オメガねこ

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「教育勅語」と「ナチス」

2019年06月24日 | 教育

 「『教育勅語にも良い面がある』というのは、『ナチスの政策にも福祉はあった』と言うのと同じで、そもそもの土台が全く分かっていない頓珍漢な欠伸のようなものと思うべきです。」と言う人がいます。

 また、「『教育勅語』『奉安殿』『ご真影』は3点で1セットになっていて、天皇陛下万歳と言って死ぬことを半ば強制された。」とも言ってます。

 ナチス・ドイツは第一次大戦後の世界情勢下でドイツの「民主主義」によって成立しました。ナチスの成立は「世界情勢」「ドイツ国民」「民主主義」の3点で1セットの要素が土台であり、その上に「ヒトラー」が乗っています。この3点セットは複雑で一葉には書けないので説明は端折りますが、少なくとも自明的な「悪」では有りません。

 要素の組み合わせによって破滅的な結果が出たとしても、その3個の組み合わせに、或いはそれぞれに欠陥がある証明にはなりません。今のドイツもこの組み合わせを土台にして成り立っているので、若し違うところがあるとしたら「世界情勢」と言えますが、そうなると、「世界情勢」に欠陥があったという結論に達します。

 「ナチスの政策」は民主主義によって制定されたものですが、「福祉政策」は国民の福祉を目的にしていて、「戦争政策」は勝つことを目的にしています。しかし、「ドイツ国民」も「民主主義」も戦争を目的に創られたものではありません。

 「教育勅語」は、日清戦争以前に発表された勅語(おことば)です。民主主義の力で書かれたものではないですが、少なくとも戦争を目的にはしていません。

 「奉安殿」は、「教育勅語」と天皇皇后両陛下の「御真影」を保管する為の県庁や学校が管理する建物です。「御真影」は強制ではなく、要望によって下賜されたもので、学校の場合は宮内庁から「優等」とされた場合のみ「貸与」が許されました。

 昭和初期には、「御真影」が一般人の家庭にも広がり、一大ブームが起きたようですが、大東亜戦争が始まると雑誌などへ掲載が制限されました。これは、「御真影」が戦争に利用されていなかった事を暗示しています。

 戦争はあらゆる資源を利用しますが、その利用されるモノの本質とは無関係です。鉄で創られた鉄砲は人を殺しますが、その成分である鉄には悪意はありません。人間は戦争の主役になりますが、人間を否定する根拠にはなりません。

 「教育勅語」と「ナチス」を比較する事自体が頓珍漢なことです。

 尚、「ナチス」とは「National Sozialistische Deutsche Arbeiter Partei(国家社会主義ドイツ労働者党)」の略称とされていますが、本来の略称は「NSDAP」で、「ナチス」は「ジャップ」と同様に蔑称です。