山口一男著
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3-%E5%B1%B1%E5%8F%A3-%E4%B8%80%E7%94%B7/dp/4492222871/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1477909510&sr=1-3&keywords=%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3
を読んでる。カスタマーレビューが高評価。
まだ半分だけど、、、物語。堅いことは書いてなくて、考えさせる系
うーん。
チーズはどこへ消えた、みたいな。
基礎学力がある人は、示唆に富むという系
わたしには、、解説がないと全然わからない苦笑。。。。文学として面白いとは思うけど、何が面白いのと言われるとなんともいえない。
で、P88以降の、解説のページから、いくつかメモ:
「予言の自己成就」
→ある予測をすることが、その結果を生む可能性を高めてしまうこと
望ましくない出来事が起こりそうだと予測してそのコストを小さくしようとする行為が、かえってその望ましくない出来事が起こるリスクを高めてしまうというパラドクス
社会学者で、医者でもあるニコラス・A・クリキタスは
「医者は、自身が治りそうと思う患者にはより熱心に治療するので、病気に対する医師の見通しが、治癒率に影響するという事実」を
下記の本で書いているらしい
https://www.amazon.co.jp/%E6%AD%BB%E3%81%AE%E4%BA%88%E5%91%8A%E2%80%95%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%82%B1%E3%82%A2%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E4%BA%88%E8%A8%80%E3%81%A8%E4%BA%88%E5%BE%8C-%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%BB-%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%AD%E3%82%B9/dp/4623046567
死の予告―医療ケアにおける予言と予後 単行本 – 2006/7
内容(「BOOK」データベースより)
重い病気の見通し(予後)をどう診断し、その患者にそれをどのように伝えるかによって医療ケアはよくも悪くもなる。それによ り患者の命の最後を悲劇とさせる恐ろしい結果さえもたらせる。この臨床能力は日本の医師には非常に欠けている。本書はN.A.クリスタキス博士がアメリカ のシカゴ大学医学・社会科学部門の協力で多数の医師への調査から、その実態を解析した報告である。
「アイデンティティ」
「自分とがどういう人間か」という問いに対して、自分自身で見つける答えのこと
他者の関わりにより社会の中で自覚されることが特徴
岩井克人氏の『会社はこれからどうなるのか』などでの深い洞察
企業が、優れた製品・サービスを適正な価格で消費者に提供し、それに基づく高い評価を受けて利益をあげることを目標とすることと、ただ利益があげられればいいという目標を立てることとは、大きく異なるもの
アイデンティティは、社会学の研究領域だったが、だんだんと経済学者にも研究されだしている
人々の選択にもたらす影響の理由として
他人が自分に押しつけてくる「自己イメージ」が既存の自己意識と合わないとき、それは対立的アイデンティティとなる。
そういった自己像と合わない自己イメージにならされると、否定的アイデンティティを持ちやすい。
近年行われたベネッセ教育研究所の子どもの国際比較調査によると、
日本の子供は、他国の子供に比べ、否定的アイデンティティを持ちやすく
差別的言動や、それを注意されると逆ギレ・開き直る傾向が強い
どうすれば、子どもたちが肯定的アイデンティティをもてる社会が作れるのか?
そこには「ダイバーシティ」も絡む
「ダイバーシティ」
大事なのは、多様な人々に社会的機会を平等に開いて、より多くの人々が自らを生かす可能性を広げられるような社会制度を構築すること
ノーベル賞経済学者のアマルティア・セン曰く
多様な人々の達成能力(capability)の開発を進めるために経済発展が必要なんであって、
経済発展のために人材活用があるわけではない
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所感:
→→→ということは、、、
ダイバーシティとは「業績形成のため」ではなく、
この会社に入った人が「生き生きと働く場を作るため」に知恵をこらすこと。
「短時間」で帰れる制度作ったとしても、「だから文句言うな」って上から目線で攻めるんじゃなくて、
だから、あなたの思う気持ちのいい仕事をしてください、って励ます・一緒に盛り上がる感じで行くことが大切。
「わたしはいい仕事をする」って思いを持って、実際にいい仕事をする人がいい仕事をし続けられるような組織ってどういうものなんだろうか。。。
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「規範と自由」
私たちのくらす現代社会は、
規範的高速が弱まり、何が正しくて何が正しくないのかという基準が曖昧
それは、より自由な社会にすむことではありますが、一方で自分の行動基準に確信が持てない人が増え、
