たいほう2

いろいろな案内の場

非線形な世界 その6 -バーレーンで豪遊―

2023-05-03 16:03:19 | 日記
 ダンマームの市役所の成功に大喜びのサルタンさんと私は、車でバーレーンに向かった。バーレーンは琵琶湖とほぼ同じ面積に島嶼国である。サウジアラビアとは全長25キロメートルの橋で繋がっている。日本で一番長い橋は東京湾アクアラインのアクアブリッジで、4.4キロメートルである。これの何倍も長い橋を時速100キロメートル以上で突っ走る。まるで海の上を滑っているようだ。


バーレーンへの橋、キング・ファハド・コーズウェイ

 わずか15分ほどでイミグレーションのあるウムアンナサン島に到着した。サルタンさんは車を降りてイミグレーションへと向かった。暫くして車に戻り、そのまま私を乗せて本島へと向かった。
 私は日本人でサウジアラビアからの入国なので、本来は手続きが必要なはずである。しかし何も手続きをせず入国できた。これは不法入国なのだろうか。
 サルタンさんはバーレーンには何度か来たという。お目当ては会員制のクラブであった。


バーレーンのクラブ
 
 バーレーンでは一部のホテル・レストランで飲酒が許可されており、また酒類の販売店もあることから、中東では、飲酒について比較的寛容な国と言われている。訪れたクラブも飲酒ができる。レストランのテーブルに座ると早速ワインをオーダーした。周りに座っている客の大部分は英国人だという。
 1本、2本と杯を重ねる。最後はへべれけである。酒を飲んでいることは奥さんには内緒にしているそうだ。当たり前だ。外国人はともかくとして、イスラム教の信者がこんなに酒を飲んでいることがあからさまになったら大変なことになるはずだ。
 クラブ内の部屋を予約したから寝ようと促してきた。まだ明るいが、彼に従ってベッドに入った。するとすぐに寝てしまった。
 2-3時間寝たのか。サルタンさんが私をたたき起こす。すぐにリヤドの戻ると言う。あたりは真っ暗になっていた。

(つづく)

非線形な世界 その5 -ダンマームのマングローブ―

2023-05-01 14:40:00 | 日記
 ダンマームに着いたのはもう夕方であった。ダンマームはリヤドより埃っぽくない。多分海岸に近いためだと思う。早速海沿いに行く。目の前はペルシャ湾である。その海沿いにはマングローブが生い茂っている。しかし東南アジアにあるマングローブと比べとても立派とは言えない。

ダンマームの海岸に茂るマングローブ

 サルタンさんはマングローブを見つけると興奮しはじめた。マングローブ林の中を歩く若者たちに何をしているのか訊く。すると魚捕りをしていたとのことである。それを聞くとサルタンさんはまた興奮する。マングローブ林の中は魚介類がたくさん生きている。このマングローブを守らねば、という思いが彼を興奮させるのだろう。

 翌日訪れた先はサウジアラビア東部地区の市役所であった。

東部地区の市役所

 ビルの中に入るとサルタンさんは歩きながら私にお説教口調で、「自信たっぷりの態度で、質問に対しては分からないとは言うな」と言う。これから何が起きるのか。扉に市長室と書いてある部屋の前で立ち止まった。そして私を廊下に残し、部屋に一人で入っていく。扉の隙間から若い紳士が見えた。サルタンさんは中でその紳士と何やら話をしている様子である。しばらくして部屋から出ると私に「少し待とう」という。
 廊下で3-40分待ったか。すると中にいた紳士が現れ、私たち二人を部屋に案内した。中に入ると数名の紳士がいる。中央には市長らしき人物が座っていた。
 サルタンさんはアラビア語で、今まで見せたこともない真剣な表情で話を始めた。暫くして私に説明するよう促す。
 20分ぐらい都市の緑化構想について話をした。時々サルタンさんがアラビア語で補足説明を加えた。私の説明が終ると質問攻めにあった。「自信たっぷりの態度で、質問に対しては分からないとは言うな」というのはこの時なのだと悟った。分からないことでも、分かったふりをして答えた。
 質疑が終わると、部屋の外で待つように言われた。サルタンさんと部屋を出、また数十分廊下で待った。再び部屋に呼び戻された。今度は部屋の中には市長らしき紳士だけであった。どうやら部屋と部屋の間は廊下に出なくても行き来ができる構造になっているようである。市長らしき紳士はサルタンさんに笑顔で話をする。するとサルタンさんは両腕を広げ、その紳士と抱擁を始めた。次は握手攻めである。しばらく握手をしたまま話を続けていた。
 部屋を出るとサルタンさんは有頂天である。我々の緑化構想が認められたとのことである。早速お祝いに行こうと言う。

(つづく)