御鏡壱眞右往左往

繰言独言、謂いたい放題・・・

やっと観た。

2006-11-06 21:59:38 | 映画
ゴジラファイナルウォーズ。

さて困った。この作品に関しては、私の中で評価が定まらない。
全く面白くなかったわけではないから困ってしまう。
ただ、明らかに言えることはひとつ・・・北村龍平というひとは、私には合わない。
北村監督の作品はまだこの1本しか見ていないが、
他の作品を見てみようという気になれない。
アクションを得意とすると聞いていたので期待していたところもあったのだが・・・。

まずアクションシーンにオリジナリティーがない。
ならでは、の演出が無く、どこかで見たような画の焼き直しに終始している。
さらに、アクションの流れの組み立て方が雑だ。
はじめに撮りたい画を決めて、そこに至る流れを組み立てるという手法は否定しないが、
なんと言うか雑な割には思い切りが悪い。
演出が無いのだ。
アクションも見た目重視で「らしさ」がない。
特に導入部で繰り広げられた松岡とケインの対決で言えば、
訓練として行っているのに目的が曖昧だ。
訓練というものは明確なテーマを設け目的意識を持ってやらなければ意味がない。
あの場で行われていたのは空手やK1の試合ではない。
マーシャルアーツの筈なのだが、
せっかく取った蹴り脚を手放して投げるなどの意味がない行動が目に付く。
その挙句に空中腕拉ぎとは・・・相手を寝かせていない状態でどこが極まるものか。

SFなどではないことはわかっているし、期待もしていなかったが、
それでもミュータントだのM塩基だのという言葉には反応してしまう。
いまどきミュータントなどという言葉を引っ張り出してくるセンスの古さと無神経さ。
しかもM塩基などという与太を羞かしげも無く晒して憚らない厚顔ぶり・・・。
そもそも存在しないものがどこからやって来たものやら。
突然変異にしても無からは生じない。せめて塩基配列とでもすればよかったものを。

M機関についても何をか況やなのだが、
一番気になるのは制服・・・どうみてもナチスだ。
あれが格好好いかどうかについては個人の好みかもしれないが、
私には無駄に暑苦しいだけに思える。
また、松岡ら隊員の制服とミスマッチだ。
あの制服が上っ面だけの薄っぺらいものに見えるのは、
70年代の作品世界をイメージしたものかもしれないが、
それならなぜナチスを持ってきたのか、尚更理解できない。

オーストラリアのシーンでだったか、
怪獣の人形で遊んでいた子供が、
カメのぬいぐるみを怪獣人形でぶっ飛ばして
暖炉に放り込む場面があった。
あれは評価の高い余所様の作品への挑発だろうか?
だったら、下品だ。
あの作品とは方向性が違うというのを主張したいのなら、
変な挑発は逆効果だと思うのだが。

よかった点は・・・ドン・フライは悪くなかった
・・・というより、主役はフライじゃないのか、この映画。
舟木もいい役どころを貰っている。
演技は見るべくも無いが、
見せ場を作ってもらっているのは、これは監督の趣味に基づく引き立てだろう。
それが悪いとはいわない。
本来主役の松岡昌宏と菊川玲については、頑張っていることは認めていいだろう。

宝田明、佐原健二、水野久美のお三方は、これはもう、見られただけで十分。
伊武雅刀氏は早々と出番がなくなってしまい、濃さを発揮できなかったのは
監督が使い切れなかったのかと邪推してしまう。
北村一輝のキレッぷりは確かに見所もあったが、
伊武さんとの緊張感のある対比も見てみたかった。
ケインは英語でしゃべって吹き替えたほうが良かったのではないだろうか。

メカニックについて言えば、特撮の出来栄えは別として、
デザイン等は決して悪くなかったと思う。ただひとつ、艦載機を除いて。

最大の不満はやはり怪獣映画なのに怪獣絡みの物語が希薄なことだろう。
正直もったいない使い方だと思う。
「怪獣映画」なのだから、それぞれのキャラクターを生かした見せ場がほしかった。
カマキラスとかクモンガはそれなりに頑張ってくれたが、
ヘドラやキングシーサーは、あまりにも影が薄かった。
ガイガンは思わせぶりたっぷりなくせに、見事に見掛け倒しだったし。

やはり「ゴジラ映画の総決算」を謳って上梓するような映画ではなかったように思う。
まあ、40点、というところか

最新の画像もっと見る