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MilanoからLondon、東京に移り住みましたが、変わらず日常生活を書き記そうかと。。
ミラノ通信 - 我が為すことは、我のみぞ知る



クライアント先にあった本をパラパラっとめくってみて、ピンと来て読むことに。

石川県羽咋市と言う街の公務員の方の話。話と言うか、奮闘記。まぁ次から次へとよく考える方。最後にネタバレと言うか、自ら語っていましたが、日蓮宗のお坊さんを兼務しているのだとか。公務員は兼業禁止だけど、宗教だけは良いとのこと。この著者である、高野氏は、大学時代のマスコミでの仕事経験から、地元羽咋市に臨時職員として雇用されて薄給の中でもアイデアを出し続ける。そしてアイデアを出すだけではなく、アクションを起こしていく。その時にかなり上手いことマスコミを含めて「外堀」を埋めていく作業をしていく。


この本の中に書かれていたが、年間で87万円しか収益がなかった限界集落の農家の方をかなり上手いこと取り込んでいって、人口構成を変えていき、人口の65歳以上が50%を超えていたところが、自らのアイデアで居着く方法を考えて定着化させた上で、過疎地域の高齢化比率を下げていく・・・。よくある「お願いするな」と言うことのケーススタディになっていた。


但し、これはコンテンツバリューの見立てを間違えると閑古鳥が鳴くことになる。


そこら辺りがかなり試行錯誤した結果だけが書かれていたが、苦労が垣間見られる。Deloitte時代においらは地方自治体のコンサルを数年したが、少なくともこう言う公務員の方に会ったことはない。残業代をせしめるために昼間は何処かに行ったまま。。戻ってきても同じような内容での会議・・・。挙句にこちらにコンサル料を払ってBest practiceを出すように言っている筈なのに、我々が提示したプランのインプリをしたら、県の行政は良くなるかも知れないが(自分たち宛の)苦情も増えるかも知れないから再考しません?とか平気で言う公務員ばかり・・・。この著者を農林課に「左遷」させた上司よりも酷い人いっぱい見てきたので、この方の苦労はさもありなんとすぐに分かった。


何にせよ、限界集落だった場所で農家を営んでいる方々に若者を融合化させ、人工衛星やらメディアやらを駆使してブランド米を作り上げていく。


ある意味、一癖も二癖もありそうな人なのかなwと思ったが、それはデパートのバイヤーとのやり取りとかの下りからね。いや、良いと思う。この人が訴求すべきは、地元農家の農民の作った生産物なのだから。一円でも高く売るためにどうするべきなのかを考えた結果でしょうからね。慣れ合いとかをしないとか素晴らしい。それと、ちょっとずつ周りから爆弾仕掛けて、いきなり大爆発ではなく、少しずつ誘爆させていく辺り素晴らしいマーケティング戦略だと思う。デパートで「◯◯と言う商品はあるか?」と聞いていくと本当にそうなるのか?若干商材毎に異なるような気がしないではないけど、現実この神子原米に関してはそうだったのだから素晴らしい。
ローマ法王に米を食べてもらう」という突拍子もないアイデアは、いきなり結実したわけではないのだろうけど、それでも外部の力を借りながら、ブランド化していくストーリーマーケティングはとても良いケースだね。権威を借りて行くのは日本では特にありなストラテジーだ。実際、日本のメディアがフォローしてきたのは後からの話なのだから。


クリティカルシンキングの講義をする時に、前提条件や現状把握の重要性や、今置かれているところから何処に向かって進みたいか、と言う話をする一方で、情報収集の意味やその方法論を説いてきた。そう言ったことを実際にビジネスの中で行っていくためには、やっぱり情報収集・分析・考察の繰り返しをしていくことしかない訳だ。

いやぁ、面白かった。
面白いだけではなく、役に立つ本だった。
一読の価値あり。

ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか? (講談社+α新書)
クリエーター情報なし
講談社


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