every word is just a cliche

聴いた音とか観た映画についての雑文です。
全部決まりきった常套句。

追記:ハービーとブッダ

2013-06-07 | Books
ハービー・ハンコックがヘッドハンターズで全米ツアーをしていた時のことです。
来る日も来る日も演奏&移動でメンバー全員ヘトヘトになっていたと。
しかし、ひとりベースの男だけ矢鱈と元気だ。
おかしいぞ。

herbie hancock cameleon live 1975



そこはジャズマンなんで「なんかやってるんだろな」とハービー。
バンマスとしては見逃すわけに行きません。演奏に差しさわりがないように……というのはもちろんのこと、チームで動くのですからちょっとした風紀の乱れが全体を狂わせます。

「おい!」と楽屋の扉を開けると「やぁ、ハービー。君もブッダを拝まないか。僕はこのお陰で毎日ハッピーだよ!」



BLACK OCTPUS
ベーシストの名はポール・ジャクソン。
これは日本企画で制作されたアルバム(当時はそういうの良くあったらしい)ですが、だとしてもあまりにもなオリエンタリズム。
"如くウネリまくるポールのベースとアルフォンス・ムーザンの極太ドラミングが鬼ヤバ!"なレア。グルーヴ名盤ですが、現行CD盤はないようですね。名盤なのですが。

Black Octopus


因みに彼には日本人妻との間にひとり息子がいました。
彼は後にラッパーとなり、アンダーグラウンド・ヒッポホップを牽引するMCとして将来を渇望されながら24歳の若さでこの世を去りました。
DJ KrushとBoss The MCが彼に捧げる曲を書いています。
DJ Krush - Candle Chant A Tribute feat BOSS THE MC



彼の名はラフラ・ジャクソン、享年24歳、当時渋谷にいたなら誰でも知っていた街の顔だった。

時間っていう舟は行き先は有限だ 動き続けている限りは、しかし止まった瞬間からが無限だ


↓ これはポールの奥さんがラフラの死後に綴った評伝です。ポール・ジャクソンのことは「顔もろくに知らない親父がヒップホップでも有名なドープなベースラインを弾いていたというのは複雑な思いだ」程度しか書かれていませんが。若くして逝ってしまった才能の片鱗を少しでも多くの人に知って欲しいと思います。

ラフラ、24歳の遺言―あるラッパーの生涯ラフラ、24歳の遺言―あるラッパーの生涯 [単行本]


コメントを投稿