夏を彩る山形の畑。目の当たりに見る一面の紅は実に見事だ。油を採るために栽培が盛んなこの紅花は、西南アジア原産という。日本には6~7世紀の初めに来たようだ。
一般には6月に咲く、アザミに似た鮮黄色。先月の後半には埼玉県のある町でその姿を見たが、この山形では7月に開花を迎えるので、梅雨を避けることができるのかもしれない。
花は時間がたつと赤くなる。花から紅を採ることから「紅を採る花」つまり紅花と名付けられたらしい。
この花から、布を染めたり、口紅を作ったりする。
行すゑは誰肌ふれむ紅の花 芭蕉
(いくすえはたがはだふれんべにのはな)
*あの紅花は、これから染め色に変わり、紅となって、誰の
肌にふれるのだろうか
源氏物語で知られる「末摘花」というこの花の別名は、茎の末(外側)から順番に咲くことから名が付いた。
花を包む総苞や葉にトゲがあるので、朝露を含んでトゲが柔らかくなっている早朝に指を傷つけないように花を摘んでいるらしい。
近年はコレステロールを抑えるリノール酸が多く含まれていることがわかり、食用油として見直されてきた。わが家では昔に一度だけ使ったことがあるくらいだけれど 。
いよいよ7月も半ばへ。
そして紅花も8月へと咲き続けるのだろうか。9月になればその花はどんな姿になっていくのだろう。
目には見えないけれど、風の音に秋を感じる季節。その頃になれび東北は食べ物もお米もおいしい。それにたくさんの名湯もある。
これを書いていて、日本酒でキューっと一杯やりたくなってきた。
つまみは何でもいい。
でも、一つだけ注文。
紅花を使った料理なんてのは、贅沢三昧だろうか。
「季節の花(23)紅花は黄から赤へ」