他方で社会性のない(具体的には、罰せられなければルールを守らない、他社の無知につけ込む)私利の追求が規範に取って代わられようとしている
個々人が利益追求する権利を、基本的に否定しない自由な現代社会で、
どのように信頼関係を築くのかという問題は、未解決な重要な問題
「統計の選択バイアス」
選択バイアスを取り除く統計的技法に、統計的因果推論がある
これらの技法を用いて、物事の因果関係を明らかにしていくべし
「事後確率」
何かが起こったという情報を加味すると物事の起こる確率が変わる
トーマス・ベイズによる論「ベイズの理論」参照
→複雑化する現代社会でのリスク管理などに大切な考え方
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著者の母親の友人の子育てにおける話:
「人様に役立つことをするという志を持ち、その志ある人たちとともに働き、
人に生かされて、人を生かす」べし
そのような志をもつ上司や仲間の期待に応えるのが徳で、答えられないのが恥
それは、個人の自由は競争に基づく私利の追求が自然に効率的分業を生むのでよい、としたアダム・スミスの「神の見えざる手」とも
プロテスタントの勤勉と謹直の宗教道徳が資本主義の精神の土台を作った、とするマックス・ウェーバーの理論とも異なるもの
電車で騒ぐ子ども、
日本の母親は「家に帰って騒いだらいい、ここではお願いだから静かにして」という
ほかの母親は「そんな騒ぐ子、お母さんは嫌いよ」という
これでは、ことの善悪の判断基準が「人目を気にする」「親の感情を気にする」になってしまう。
空気を読む、という風潮。
アメリカの母親だと
「騒いで、人の耳を煩わせることはよくない」「電車の中は騒ぐ場所ではない」
ということを理屈で教えようとする。それでもわからないなら、おしりをたたくなどの罰を与える
善悪の判断と責任の意識
地位の違う者同士での、信頼や親しみは生まれるのか
現在アメリカ:職場の地位は違っても、個人間の関係は基本的に対等である
60年前くらいの南部アメリカ:人種間の社会的地位の上下関係を受け入れてた状況では
黒人は、白人に対して「礼節にかなう適当な距離」をおいて接する、という態度が普通
それでいて、相互に信頼と親しみがあった
望ましい規範とは、自由よダイバーシティの尊重と矛盾しない
・ダイバーシティは、みなで協力して何かを作ろうとするとき、より豊かな創造をうみ、より多くの人々に平等な社会的機会を与える
合意形成の質の問題
「空気を読んで」周囲に合わせるだけの人間関係は、自由を狭め、多様性を否定し、合理的判断を下せる土壌を破壊するので望ましくない
・豊かな社会の再生産に貢献できること。自由=勝手気まま、でいいわけではない
日本では、対立関係に立つことを避けるため
「いやだ」という選好の問題、好き嫌いでの判断について、相手も納得するだろう適当な理由をつける傾向がある
ところが、中には反対されたことの理由を真に受けて
かつ問題解決の方法を示す
そうすると、もっともらしい口実つけていやだといおうとした人は、暗にいやだと伝えているのに、人の気持ちがわからない人だと不信感を持つ
解決策を提示した方にとっては、解決策を示しても結局賛成しないから、理屈のわからないやつだと、これまた不信感
異文化の対話のように「反対する」というシグナルについて、
送り手と受け手で受け止め方が違うと、相互の不信感が生まれやすい
消費主義の正の面:
山崎正和『柔らかい個人主義の誕生-消費社会の美学』(中公文庫、1987年)
日本では、西洋的な「堅い個人主義」は発達していないが、消費の多様化や、消費対象に対する好みの基準を共有するグループを通じ
自分と嗜好の似ている人たちで小集団を作り、自分たちの評価と美意識を重んじる風潮
渡辺洋子『負けるな子どもたち!』(径書房、1989年)
日本の子どもたちは労働はおろか、家事の分担さえそれほど必要ない。
自分が親から認められるのは、何かを買ってもらうときぐらいに思ってないか。
子どもが「あれほしい」と言うのは「私がここにいる!私を見て!私を認めて!」といっているのではないかと考えるのは、考えすぎだろうか
子どもや若者の間での、物質主義と自尊心の負の関係
自尊心が低い者は物質主義になる
物質主義とは、モノを所有したり、消費したりすることに大きな価値を置く価値観のこと
Chaplin, L. N. and D. R. John[2007]
”Growing up in a Material World: Age Differences in Matelialism in Children and Adolescents,"
子どもの自尊心を高めるには、成長するにつれてできるようになる様々なことや精神的美徳、正直、親切、勤勉、有機などの資質を示す行動を褒めること
日本青少年研究所の調査結果
若者が選んだ最も大切な人生の目標
アメリカで最も高かったのは「高い社会的地位や名誉を得ること」で41%。日本では2%弱
日本で最も高かったのは「人生を楽しんで生きること」で62%、アメリカでは4%
日本ではまじめに努力すること、社会的に成功することへの価値が失われた
ゼロサムゲーム、の世の中だと考えると、誰かがまじめに勉強することは、その人が富を得、自分に損害を与える人
少し前の黒人のゲットーで、努力する子は「白人化」していると差別されいじめられた。
社会に不満を持ち、将来への希望もない若者は、
貧困の中でどうやってサバイバルし毎日を楽しく暮らすかが重要
希望を持ち、夢に向かって努力する人間は、自分たちを見捨てていく利己的な人間だと見なされた
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