山口瑠美BLOG

歌い手山口瑠美のブログ。

終わりあるもの

2012-05-22 14:08:01 | 徒然
昔活躍していたという、ステレオの音をテレビで聞いた。

大きい箱状のインテリアで、左右に大きなスピーカー、真ん中にレコードをかける場所がある。

そこから流れて来た音楽がなんとも言えなくて、

「愛おしい」と、テレビに張り付いてしまった



音を愛おしい・・と、衝撃に似た感情だった。


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何もかもデジタルになり、コンパクトになり、便利な世の中を軽快に生きている私たちは、
正直なところ、ほとんど昭和の音の響きを知らない


写真はワンクリックでコピーでき、
音楽はワンクリックで保存。


便利だけど、とうとう気付いてしまった。


愛しく、抱きしめたくなる「音」が世の中には存在していたのだ。




レコードは劣化する。

1回1回が最後に向けて命の音を出す。

あぁ。それゆえなのか、
違うのか知りまへんが、

私はとにかくこの響きに感激した。


もしこの時代に生きていたならば、
あるアーティストの新曲発売日には、
学校を休んでレコードショップへ行き、
胸に大切に買って帰ったであろう。


音を一寸も聞き逃そうとせず、
スピーカーの前に張り付いて目を閉じ聞いたであろう。


その瞬間電話が鳴ったら、ラインをハサミでちょん切ったかもしれない。



とにかく、音への執着を思い出させる

昭和ステレオ(←この表現あってるか分らない)の音。



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若さ、新しさ、永遠の命への憧憬を否定はしないが、
私は滑稽だと思っている。


背伸びをして大人ぶっているわけではない。

現にそういう匂いのする場所を極力避け、
体力消耗を回避すべく自己防衛している自分に気付いている。



周囲にそういう友達がいない分、
何かの拍子にそういう人に出会った時の
疲労感たるや・・・。


成熟した物への憧れや、美感が一致した時の
安心感たるや・・・。





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私たち世代は「音を愛しむ」感情をほとんど知らない。


だから、パソコンに取り込んだ音源をヘビーローテしながら
心地いいぜ~。
と思っていたが、一昔前の音は全然違ったんだ。



鷹鮨のマスター(後援会長)が、よくジュークボックスの話をする。

「昔さ~、夜明けのスキャットがさ・・・」という始まりで続く。
何度も聞きたいから、ボックスを左右に振って無理やりかけていたという
やんちゃだった時代の話。


私は、「へぇ・・・」と聞いていたわけだけど、


それは「音への憧憬」を深く知る人の言葉なんだ。


うらやましいとさえ思う。




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ハード・ソフトの変化が、

音への愛しさ、憧れを劣化させてしまったのだろうか。


一言で否定できぬものの、
昭和ステレオの音を聞いた瞬間に、
あぁ、こりゃかなわない・・・。
という落胆をおぼえたのです。





あの、「終わりあるもの」への憧れを胸にしまいつつ、
デジタルの「終わりなきもの」の良さを探す。


見つけて下さいませ。皆さんどうぞ。



新曲「名残り月」のCDの音の先に。。












新曲情報


10/19(水)テイチクより「名もなき花」c/w「 私のままで」が発売
各レコードショップ店頭/ テイチクオンラインショップ/ 各通販サイト

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