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野鳥にもやさしい風力発電であってほしい・・・

私たちが使っている電気、野鳥たちが犠牲になっている!たかが鳥なのか・・・。

響灘洋上風力発電の影響を受ける野鳥たち③

2024-11-29 09:46:44 | 日記

響灘洋上風力発電の影響を受ける野鳥たち③ Birds in danger of colliding with Hibikinada offshore wind turbines.

危険が迫っている野鳥たち

◆ハチクマ・ハイタカ(タカ科)準絶滅危惧種 英名:Honey Buzzard ・Sparrow Hawk photo:ⒸM.ARAI  

  

 この2種のタカは、共に日本に渡来して、ハチクマは繁殖し、ハイタカは越冬をします。それぞれの観察ベストシーズンとしては、ハチクマは9月、そしてハイタカは3月~4月、10月~11月です。今年9月、北九州市内を通過したハチクマは1万羽を超えました。ハチクマが集結する長崎県五島市福江島に次ぐカウント数です。ハイタカは観察条件が良いときに1500羽程をカウントできました。
 ハチクマもハイタカも、かなり高いところを飛ぶこともあれば、天候によっては低空を飛ぶこともあります。風向きによっては内陸側を飛ぶこともあれば、沿岸や海上を飛ぶこともあります。事業者はこの2種共に、高空を飛ぶため、風車の影響は受けないと繰り返し主張します。天候の良い時だけ調査をするために、上昇気流に乗って高空飛翔することだけを報告するのでしょう。事業者に都合のよい調査結果しか報告しない姿勢は看過できません。国内では数少ない衝突死しか報告されていませんが、今後精度の高い調査をすれば、この2種に及ぼす影響がさらに大きくなるでしょう。

◆カンムリウミスズメ(ウミスズメ科)絶滅危惧種・国天然記念物・日本固有種 英名:Japanese Murrelet photo:Ⓒ(公財)日本野鳥の会

     

 2014年、佐賀県唐津湾沖合の島で繁殖しているカンムリウミスズメ(家族が?)が、玄界灘→響灘→関門海峡→豊後水道→太平洋北上→青森県を通過し、ほぼ日本一周していることがジオロケータ調査でわかりました。カンムリウミスズメたちが、「さあ、これから日本一周するぞ!」という矢先に、響灘で25基の洋上風車建設工事が行われていることに、彼らはとまどうことでしょう。「いや、あんな小さな体で、しかもほとんど泳いで移動するのだから、広い海域のどこでも通って行くだろう」と、全長約26センチの小さな海鳥のことなど気にする素振りもない事業者の声が聞こえそうです。

 ただ、近年、建設工事が行われている北側の白島で、カンムリウミスズメが繁殖している可能性があることが有識者の発言でわかりました。そうなると、カンムリウミスズメに対して建設工事が与える影響はもっと深刻なものになるかもしれません。空を飛ぶ鳥類に比べて風車への衝突などのリスクは低いかもしれませんが、建設工事の基礎を打ちこむ音や大きな作業船が行き来することが、カンムリウミスズメたちの生息を脅かすことになるかもしれません。国内で限られた離島で繁殖する小さな海鳥への一層の配慮が必要です。

◆カラスバト(ハト科)絶滅危惧種・国天然記念物 英名:Japanese Black Wood Pigeon photo:ⒸT.HAYASI

     

 文字通りカラス色のハトですが、よく見るキジバトより大きく、紅紫色や緑色の光沢があります。離島のよく茂った森に棲んでいる留鳥です。2015年9月、福岡県から白島の鳥類調査を委託された日本野鳥の会北九州支部は、白島で約30羽のカラスバトを確認しました。白島(男島)は極めて小さな島で、しかも石油備蓄基地があります。この30羽すべてが留鳥として生息しているとは考えにくく、島嶼間を移動していると推測しました。響灘や玄界灘でカラスバトが棲んでいそうな島に渡っても、数回その鳴き声を聞ける程度です。安住の地を求めて、島から島へと移動中に、今まで見たこともない洋上風車にとまどい、中には弾き飛ばされるカラスバトがいるかもしれません。識者もカラスバトの移動を認めていますが、事業者は島に棲む留鳥ということで、お決まりの「影響は小さい」と、根拠の薄い見解を述べるのみです。希少種に対しての配慮は全くないようです。

