家の前を車が通り抜ける。家の車が道路との間にあるから、部屋からはその姿は見えない。見えないけれど今日のような静かな日は、普通の日よりもその音が大きくひびく。
朝早く、誰も近所にはいないので、目で見るよりも耳でみるほうがよけいにみえてくる。静かな時の耳のたしかさがうれしい。
学校に行く子どもたちも、通勤に行く大人たちも今の時間はあえない。年がら年中休みの人もこうしているけれど、年がら年中お仕事の近所のワンちゃんは何かが通るたび「ワン」と仕事を怠らない。静かさの中では特別頑張っているように思える。
庭にはちっぽけなアジサイが咲いている。去年思いっきりバッサリしたものだから、背丈は小さくて貧弱。でも可愛さは昨年と変わりはないとしみじみ見ている。
ちっぽけなアジサイもなかなかいいものだなとやせ我慢をしているのが自分でもおかしい。おかしいけれど、やっぱり紫陽花はいい。
「つれづれ(203)静かな日、紫陽花が今年も咲いている」