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憲法はコツコツやらないと!

二重の基準論

2006年03月13日 | 人権総論
【問題提起】
 二重の基準論とはどのようなものか。

【通説】二重の基準論とは、人権を精神的自由と経済的自由とに分け、精神的自由は経済的自由よりも優越的地位を占め、違憲審査にあたっては、経済的自由の規制が立法府の裁量を尊重して緩やかな基準で審査されるのに対し、精神的自由の規制はより厳格な基準によって審査されなければならないとする理論をいう。
 その根拠としては、①精神的自由が不当に制約されると民主政の過程そのものが傷つけられるので、裁判所が積極的に介入して民主政の過程を回復させるために厳格な審査が必要であるのに対し、経済的自由については民主政の過程が正常に機能している限り、それにより不当な規制を是正することが可能であり、緩やかな審査基準で足りる(民主的政治過程論)こと、②経済的自由の規制は社会・経済政策の問題と関係することが多く、その合憲性を判定するには政策的な判断を必要とするが、裁判所はそのような能力に乏しいこと(経済規制の領域でおの司法の能力の限界)が挙げられる。

【問題点】
①生存権、労働基本権のように、精神的自由でも経済的自由でもない人権にどちらの基準を適用するか。
②同じ種類の人権でも、具体的な状況の違いや権利の担い手によって異なった基準が適用されないか。

【備考】
高橋等p245