◆ハシブトガラス・ハシボソガラス 英名:Jungle Crow ・Carrion Crow photo:日本野鳥の会北九州支部(北九州市若松区響灘沿岸の風車下で発見した死骸。風車に接触し落鳥と推定。)

      

 市街地の中でたくましく生きるカラス。ごみを散乱させ、動物の死骸に群がり、子育て中には人にも攻撃するなど、嫌われ者の汚名を着せられています。そんなカラスですが、自然界ではそれなりの役割を果しているようです。動物の死骸を片付けてくれることや、ある種が増えすぎると、生態系のバランスが崩れることがありますが、それをコントロールする役割を果しているとも言われています。ただ、見た目や鳴き声が人に嫌われる理由でもあるでしょう。
 鳥類の中では最も知能が高いと言われるカラスも、危険な風車への危機感は薄いのでしょうか、風力発電の犠牲になっており、その数はタカ類、カモメ類に次いでの数となっています。鳥類の長い歴史の中で、ここ30年ほどに出現した巨大な羽根が回る風車への危機意識は未だないようです。知能の高いカラスでさえそうですから、他の鳥類はなおさらでしょう。
 普通種でしかも嫌われ者で、どこにでもいるからといって、カラスの被害を無視することがあってはならないと思います。それは、希少な野鳥も風力発電の被害に遭う警告であり、生物多様性の警告でもあるからです。風車の下に1羽のカラスの死骸が見つかれば、その他多くの野鳥たちが被害に遭っているというサインです。

◆ツグミ、ヒヨドリなどの小型鳥類 Small birds such as thrushes ,brown-eared bulbul . etc. photo:Y.MORIMOTO

    

 関門海峡から響灘には多くの小型鳥類が飛翔し、渡りのコースになっています。それは、風力発電事業者や、第2関門橋と呼ばれる「下関・北九州道路」のアセス調査でも明らかです。また環境省助成の調査においても、多種多様な小型鳥類が記録されています。留鳥のシジュウカラをはじめ、ツバメ類、アマツバメ類、セキレイ類、ヒタキ類、ムシクイ類、ホオジロ類、そしてシギ・チドリ類の群れも渡っています。
 身体が小さくて、敏しょうな小鳥であっても、巨大な風車の羽根に時には数羽単位で、時には群れがはじき飛ばされることでしょう。夜間渡る小鳥類も多いことから、その発見は陸上でも困難であり、海上で
は全く発見されない可能性が高いと言えます。ヨーロッパでのヘリコプターを使った死骸探索で、多くのツグミ類の死骸が海上で発見されたことからも、事業者はもちろんのこと、誘致した自治体や県、国が積極的に被害状況を把握しなければなりません。その前に、実効性ある対策実施が必要であることは、言うまでもありません。

 今国内では、環境アセス調査のデータを改ざんしたり、極めて不適切な調査報告が問題になっています。事業者は、風車が建設されることによって、鳥類などに影響が及ぶことは、努めて報告しないというスタンスでしょう。これが開発による自然環境(野生生物)への影響を軽減するという、現在の事業者の環境アセスなのです。これを容認している行政と環境審査会の責任はもちろんのこと、それを許してしまっている、保護団体(決して一枚岩ではない)にも責任の一端があるかもしれません。それは私自身に対してもです。
 天然記念物や絶滅危惧種の野鳥が風車にはねられ、叩き落とされても、法律上は責任も罰則も対策を講じる必要もないとのことですが、回転する風車の羽根に野鳥は必ず衝突することがわかっているのですから、実効性ある対策を講じない事業者の過失責任は問われてしかるべきです。ヨーロッパのように、罰則を設けるべきです。もう猶予はありません。早く法令化、条例化して、事業者に実効性ある対策実施を義務付けしましょう! 心ある国会議員さん、自治体の議員さん、ご支援ください。

We want wind power to be wild birds friendly.

