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「相互主義」 と 「内外人平等主義」

2019年11月08日 | 安全保障

 国際政治・外交上の「相互主義」には、二つの意味が有ります。

① 外国人の権利に関して、その外国人の国籍を有する国が、自国民(邦人)に対しても同等の権利が与えられていることを条件とする考え方。

② 外交や通商などにおいて、相手国の自国に対する待遇と同様の待遇を相手国に対して付与しようとする考え方。

 ①の場合を説明すると、日本に住んでいる中国人に対し権利Aを与える場合は、中国に住んでいる日本人に対しても(同等の)権利Aが与えられている事を条件とし、そうでない場合は中国人には権利Aを与えないとする、個人の権利に関する外交理念です。

 ②の場合を貿易で説明すると、日本が輸出する製品に関して中国が輸入関税を掛けない場合は、中国から輸入する製品には日本も関税を掛けないとする、通商上の互恵関係です。

 これに似た概念として「内外人平等主義」と云う考え方が有り、これは単純で「日本国内では、日本人に対するのと同様の待遇を、外国人にも与える」と云う考え方です。この考え方は単純ですが、実際には「国際基準」や「主権のあり方」など、自国民と外国人を同等に扱う事は困難な場合も有ります。この「内外人平等主義」も外国人に対する待遇ですが、当該外国での日本人に対する待遇とは関係なく与えられる事が「相互主義」とは異なるところです。

 最近、日本の土地が外国人に買われています。特に北海道の土地が中国人や、中国に由来する日本人によって大量に買われているようです。この事に危機感を覚えた「小野寺まさる」元道義の疑問に対して、外務省は「中国では、中国人も日本人も同様に土地は買えない。日本では、日本人は自由に土地を買えるのだから”相互主義の原則”で、中国人も土地を買えるのは当然だ。」と答えたそうです。しかし、外務省がこの説明に「相互主義①」を持ち出すのは間違いであり、有るとすれば「内外人平等主義」です。

 1925年に制定された「外国人土地法」の第一条では、外国人の土地購入に対して「外務省の判断」とは正反対の事が書かれています。しかし、この法律を執行する政令が制定されていない為、中国人による土地購入を禁止する事は、行政としては出来ません。

 第一條

帝國臣民又ハ帝國法人ニ対シ土地ニ関スル権利ノ享有ニ付禁止ヲ為シ又ハ条件若ハ制限ヲ附スル国ニ属スル外國人又ハ外國法人ニ対シテハ勅令ヲ以テ帝國ニ於ケル土地ニ関スル権利ノ享有ニ付同一若ハ類似ノ禁止ヲ為シ又ハ同一若ハ類似ノ条件若ハ制限ヲ附スルコトヲ得

 現代語で意訳すると「日本人に対して土地の権利に制限を為す国に属する外国人に対しては、日本に於ける土地の権利に関する同様の制限を為す事が出来る。」です。

 つまり「日本人が中国で土地を買えないのなら、中国人に対して日本の土地を買えなくする事が出来る。」と、極めて常識的な法理と言えます。「害務省」は、この法律の「日本人に対し制限をする」を「日本人だけに対して制限をする場合」と、解釈を捻じ曲げて説明し、更に安倍政権の方針も有って有効な政令を制定しようとはしません。




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