林 葉子 の 研究ブログ

研究する日々の記録

祖父・豊田五郎の契丹文字研究業績一覧(記録)

2012年03月11日 | 私の家族についての記録
昨年亡くなった祖父(豊田五郎)の契丹文字の研究業績について、お問い合わせがありましたので、とりあえず記録として、このブログに、祖父の研究業績一覧を掲載します。

祖父の本業は銀行員でしたので、研究に費やせる時間も研究発表の機会も少なかったようですが、それでも、何十年も、週末はずっと契丹文字の解読に取り組み続けていたことを知っている孫の一人としては、せめて業績のリストくらいは残しておきたいという気持ちがあります。

以下が、現時点でわかっている範囲での、祖父が書いた論文の一覧です。

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豊田五郎(豐田五郎、Goro Toyoda, 1918-2011)業績一覧


1「契丹隷字考―女真文字の源流」(日本語)、『東洋学報』第46巻第1号、東洋文庫、1963年12月。

2 "An Analysis of the Major Ch'itan Characters"(英語、岡田英弘訳), Memoirs of the Research Department of the Toyo Bunko, No.23, 1964.

3「契丹文字の日付について」(日本語)、『京都産業大学国際言語科学研究所報』第6巻第1号、1984年10月、pp.56-65。

4「契丹小字廴の新解釈について」(日本語)、『京都産業大学国際言語科学研究所報』第7巻第1号、1985年9月、pp.47-50。

5「關于契丹小字廴的新解釈」(中国語、劉鳳●〔者にヽ+羽〕訳)、『民族語文研究資料情報集』、1988年。

6「關于契丹小字的幾點探索」(中国語、那順烏日圖訳)、『内蒙古社會科學』、1991年第3期。

7「關于契丹小字的方位和一些數詞」(中国語、沈力訳)、『中國民族史研究(四)』、改革出版社、北京、1992年。

8「解讀契丹大字的線索」(中国語)、『中國北方古代文化國際學術研討會論文集』、中国文史出版社、北京、1995年。

9「契丹文字 蒙古の万葉式秘密仮名」(日本語)、『月刊しにか』vol.8/ No.6、大修館書店、1997年6月号、pp.28-34。

10「契丹小字に保存された中古蒙古語の痕跡 永福と春秋と数詞」(中国語および日本語)、『日中合同文字文化検討会講演資料』(遼寧省博物館)、文字文化研究所(京都市)、1997年。

11「契丹小字對四季的稱呼」(中国語)、『民族語文』1998年第1期。

12 "On the Kinship term in Small Khitan Characters", ALTAI HAKPO, 韓国アルタイ学会, NO. 10, 2000年。


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豊田五郎 履歴

1918年1月7日 熊本県熊本市生まれ

1938年 長崎高等商業学校(現・長崎大学経済学部)卒業

1938年 株式会社第一銀行(後の第一勧業銀行)入行

1973年 村田鋼業株式会社 取締役

1986年 同社退職

2011年 死去


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上記の祖父の業績一覧については、祖父が1999年に李基文さんに宛てて書いた手紙のコピーが、叔父のところに遺品として残っており、そこに書かれてあった自己紹介文を参考に記しました。

私はずっと、祖父が何に夢中になって研究していたのかよくわからなくて、漠然と、モンゴルについての研究をしていると思っていたのですが、今回、祖父の研究をあらためて整理して記すうちに、モンゴルというよりは、むしろ、ハングルに関わることを研究していたようだ、とわかりました。

私自身は、文字研究は全くの門外漢で、祖父の研究内容についても理解できていないのですが、祖父からは「研究は楽しい」という、研究者としての基本的なことを学びました。

祖父は、おそらく一度も研究によってお金を得たことがなかったようですが、仕事に出かけている時以外は研究のことばかり考えていて、いつも静かに本を読んでいる人でした。

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