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響灘洋上風力発電の影響を受ける野鳥たち②

2024-11-22 13:22:43 | 日記

響灘洋上風力発電の影響を受ける野鳥たち② Birds in danger of colliding with Hibikinada offshore wind turbines

危険が迫る野鳥たち

◆カモメ類 Gulls photo:ズグロカモメ(曽根干潟)ⒸS.TAKAHASHI 

        

 カモメ類は、1年中見かけるウミネコと、越冬のために飛来するユリカモメやセグロカモメなどが沿岸や河口などで見ることができます。今後、洋上風力発電がさらに増えれば、風車の羽根の回転範囲の高さを飛ぶトビなどと同じように、カモメ類の衝突死が増えることは間違いないでしょう。しかし、海上に落下すれば波に流され、死骸は不明となります。よって、衝突死は把握できずに、カモメ類への影響は小さいとされてしまうでしょう。

 国内で公表された風車への衝突数で圧倒的に多いのはタカ類ですが(2023年3月時点で210羽)、それに次いでカモメ類が多く、2023年3月時点で68羽です。タカ類が2019年から31羽増えていますが、カモメ類は変わりません。海や湖、河口などに落下した場合、発見される可能性が低いことが理由でしょう。

 カモメ類は世界で最も個体数が多い野鳥ではないかと言われているだけに、風車への衝突死は軽視されがちですが、数が多いからといって、あるいは重要種ではないからといって、軽視することは慎まなければなりません。自然界の生態系は微妙なバランスで保たれており、それを壊すのは私たち人間による開発行為であることを認識しておく必要があります。

◆カモ類 Ducks 

 カモ類の多くは冬期に越冬のため渡来し、内陸の湖沼や農業用ため池、ダム湖、河川、河口から海域まで、広く見ることができます。群れで行動するため、移動の際に高く飛びあがり風車に次々と衝突する恐れがあります。国内で公表されたカモ類の衝突としては、マガモ、カルガモ、コガモ、スズガモなどですが、響灘沿岸に10基並んだ風車(撤去済み)に衝突した可能性が高い、体の上部と下部が断裂したカルガモの死骸が発見されています。海外では、風車の後部において発生する乱気流に巻き込まれて、海上に落鳥したカモ類の事例もあります。

 響灘の周辺には港湾水路や貯水池、ため池などが多く、多種類のカモ類が多数越冬しています。夜間、採餌のために海上と陸上を往復する際、洋上風車の羽根に弾き飛ばされ、乱気流に巻き込まれ、海上に落鳥しても、ほぼ発見されることなく、カモ類への影響は小さいとなってしまいます。比較的大きな体のカモ類は発見も難しくないため、風車に近づいたら回転を停止することぐらいは簡単でしょうが、事業者はたかが鳥のために手間ひまかけたくないのでしょう。生きものにやさしくないですね。

◆コアジサシ(カモメ科)絶滅危惧種・種の保存法国際指定種 英名:Little Tern photo:ⒸM.IWAMOTO

           

 コアジサシは夏鳥として4月頃に渡来し、10月頃まで滞在。海岸、河口、湖沼などの砂礫地で集団で営巣し、地上に浅いくぼみをつくり、小石や貝殻を敷いて巣とします。埋立地や更地になった工場地帯の砂礫地にも営巣します。水面の上空を飛び、空中でホバリングしながら小魚を探し、水中にダイビングして捕らえます。北九州市内では、北九州空港ができる以前の人工島で、大群が連続して営巣繁殖していた時期がありましたが、現在の北九州市内では、北九州空港周辺や響灘埋立地の企業敷地に時折大群が渡来していますが、持続安定した営巣繁殖は確認できていません。

 国内でのアジサシ類の風車への衝突死発見事例は少ないですが、ヨーロッパのベルギーの沿岸浅海域では、アジサシ類の繁殖期において、2年続けて160羽以上の衝突死が確認されています。今後、洋上風力発電が増えていけば、響灘海域で採餌をするコアジサシの風車衝突が増えるのは間違いないでしょう。国内におけるコアジサシの営巣場所が激減するなか、絶滅への懸念がさらに増すことになるかもしれません。

◆ハヤブサ(ハヤブサ科)絶滅危惧種・種の保存法国内指定種 英名:Peregrine Falcon photo:ⒸM.KAWASAKI

              

