のびのびのぶログ

水彩画や好きな音楽について語ります。なんでも伸び伸びと書いていきます。でも忙しくて更新が延び延びになるかも。

西の谷の4本の木 第一話

2016年07月16日 07時59分30秒 | 日記



 昔、西の谷というのどかな集落がありました。そこでは人々と植物たちがともに尊重しながら暮らしていました。その中に4本の木がありました。
 1本目の木、檜は、すくすくと育ち、どの木もうらやむ立派な大木になりました。
 2本目のハナミズキの木は、枝葉をいっぱい広げ、太陽の祝福を受けて育ちました。そして、毎年可憐な白い花を咲かせ、人々を虜にしました。
 3本目の木、クスノキは、どっしりと立ち3本木のよき理解者でした。
 4本目の木、忍冬(すいかずら)は、なかなか成長しません。ひ弱なつるを伸ばしては、周囲の木に絡みつきながら育ちました。



 ある日のことです。
 檜の上に谷と谷を結ぶ高架橋を建設することになりました。これが出来れば、今まで遠回りをしていた人々の苦労が一気に解消されます。人々は喜びました。村人の喜ぶ顔を見て木たちも喜びました。
 でも、浮かない顔をしている木がありました。檜です。ハナミズキは、「どうしたの。みんなが喜んでいるんだよ。」と話しかけました。でも、檜の顔は冴えないままです。ハナミズキは知っていました。今までまっすぐに伸びてきた檜がおもしろくないのを。ちょっと自分を曲げれば橋をかすめて伸び続けることは出来るのに。ハナミズキはそう思いましたが、檜の気持ちも考えると、言葉をかけるのをためらいました。
 その様子を忍冬(すいかずら)が見ていました。忍冬は思いました。自分は生まれつきひ弱で木のみんなから馬鹿にされてきた。檜のように空に向かって大きく育つことも出来ないし、ハナミズキのように美しい花で人々を魅了することも出来ない。でも、太陽の光をいっぱい浴びて自分の思う方向に伸びていけば、いつか自分にも振り向いてくれる人々がいるはずだ。忍冬は2本の木を見上げながらそう思いました。
 月日が流れました。あれほど我を張っていた檜は自分の伸びる方向をちょこっと変えてすくすく育っています。
 ハナミズキは、今年も綺麗な花を咲かせて人々を魅了しています。
 クスノキは、優しくみんなを見守っています。
 一方、忍冬は、時々邪魔扱いされながらも、暑い夏も寒い冬も耐え忍びました。そして小さな花を咲かせました。人々が気がつかないような小さな花でした。ひ弱だったつるは、いつしか堅い木になっていました。
 4本の木にまた笑顔が戻りました。


 庭の4本の木を眺めていたらこんなお話が浮かんできました。実際には、檜はゴールドクレスト、ハナミズキは山法師、クスノキは、モッコクの木です。です。4本の木のお話はこれからどうなるのでしょう。


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