日曜日だったこともあり、市場への駐車場は満員で、その入口には利用する車の長蛇の列が見えた。有料駐車場待ちの車が海から見えなくなるくらい並んでいる。
私たちの車はそれらを横目で見ながら車列を突っ切り、いつもの隠れ無料駐車場へと向かった。魚釣りをしている車はけっこう多かったが、それでも10台分くらいはあいていただろうか。うんうん、と同時に私の車は空いているスペースに向かう。
土日に那珂湊へ来たのは何年ぶりか。今年は数えて4回目になるが、浮かんでこない。以前は水曜日に来て、その3日後の土曜日にも訪ねたことを思い出したが、車も人も今日はドピークそのもの。
時計の針はまもなく11時をさすところだったので、今回は予約していたいつものお店での昼食に向かう。なにせ10人という仲間たちとのランチ。市場でのたくさんの買い物客を横目に、その店を目指す。
2階の受付で案内されたのは3階のテーブルの席であった。窓から眺める漁港の活気のある風景。那珂湊おさかな市場に来るたびに、この店で昼食を取り、窓からこの漁港を眺め、気に入りの海鮮丼を食す。
10人の仲間同士で食べるランチは言葉ではいいあらわせないほどにうまい。ネタも味も景色もいいが、会話をおかずにして食べる昼食は旅の楽しさをいっそう私に教えてくれる。
何年か前、隣人のご夫婦とこの店で偶然ばったり出くわしたことがあったことを思い出した。
港で地元の子がアジをたくさん釣っていたのを見せてもらったことを思い出した。
あと何年かしたら、こうして今回10人で訪ねたことを、やはりこの漁港に来た時に思い出すのだろうななどと頭にかすめながら、ハンドルはひたち海浜公園に向かって海岸線を走る。
「心に残る旅(21)那珂湊のおさかな市場で」