 ご存知、鳥類最速のスピードで飛翔するハヤブサですが、海峡を渡るヒヨドリの群れを襲ったり、市街地でハトなどを捕獲してなんとか生存しているようです。このハヤブサ、風車の怖さを知っているのかどうか、風車のナセル(発電機などが内蔵されている)に平然と?止まっているのが目撃されたことがあります。たぶん、風車は回っていなかったと思いますが、ハヤブサが風車を危険なものと認識し、近づかないことを願うばかりです。国内でも海外でも風車に衝突した報告は少ないですが、ハヤブサのなかまのチョウゲンボウやチゴハヤブサも衝突死しています。高速で飛翔するハヤブサたちも、やはり巨大な風車を危険なものと認識できず、はねられてしまうのでしょう。
生態系の上位にあるハヤブサが生息する自然環境は優れた生態系であると言えます。風車の存在を嫌がってハヤブサがいなくなったり、風車に衝突していなくなれば、生態系バランスは崩れてしまいます。生物多様性にも影響します。こんな簡単なことがわからない事業者ではないはずです。誘致した北九州市は生物多様性を “一応” 重視しているのでなおさらです。それでも「たかが鳥」なんでしょうか。

つづく

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響灘洋上風力発電の影響を受ける野鳥たち①

2024-11-20 21:39:22 | 日記

響灘洋上風力発電の影響を受ける野鳥たち① Birds in danger of colliding with Hibikinada offshore wind turbines 

  北九州市若松沖で建設工事中の響灘洋上風力発電25基の事業は、響灘海域の生物多様性を軽視するかのように、海域に生息する野鳥たちへの実効性ある影響軽減策を実行する気配もなく、粛々と工事を進めています。それを容認する “環境未来都市” の北九州市は、市民に配布される「市政だより」でその進捗ぶりをアピールしています。(下写真参照)

        

 2023年3月時点における国内で風車に衝突死した野鳥の数は604羽と公表されていますが、行政関係からの報告が主であることと、この多くが偶発的に発見されたことを思えば、実際にはこの10倍くらいと推測できます。特に事業者は月に一度の設備点検ついでの死骸探索など、積極的には死骸発見に努めていないと思われるからです。さらに衝突して落鳥すれば、陸上では捕食動物などに持ち去られ、海上では波に流され、沈んでいくことから、被害実態の把握には程遠いでしょう。海上においての探索方法としては、ヨーロッパで実施されたヘリコプターや、近年多用されているドローンを使った探索が効果的ではないかと思われます。

身に危険が迫っていることも知らずに...Birds don't know they are in danger.

 来年(2025年)の今頃には海水面から200mを超える高さの巨大な風車がニョキニョキと海上に建ち、直径170m以上のローター(回る3枚羽根)が「ウオーンウオーン」と、うなり音を発しながら運転を開始します。ふわふわと飛び回るカモメたち、上空でくるりと輪を描くトビや、ホバリングしながら魚を探すミサゴたちにとって、身に危険が迫っていようとは、全く理解も想像もできない響灘海域の野鳥たちです。今日も響灘海域の野鳥たちは、騒々しくなった海上にとまどいながらも、越冬に向けてせっせと準備をしていることでしょう。

 私たちは、野鳥たちが風車の羽根に弾き飛ばされないように、叩き落とされないように、「危ないよ!」と知らせることもできず、事業者の対策にも期待できず、誘致した北九州市はそれを見て見ぬふり、“脱炭素”の旗を振って、海上に林立する洋上風車を誇らしく宣伝することでしょう。野鳥たちの命の危険を顧みることをせずに稼働する風力発電は恥ずべきことです。

危険が迫る野鳥たち 

◆トビ(タカ科)英名:Black-eared Kite photo:ⒸT.ITOYAMA

       

 一般にはトンビとも呼ばれるトビの多くは海辺や漁港の周辺で見られ、おこぼれの魚などを狙っているようですが、北九州市の市街地を流れる紫川(むらさきがわ)上空でも輪を描いて飛んでいます。ハトにえさを与えている人がやって来る時間になると、どこからか集まって来て、ちゃっかりとパンなどを頂いているようです。鳥類の中でも優れた飛翔力を持っているトビですが、若松区の響灘埋立地で稼働する風車下で発見された野鳥死骸のトップはこのトビです。回っている風車近くで悠々と飛んでいることも多く目にしますが、風車下の鳥の死骸でも探しているのでしょうか、今にもはねられそうになることもしばしばです。1年中同じ所に棲んでいるようなので、風車を危険なものとわかりそうなものですが、10年以上運転の風車下でも死骸が発見されています。

