御鏡壱眞右往左往

繰言独言、謂いたい放題・・・

麦秋に思う

2006-05-21 23:55:23 | 環境・農業
週末は天候も回復し、本日は好天に恵まれた。

我が家は田舎である。
家の前にはあまり大きくはないが田んぼが広がり
今は麦が色づき始めている。

今回の雨は少し心配だったが、
あまり大きな影響はなさそうなので少しほっとしている。
自分が耕作しているわけではないが
やはり収穫を目前にしながら
問題を抱え込むのは見ていて痛ましい。


日本の食糧自給率が危機的状況にあることは
私などがとやかく言うまでも無い。
これは偏に食生活、食習慣の変化によるものだということも
論を待たないと思う。

食生活が変化してきたことは、
これは善悪で判断することではないだろう。
美味いものを食いたいというのは人間にとって根源的な欲求であろうから。
生命活動を維持するのに十分なカロリーが恒常的に満たされれた後に
美味という快楽を希求することにエネルギーが振り向けられたことで
文明も文化も発展してきたのだから。

現代日本における食習慣が大きく変化しているのは
他国の食事・食生活という文化に関する情報が流通し
物流のネットワークが世界に広がって維持されていることの証左であり
殊更に眉を顰めることばかりではないだろうと思う。

ただ、忘れてはならないのは
食文化というものには、それを育んだ背景があるということだ。

近代にいたるまでの日本の主食はやはりコメであり
コメ食を前提として和食は成立している。
何をあたりまえと言われるかもしれない。
だが、コメを声高に否定する方もある。
「食育」や「地産池消」は農業者が「高価な国産の農産物」を
都市生活者に「不当に」高く販売するための「洗脳」である、と。
だから、

健康のために朝食を食べるというなら、果物か野菜のジュース、パンにバター、それに牛乳があればそれで充分だ。一切手間がかからない。でも、それではコメ農家は困る。だからなんとしてでもコメを食べさせようと、「お母さんの愛情」という概念を持ちだして、チマチマしたごはんのオカズ作りに不必要に手間暇をかけさせようとする。「栄養」は二の次というわけ。


農水族の跋扈が、都市住民の家庭生活までにも影響を及ぼしている。ゆゆしき話だ。日本の奥様連中は、農水省の御用団体に成り下がった消費者団体に煽られて、いまや農水族の意のままに操られているかの様に見える。家庭の食生活自体がゆがめられてしまった。旦那さんたちも部外者ではない。「伝統的食生活」とやらのバカダカイ勘定を払うのは、結局は稼いでいる亭主達なのだから。

…などと電波を飛ばしてくれる方があったりするのだ。


誤解と偏見は人間社会には付物だ(まあ程度の問題というのはあるが)。
農業に関わるものは、このような偏見があることは
知っておかなければならないのかもしれない。
また、不当な批判、謗りであっても、そのうちに何%かの正論もあるかもしれない
少なくとも、全否定するということには覚悟が要る。

話が大幅にそれた。
雨後の麦畑を見るにつけ、少なくとも西日本では小麦を作ることが容易でない
そのことを改めて感じたことからこのような駄文を書いてみた。

コメを食おうが小麦を食おうがそんなことは大きな問題ではない。
ただ、食料品の自給率において、コメと小麦の差はどこに由来するのか
雨の多い日本の気候風土に適しているのは
小麦よりもコメであることは考えるべきだろう。

「日本は外国から安い農産物を買えばいい」
「日本の農業者はもっと生産性を高めて安い農産物を供給するように努力をするべき」
「それができないなら消えてゆくのも止むを得ない」
・・・・・・
ご立派なことだが、せめて世界から軍隊が無くなってから言ってくれ


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3 コメント

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はじめまして (空楽)
2006-05-22 22:42:38
 トラックバックついてましたのでお返ししました。



>雨の多い日本の気候風土に適しているのは小麦よりもコメであることは考えるべきだろう。



 まぁ、「金さえ出せば何とかなる」と思っている方々には関係ない話かも知れませんね。

 自分がつくる場合を想定して物事を考える習慣が無い方々ですから。(^^ゞ



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米でも麦でも (エヌ氏)
2006-05-23 17:07:42
 赤字になっている、「『お母さんの愛情』という概念・・・」の部分だが・・・



 我が家ではカミさんが、自家製の食パンを焼いており、パンのおかずにサラダや目玉焼きなどを作って、朝食にしている。むろん、朝食が和食のときは、味噌汁その他のおかずが並ぶ。

 米食だからおかずが要るとか、パンなら要らないとかいった話ではなく、「チマチマしたおかず作り」が「不必要な手間」と断じている点が、すでに間違っている。

 赤字部分を書いた人は、カロリーさえ摂取すればよいという食生活を続けてきたのだろうか。それでは家畜同然だ。
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Unknown (Unknown)
2006-05-24 00:04:02
件の文章をものした方は某大手商社をリタイアされたもと企業戦士であり

その基本スタンスは



食にこだわることはナンセンス、

食事なぞに時間をかけるよりもその時間を労働力として活用するべきだ



というものだ。



それでいて、

「農産物は外国産の方が品質がいい」

と食材にこだわりを見せたりする。



また、「日本の伝統食は準備に手間暇がかかる」と言いつつ

片方では「日本伝統食である粗食は健康を害する」とのたまう御仁である。



ちなみにお勧めの食事は「中華」であり「フレンチ」であるらしい



あ、こういうのもあったな。

「マクドは、栄養的にバランスがとれていて、手軽で、その上美味しいのです」





とにかく、日本の、それも農村とか地方のものは

すべて「ウヨク」であり「ナショナリスト」であり「悪」であるらしい



正直、いろいろ突っ込みたかったのだが、読むほどに脱力してしまった。





貴君の「食育」に関する項、改めて心強く拝見した。



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