イエスからマグダラのマリアへの手紙・私は本当にかつてマグダラのマリアだったのか?

12) 寂しい一人の男の変化

 

 それでは始めよう。ありがとうの言葉をまずはお伝えしたい。

ありがとう・・そして今朝もよろしくお願い致します。

 

 

 それでは今日のトピックスである主題は何か、から始めましょう。

まず、私が過去の様々な天の教えの中から思い出すのは、やはり愛することの

もたらす大きな喜びであります。

愛することで大きな苦しみを得ることも稀にはあるのも確かでしょうが、今朝は、愛することに依って生じる喜びについて語りましょう。

 

その当時の私達の生活の中から忘れられないエピソードからお伝えしましょう。

 

 

あれは、確か、私達が一緒に生活を始めて間もなくのことでした。

子供達もまだチラホラ私達の所に集まって来たばかりの頃でした。

私はとにかく、生きること、生かしめることとは何か、について考え始めた頃でした。

 

私とあなたは、いつも一緒にいることで、とても幸せ、且つ、心が安定してきたのをしっかり感じ始めた頃でした。あなたがいつものように食物を探しに行って留守にしていた時のことでした。

 

誰かが私達の家を訪れた時のことでした。

帽子、大きな丸い帽子をかぶった男の人が手に何か抱えてドアの前に立っていました。彼はうら若い青年で、何かを探しているように少し上体をかがめるようにして私に尋ねました。

「お宅にお若い女性はおられますか?」と。

私はあなたの事だろうと思い、「あっ、いますよ。若い、まだ若い私の妻がいます」と私が言うと、彼の顔色がサッと変わり、その時にこういう言葉が出てきました。

「あっ、彼女はあなたの奥さんなのですか。それは知りませんでした。すみません。では、ありがとうございました。これで失礼します」と口にして彼は立ち去ろうとしましたが、私はすぐに呼び止める言葉を口にしました。

「待ってください。何か彼女にお伝えすることがありましたら、お聞きしますよ」と。すると、彼は、振り向きながら、なお少し状態をかがめるようにして言いました。

「イエ・・・いいのです。彼女が、あなたの奥様とは知りませんでしたので、大変失礼いたしました」とお答えになり、すっと小走りするように立ち去って行かれました。

 

私が察したのは、彼は当時のあなた、マリアを探していたのだろうとすぐ気づきました。しかもあなたに会いたくて、探して私達の家のドアまで来たのだろうと思いましたが、あなたが私の奥さんであるのを告げられ、がっかりし、そして足早に立ち去ったということなのだろうと察しました。

 

でも、後から知ったのですが、それは私の早とちりであり、彼は私のことを探していたのでした。私がこの家におり、そして奥さんもおり、子供もいるのだというのを確かめに来たようでした。若い女の人を探しているように見せかけ、私がここに居てしっかり生活をしているのを確かめに来たのでした。

 

私は、知りませんでしたが、私の話・・・私のやっていることにとても興味を持ったらしく、私についてもっと知り、私のようになるにはどうしたら良いのかを尋ねたかったようでしたが、ドアを開けた者が私本人だったので、とっさにあの質問をしてしまったということでした。

 

私はなんでうちに来たのだろうと首をかしげながらも、その事についてはすぐに忘れてしまいました。毎日の生活は楽しくも忙しく、子供達に十分な食物を持って来ることに心を注いでいましたから。

 

そして、月日が過ぎ、あれから数か月も経った頃のことでした。

その男の人がまた訪ねて来たのです。今度は、ドアの前でこう話しました。

 

「少しお尋ねしたいことがありお邪魔しました。質問してもよろしいでしょうか」という意味の言葉を口にして、私にいろいろ尋ね始めました。

 

まず、私が察したのは彼がとても困っているということで、それは一言でいうと、とても寂しく一人で生活しているということと、私のようになりたいということで、そのためにはどうしたら良いかというのを知りたくて、うちのドアの前に立っていたのでした。

私は、多少驚いて言いました。

「私のようになりたいって・・・どのようなことですか?」と尋ねると、彼は次のように答えました。

 

一人でなく、皆と毎日一緒で寂しくない生活を私もしたいのです。私はいつも一人です。誰かと一緒にいたくても、私と一緒にいてくれる人がなかなか見つかりません。どうしたら寂しくなく、いつも誰かと生活できるようになれますか」

との質問に、私は戸惑いながら答えたのを憶えています。

 