◆ミサゴ(タカ科)準絶滅危惧種 英名:Osprey photo:ⒸT.ITOYAMA

        

 オスプレイの英名がついたこのタカは、魚を主食とするタカです。魚が多い海辺で見ることが多いのですが、元々は河川の中流域以上に生息していたところから、内陸の湖沼などでも見ることができます。上空でホバリングしながら、水中の魚に狙いを定め、ダイビングして魚をつかみ、飛び立つ様は、猛禽類の勇ましさを感じます。響灘洋上風車群の北側に位置する白島で多数営巣し、子育てをしているようですが、響灘埋立地で稼働する風車下で発見された野鳥死骸の数としては、トビに次ぐ多さです。

 海中の魚を見つけたら、風車が回っていることの意識もなく、急降下するときに風車の羽根に弾き飛ばされるようです。北九州市内で公式発表された野鳥の衝突死は、すでに撤去された洋上風車(1基)の羽根に接触し、背骨が折れたミサゴ1羽が唯一です。死骸が発見されても事業者が衝突死と認めない傾向があることが、野鳥被害の実態が表面に出ない大きな原因と言えます。

◆オオミズナギドリ(ミズナギドリ科)渡り鳥条約掲載種 英名:Streaked Shearwater photo:(公財)日本野鳥の会        

        

 一般の方たちには、たぶんなじみのない名前の海鳥ですが、春に遠くオーストラリア周辺や南シナ海などから日本に渡って来て、近海の離島で数少ない集団繁殖をしています。国内数ヵ所では集団繁殖地が天然記念物に指定されています。
 オオミズナギドリは、朝まだ暗いうちに島を飛び立ち、広範囲の海域でエサの魚やイカの群れを見つけて捕らえ、夕方暗くなって島に戻り、ヒナにエサを与えます(オオミズナギドリは漁師さんたちの魚群探知の役割を果たしています)。夏が過ぎ秋が近くなる頃、親はある程度成長したヒナを島に置き去りにして、南に飛び去ります。ヒナはさらに3週間ほど体内に蓄えた脂肪を利用して成長し、10月~12月に島を離れます。(引用:三省堂コンサイス鳥名事典より)

 北九州市若松沖の響灘では、洋上風車建設区域を含むエリアで、2014年から2015年環境省の委託により、調査会社がオオミズナギドリの生息調査を実施していますが、春から秋にかけて、各季2~3日2~3時間程度の調査で、約300~800羽のオオミズナギドリが確認されています。実際はこの10倍以上の数が生息していると推測されます(白島での営巣調査を参考)

~オオミズナギドリへの影響を過小化する事業者~Businesses that say their impact is intentionally small
 オオミズナギドリは、ほとんどを海上と離島で過ごすため、これから増えていく洋上風車の影響を大きく受ける可能性があります。しかし、事業者は島から飛び立ったり、戻るとき以外は海面すれすれを飛ぶから、風車の羽根には衝突しないと言い切ります。確かにエサの魚を探したり、捕獲するときはそうですが、天候によっては風車の回転範囲を飛ぶ可能性があります。響灘埋立地で稼働している陸上風車においても3ヵ所でオオミズナギドリの死骸が発見されています。いずれも11月に発見されています。野鳥への影響を極力小さいと言わなければならない事業者の都合のいい解釈は信用できません。

つづく

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野鳥をとりまく環境は四面楚歌

2024-11-05 10:31:00 | 日記

Wild bird habitat is becoming more and more difficult.

生きものにやさしくない国になってしまったのか

Has Japan become less wildlife-friendly?

翻弄される野鳥たちと、その生息環境

Wild birds at the mercy of development.

 北九州市若松区沖の響灘で工事が進む洋上風力発電(25基)に対して、海鳥たちに与える影響を何とか軽減しなければと思っている現在ですが、さらに響灘の別の海域では洋上風力発電促進区域指定に向けて動いています。また、北九州市内の貴重な野鳥生息地は、産業用地開発エリアに巻き込まれようとしています。野鳥をシンボルとする自然環境は、まさに四面楚歌(助けがなく、まわりが敵や反対者ばかり)の状況と言えます。風力発電に気を取られている間も、野鳥たちの生息環境はますます悪化の一途のようです。

福岡県響灘沖洋上風力発電促進区域の動き

Movement to Promote Offshore Wind Power Generation off Hibikinada, Fukuoka Prefecture.

