「民族」 と 「民俗」

　古代日本（大和以前）には和人や熊襲・隼人など、多くの民族が有り、和人が大和として統一したとされています。 ７世紀ころになると、国号を「日本」と定め、大和時代の各民族は日本人になりました。これは既に日本民族と言えますが「民俗」の違いは当然残っていたと思われます。

　「琉球民族」は、古来から平安言葉を話していて日本文化圏に在り、風習の違いから「琉球民俗」と言った方が良いと思われます。 琉球国を「琉球王国」と言って、琉球は「現代で言う処の独立国」だったと言う人もいますが、１４２９年から１８７９年までの間に琉球王を名乗る統治者が居ただけであり、「琉球王国」と云う名称は歴史上の記録としては存在しません。

　与那国等も「当時の意味での独立国」でしたが、琉球国の支配下に置かれていました。つまり、琉球国自身が他国を支配下に置く事を当然と思っており、琉球が１６０９年に薩摩藩に帰属した事実も正当性が有ると認める事は当然と言えます。当時の薩摩藩の領地（施政下）には薩摩国や大隅国・日向国もありました。地名に国が付いているからと言って「現代の意味で言う独立国」では有りません。

　「アイヌ民族」は、遺伝子情報から和人や琉球人と同様に縄文人であった事は証明されていますが、言語体系や文化が違うので同様に考える事は出来ません。８世紀に完成した日本書紀にも北海道（当時は「おしま」）の事が書かれており、蝦夷（えみし）と和人の交流が有った事が窺え、和人も北海道に居住していたと思われます。
北海道のアイヌの歴史は１３世紀まで遡る事が出来て、１４世紀には和人専用の居住地が北海道南部に在ったことが判明しています。

　「アイヌ民族」は、元々北海道に居た縄文人がシベリアやオホーツクに居た他民族との混交が進み、独自の文化習俗を発展させたと思われます。この古来の「アイヌ民族」が北海道独自の先住民族と定義できるのなら、「アイヌ民族」と「大和民族」との混交が進み、「純粋なアイヌ民族」が居なくなった現在においては、新民族が誕生したとも言えます。この新民族も当然日本民族ですが、「アイヌ民俗」の習俗もまだ残っています。

　憲法第１３条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

　憲法第１４条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

　つまり、憲法では「日本国民は、個人として尊重される」のであって、例え人種・民族の違いが有っても区別・優遇の対象にはなりません。

　当然ながら、「アイヌ民俗」は今でも存在しているので、「大和民俗」等と同様に尊重される必要があります。しかし、先住民と云う理由を付けて補助金などを支給する事は憲法違反になります。北海道に古くから住んでいたと云う理由ならば、和人も「アイヌ民族」が歴史上に登場する以前から、北海道に居住していた事が分かっているので、古来から住んでいた「北海道居住の大和民族」にも分け隔てなく国費を投入する必要があります。

　「アイヌ文化振興法」が有るのに「蝦夷在住和人文化振興法」や「隼人文化振興法」等が無いのは憲法違反に当たります。「熊襲」や「隼人」等がすでに存在しないと言うのなら、「アイヌ」もいません。いても「熊襲系・隼人系・アイヌ系日本人」であり、全て「日本人」です。

　憲法を順守するなら、其々の「民俗」に「文化振興法」で国費を投入必要が出て来ます。