「どうしたら良いかは、私はよくわかりません。考えたこともあまりなく、自然にこうなったのです」と言うと、彼は驚いたように目を見開いて、

「自然に人が集まってくるものですか? 女の人も、そして子供たちも?」と、またもや驚いたように言い、首をうなだれたように下を向いて口にしました。


「そうですか、あなたのように優しいから人が近づいてくるのでしょうか。よく町でも人が近付いて、あなたとお話をされていますよね。あなたの周りには人が集まったり、近づいてお話をしたりするものなのですね。
僕にはどうして誰も来ないのだろう。どうしたら、人が私の周りに来てくれるでしょうか」
という彼の質問に私は言いました。

「とにかく、どうぞ家の中に入ってください。少しお話ししましょう」と彼を招き入れ、それからしばらく、彼の毎日の生活の様子などを尋ねながら、いろいろなことを話しました。

 

そこで分かったことは、彼は自分の気持ちをうまく表現できないということでした。正直に話すのを逆に避けるようなところがあり、別のことを言うことで話をそらしてしまうような傾向があるので、一緒に話を続けるのが難しかったり、面白くなかったり、興味を失ったりしがちで、彼の元から去っていくのだろうと思われました。

 

そこで私は、彼に言いました。

「とにかく相手のことをよく知ることでしょう。そしてその人がどんな人なのか、どんな良いところを持っている人なのか、それを探すことです。そして、その人が好きになれるように、その人の良いところを見つけるのです。

そして、実際にその人の話に興味を持ったり、好きになったり、面白いと感じたり、もっと知りたいとか、お友達になりたいとかを感じ、それを表現することがお友達となるのには、必要かもしれませんネ。友達になりたいという気持ちを伝えることでしょう」

と、私はいろいろな例を引きながら説明すると、子供達も数人傍に来て、耳を傾けていました。

そうした頃、あなたも外から戻って来て、話に加わりました。

「そうです・・・その通りです。そして、あなたからまた会いましょう、とか、一緒に何かをしようとか、どこかに行きましょう、とかお誘いするのも親しくなれるかもしれないですよね」と、話に乗ってくれました。


そして、あなたが忙しいのを感じたのでしょうか。彼は、おいとましようと帰っていきました。

 

それから何回か私達の所に来られましたが、その都度彼は少しずつ明るくなっていくようでした。

私達が子供達とよく笑ったり、出来事についておしゃべりしたり、手を握り合ったりするのを見て驚いたような眼をしていましたが、きっと何かを悟ったのでしょう。彼自身も少しずつ変わり、感情を表すのを恐れなくなったようで、よく話し、子供たちと、当時は数人でしたが、彼らとも仲良くなっていきました。

 

それから半年や、それ以上経ったある日、彼が私達に向かって言ったのでした。

「ありがとう。私は、よくわかってきました。友達を作ったり、人と話をしたりするにはどうすれば良いかが、皆さんのお蔭で分かるようになってきました。これからはきっと友達もつくれそうですし、楽しく生活できそうです。ありがとうございました」と、頭を下げながら、彼はそんな内容の言葉にもう一つ、忘れられないことを加えました。

「そうですね。明るく心を持つことが大切なのが分かりました。そして、相手の良いところを探すことでしょうか。そして、少しずつ好きになっていけるようにすると自分もだんだん楽しくなっていくのですね。やっと分かりかけてきました。ありがとう」と、私達、そこに居た数人に向かって、笑顔で言葉をしっかり伝えたのでした。

 

私はとても嬉しく思いました。

彼が私の伝えたかったことをしっかり理解して、身につけ始めたのが明らかになったからです。

 

そうなのです。

彼は、心をまるでしっかり鍵のかかったドアのように開けなかったのでした。

心を開き、愛をもってその人に心を開くことで喜びが与えられるのを伝えたかったのですが、それをしっかり彼は身をもって体験し、学んだようでした。

 

彼に私が知ってほしかったこと、身につけて欲しいと願ったことを、彼はしっかり分かり、努力し、身につけ始めたのでした。

こうして、その後、彼は少しずつ、明るい性格となり、友達や知り合いを作り、毎日の生活も明るい方向へと進んでいったのでした。

 

心を開くこと・・・相手の良いところを見つけること・・・愛情や親しみを感じ、そして、自分からも明るく親しみを持ってもらえるよう努める大切さを自分で学んだようでした。

 

今これを振り返り、人の心を開くには自分の心をまず開く。そして、人から親しみを得るには、まず、こちらから親しみの心を表す。そして愛が欲しければ自分から愛を持ち、表現する必要があるのを自分で悟った・・・という彼の大切な人生の変換点でもありました。

 

今回、彼の一例を皆さまにお伝えしたく、あなたに書き取っていただきました。

あなたのご協力、ご努力に心よりの感謝をお伝えし、今日はこれまでといたします。ありがとう。

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