 数年前、北九州市は国の補助金を得て、響灘洋上風力発電のゾーニングにトライしました。宗像市、岡垣町、芦屋町、北九州市の沖合の海域です。生息する鳥類などの生息調査も行い(この調査データは貴重なものですが)、近隣市町や各漁協、野鳥保護団体との協議の結果、一次スクリーニング(風車の設置困難区域)の図は作成されましたが、ゾーニングマップ作成には至りませんでした。「世界文化遺産沖ノ島」を有する宗像市からは、「沖ノ島を望む広い海域から風車が見えないこと」。さらに芦屋の航空自衛隊からは、「緊急時の海上低空飛行の支障にならないこと、レーダーに影響がないこと」と釘を刺されたことがゾーニングマップができなかった理由のひとつではなかったかと思っています。残念ながら野鳥への影響は論外だったでしょうか。そのような経過のあったゾーニングのトライでしたが、今思えば、洋上風力発電促進区域指定の準備をしていたのでしょうか。

 この海域は近い距離で沖合7~8㎞、遠くは13~14km、東西14kmにも及びます。私たちは生息する鳥類などの調査データなどを探し、準備を始めたばかりです。できれば船をチャーターして調査したいところですが、高額の費用もかかりますし、人材確保も困難が予想されます。弱小な保護団体では実施が難しく、事業者や行政のデータを参考にするしかないのが歯がゆいです。ここが唯一のウィークポイントです。

 国内で数少ない集団繁殖地のひとつである若松区沖の白島のオオミズナギドリの採餌場であり、遠く韓国まで餌探しに行く飛翔コースでもあります。また、ほぼ日本固有種で、絶滅が迫っているカンムリウミスズメの生息海域でもあります。国による洋上風力発電促進は、これらの海鳥たちに配慮しようとはしない(たぶん)でしょうから、私たちに課せられた責務は重いです。しかし、やれるだけはやらねばです。野鳥たちの後押しを受けてです。何度も言いますが、形骸化が著しい事業者による環境アセスは全く信じるに足りませんから。

 日本がCO2排出削減にいくらがんばっても0.006℃しか気温を下げられないという説がある中、日本の財務大臣は、「たとえそうであっても国際社会の一員として気候変動対策をやるべき」とコメントしました。失うものが大きい今の風力発電の問題など全く頭にないのでしょう。情けないです。先の選挙で「再エネ賦課金の廃止」を言ってた政党が躍進しましたが、高騰する電気代から国民の負担を減らすことが目的のようで、野鳥への影響や、住民の健康を考えてのことではないようです。なんだか.......ですね。

北九州市の産業用地開発は、野鳥たちへの配慮を考えているのか

Will Kitakyushu City's industrial land development take care of wild birds?

 北九州市は市街化調整区域での開発や農地転用が可能になる特例措置を活用して、民間の産業用地開発を促すため、対象地域内での開発を公募することを北九州市長が発表しました。「企業誘致加速大作戦」と掲げていますが、たぶん熊本県のIT産業誘致による地域活性化に触発されたのでしょう。しかし、産業用地開発エリアを計画する際、自然環境への影響は全く考慮しないのでしょうか。計画前に自然保護団体などにヒヤリングするなど全く意に介していなかったのでしょう。環境対策としては、必要なら事業者が環境アセスを実施して、自然環境への影響を軽減するからいいと思っているようですが、形ばかりの形骸化された環境アセスは十分承知のうえでしょう。これが「環境未来都市」「生物多様性」を掲げる北九州市であることに市民の一人として情けないです。自然保護団体も意地を見せなければ!・・・です。

