CD/MDデッキ
マルチケーブル2本(22ch20m×2)
舞台上で下手上手を繋ぐ場合は更にマルチケーブル8chを1本
不足マイク類
オスーオス/メス-メス変換ケーブル又はコネクタ
スタンド類は必要に応じ。

設置場所
ミキシングコンソールは客席最後列
持ち込みアンプはステージ袖に置く。
マルチケーブルを2本連結し舞台下手とコンソールのある操作席を結ぶ

結線方法
◎入力系
舞台上のマイク類は全てそのままマルチケーブルでコンソ-ルに送る
ワイヤレスはレシーバーから必要数だけ袖コネクタ盤でステージ下手に逆送し、(キャノンのオスメス変換プラグを使用する)そこからマルチケーブルにつなぎ込んでコンソールに送る。
CD/MDデッキはコンソール横に置く

◎メイン出力(LR信号)
コンソールからマルチケーブルを経由し、信号をコネクタ盤へ送る。
調整室のパッチ盤で袖コネクタ→舞台SP入力端子に接続。
舞台のスピーカー(アルテックA-7)を出してきて接続します。
プロセニアムに送ることも可能ですが同時はマルチケーブルの入力chを占有することになります。また調整室に送るコネクタに上手コネクタ盤を使う事になると思います。


◎ステージモニター1(AUX1~2信号)
同じくマルチケーブルで2系統舞台下手に送り、コネクタ盤経由でパッチ盤へ。
あとは舞台袖はね返り用コネクタにつなぎ込む。
ホールのはね返り用スピーカーを出してきて接続する。

◎ステージモニター2(AUX3~4信号)
マルチケーブル経由で2系統を舞台上に戻し、下手に置いたアンプでスピーカーSX300(持ち込み)を鳴らす。パラレル接続すれば4台ならせます。

◎ロビー放送(グループアウト信号)
マルチケーブルで1系統(サブグループアウトから出した信号)を舞台下手に送り、さらに下手前ステージコネクタ経由で調整室のパッチ盤に送り、ここでロビーの出力系統に渡す。
(マルチケーブルには6系統のリターンが付いている。メイン2、AUX4で埋まってしまうため、1つはオスメス逆転プラグで繋ぐ必要がある)


以上で下記使用が可能です。
ワイヤレス4ch、マイク16ch、返し4系統、ステレオメイン出力及びロビー出力、CD/MDデッキ再生。もちろん個々の音量調整、ミキシング等は全て客席後方にあるコンソールで行えます。音響調整室ではコンソールは使用せず出力系機材とワイヤレスレシーバーのみ使用します。
(現況)


(切り替え---青い色の線に変えます)



最後に・・
ケーブルの切り替えには使用電圧の認識は欠かせません。間違ってもスピーカー電流が流れるような結線でコネクタ盤やパッチ盤につなぎ込むことの無いように充分な知識が必要です。


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2 コメント

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困ったもんです (のり)
2009-02-06 01:31:59
お久しぶりです。
その節はお世話になりました。
お元気ですか??よっさんとはぜひともお会いしたいですね。久しぶりにお酒でも飲みながら音楽談義したいですね。
ほんともう、設備音響には度々頭を悩まされます。
融通効かない、融通効かしてくれない・・・。
最近一番困ったのは、パッチすらやらせてくれない・・・!どうすればいいの??ですよ。限られた環境でベストを尽くすしかないんですけどね、でもねえ??
ところで新しいPA卓を入れたのでSoundCrafの卓が余ってます。差し上げますので引き取ってもらえません?置く場所がないもんで・・・。
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ご無沙汰です (よっさん@アコギ)
2009-02-06 07:45:54
のりさん、ごっぶさたしています。お元気でしょうか?
そうそうじっくりお話できていないのですよ、是非時間とりたいものです。
一般的には融通きかないのでしょうねぇ。相生は特別だと思います。逆にまったくわかっていない人が触るというデメリットも大きいのですが。
サンクラの卓ですか、すごいな。もしかしてでかいやつみたいですね。どうすればよろしいですか?連絡ください。

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