追憶の烏 /  阿部智里

2024年06月18日 | あ行の作家
八咫烏シリーズ第2部第2巻

本来ならば「烏の緑羽」を読む前にこの「追憶の烏」を読みたかったのですが、残念ながら図書館になくて、図書館で出会った順に読みました。
が、やはり正順に読むべきですね。

どういうことが起こって金烏が亡くなってしまったのか…
誰によって命が奪われたのか?黒幕は誰なのか?
皇后浜木綿と娘紫苑の宮はどうなるのか?
雪哉をはじめ山内衆は、四家は?

すべてがこの「追憶の烏」で解き明かされます。

それは、素晴らしいどんでん返しの物語。
そして、ラストに向けてまたもや素晴らしいどんでん返し。
最後まで、息をつく暇もないくらい。

いままでの物語で登場人物のキャラ設定が明確なので、ご都合主義じゃなく「そういうことしそうだよね」と納得してしまいます。

それから、留まらない素晴らしさ。いつだって時間は過ぎていくので、このスピード感はどんどん物語を面白くしていきます。
のちの章でその過ぎた時間のことは知ることもあるかもしれないので、何より時が進むこと、物語が進むことがうれしい。
新しい登場人物も魅力的です。

思うに物語は見えないものを見る難しさ、気持ちを推し量る難しさを描いているのでしょう。
トップに立つものが仕えるものを見る思う、仕えるものが仕える相手を見る思う、それをどれだけ深く見極められるか…。
見極められないと、思いが及ばないと、勝ち目がない、負ける。
例え金烏であっても。
なかなか厳しい、山内の八咫烏の世界。

今現在、第4巻「望月の烏」が発売されています。
新しく登場した「凪彦」のお妃選びのようで、「烏に単衣は似合わない」のような物語になるのでしょうか。それとも?

たぶん、私が思いつかないような展開になって、また「そう来たか!!!」ってワクワク読み終わりそうな予感。
めちゃくくちゃ楽しみです。

早く読みたいな。


<本文>より

※「お前はただの一度だって、奈月彦を選ばなかった」

※真の金烏という『力』に頭を垂れたのであって、仲間になって欲しいと請うてくれた男そのひとを、真摯に見ようとしたことは、ただの一度もなかったのだ。




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