             上図:日本経済新聞2024.7.5より引用

 北九州は「渡り鳥の十字路」「渡り鳥の交差点」と呼ばれるように、これまで多くの野鳥が観察記録されています(340種以上)。下記の図に見るように、北九州市内には野鳥観察に適しているポイントが各所にあります。その中には、風力発電が稼働し、これから洋上風力発電も運転開始する響灘地区(国内におけるチュウヒ繁殖の南限地)もあります。また、北九州市内で一番多くの野鳥を観察することができ、ラムサール条約登録の条件を備えている “曽根干潟” もあります。30年以上前、ラムサール条約登録を目指す市民団体ががんばりましたが、叶わず、今も実効性ある保全策はありません。それどころか、6年前には風力発電計画が持ち上がりました。幸い、実現しませんでしたが、そのときは私たちも慌てました。いつ埋め立てられても不思議ではない曽根干潟ですが、今は、産業用地開発によって希少な野鳥の生息地・天然記念物のカブトガニ生息地に危機が迫ろうとしています。干潟は干潟だけで成り立っているのではなく、流入する河川や、干潟の野鳥たちの休息と採餌場所となる後背地(田んぼや畑)も同時に大切です。いつまた干潟のまわりで風力発電計画が持ち上がるかもしれません。産業用地開発計画を機に、あらためて北九州市内の野鳥の生息環境を見つめ直し、北九州市に対して野鳥をシンボルとする自然環境保全を訴えていかなければなりません。ブログをご覧の皆様のご支援をお願い致します。

上図:北九州市内の主な野鳥観察サイト(北九州市資料を引用・加工)Main bird watching sites in Kitakyushu City.

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またもやずさんなアセス

2024-10-27 22:35:53 | 日記

 Improper environmental assessment again!

勇払風力発電計画、ずさんな鳥類衝突予測

Hokkaido Yufutsu Wind Power Project Made improper Bird Collision Predictions.

またもや事業者のアセス軽視

Businesses disregard environmental assessments again.

国内有数の渡り鳥中継地の北海道厚真町・苫小牧市の勇払原野で大阪ガスの子会社が計画する風力発電事業に関し、環境アセス準備書に記載する風車への鳥類衝突確率の算出で、一部に別項目の調査で得た個体数を使っていたことがわかった。

        

2021~2023年に実施した定点観察の一部に別の数値を使い、衝突確率が年間「0.0000」など、極めて低くなっていた(表の黄色の部分)。日本野鳥の会は「ずさん!」とコメントした。

北海道の野鳥に詳しい専門家は、「渡り鳥調査ではない時期のデータで計算した衝突確率で、猛禽類調査のついでに取ったデータで渡り鳥のガン・カモ類の衝突確率を計算したことが問題になっている」と、コメントを寄せてくれました。

またもや、環境アセスを軽視した事例と言わざるを得ません。事業者は、いかに野鳥の衝突を少なく見せるかの姿勢が見え見えです。そもそも、野鳥の行動の実態を反映していない “予測衝突確率” は、事業者から都合のいいように使われているようです。北九州市の響灘に面した埋立地の風力発電では、アセスで示された予測衝突数以上の野鳥の死骸が発見されています。多くの野鳥たちが風車の羽根に叩き落されているのは間違いないです。事業者は積極的に死骸調査をせず、予防策も実施せず、野鳥の被害が闇に葬られているだけです。「国は実効性ある衝突防止策を早く義務付けしろ!」と言いたいです。

The government should make it mandatory for wind power producers to implement effective bird collision prevention measures!

勇払原野

元々勇払平野は支笏古火山、樽前山等の噴火による軽石を含む火山灰地である。さらに西側は樽前川、東側は勇払川、美々川などの複数の河川を含む湿原・湿地であった。現在、まだ自然が残っている東側を勇払原野と呼んでいるが、特に原野として当初から保護されていたわけではなく、石油危機によって開発計画が中止されて取り残された約3万6千haが勇払原野と呼ばれている。実際に、東部の植苗地区や沼ノ端地区は、かつては広葉樹からなる原生林が多く残っていたものの現在は宅地化が進んでいる。このほか、苫小牧東部開発地区に含まれていた弁天沼はウトナイ湖よりは規模が小さいとはいえ渡り鳥の中継地であるが、開発地区に含まれていたために鳥獣保護区などの指定はされていない。バードサンクチュアリ及びラムサール条約に登録されているウトナイ湖が存在し、多くの野鳥が観察されるほか、国内においてハスカップの最大の群生地である。  (引用:ウィキペディアより)

 

                   

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