every word is just a cliche

聴いた音とか観た映画についての雑文です。
全部決まりきった常套句。

ヒップホップ家系図 vol.1

2014-08-11 | Books
書こう書こうと思ってたら、どうやら品切れ&絶版みたいだしなぁとか棚上げになってたんですが、普及版が出るとのことなので書いておきます。




初期ヒップホップ黎明期のシーンのあれやこれ。ヒップホップがどのようなところから生まれたのかをアメコミで描いた作品なわけですが、これは本当に素晴らしいです。

まぁ正直(オールド・スクール)ヒップホップ入門書としては最適な一冊ではないかもしれないです。いかんせんコミックなので人物の相関図や社会状況など説明不足なところもあるかもしれないです。これはある程度知っている人であれば(例えば下記画像を見て何のことか分かる人なら大丈夫かと)。


HIPHOP FAMILY TREE

この本の面白いところは『ヒップホップ・ジェネレーション 「スタイル」で世界を変えた若者たちの物語』とか『ヒップホップ・アメリカ』のような資料性、体系だった知識という部分(これらも充分あるのだけれど)より、コミックというフォーマットであるが故に「あの時代のB BOYがどういう佇まいだったのか、どういう格好をしていたのか」というのが描かれていて(文章と違って全て絵にしなくちゃならないから)、それが堪らなくブロックパーティでヒップホップが育まれたあの時代の空気を想像させてくれるんですよ。


HIPHOP FAMILY TREE
この時代のB BOY/B GIRLを撮った『BACK IN THE DAYS』という写真集がありますが、おそらくアレに掲載されているB BOYSはフォトジェニックな人たちばかりですし、実際のシーンはあそこまできまってなかったと思うんですよね。
『ヒップホップ家系図』を読むとまだ成功する前のラッセル・シモンズが薄汚かったりと、イケてなかったボンクラが切磋琢磨してカッコつけていった様が伝わってくるようです(画のタッチもあるのですが)。

あの時代のB BOYが本当にこんな感じだったのか・・・という資料的な信頼性だと後述の本に敵わないとは思いますが、物語としてのヒップホップ黎明期を味わうにはこれ以上ない一冊でしょう。

正直「普及版が出るなら早く言ってくれ・・・」という気持ちも多少あるのですが、ともかく、これはヒップホップ好きならマストです(大型本だと保管に苦労するので、そういう意味でも普及版オススメ)。


【オールド・スクール・ヒップホップを知るための推薦図書】


ヒップホップ家系図 vol.1(1970s~1981)
エド・ピスコー
PRESSPOP INC
2014-05-05



ヒップホップ・アメリカ
ネルソン ジョージ
ロッキングオン
2002-07



ヒップホップ通史ということであれば、これが決定版かなと。

モハメド・アリ、エミネム、マルコムX、公民権運動、DJ、アディダス、MTV、ブレイクダンス、ギャングスタ・ラップ、ドラッグ、NBA、ローリン・ヒル、グラフィティ、ビル・クリントン、ヴェトナム戦争……『ロッキング・オン』誌上の大好評連載を単行本化。ヒップホップとは具体的にどうやって生まれ、どういう影響をもたらし、どこへ行こうとしているのか?――本書は音楽、ダンス、犯罪、映画、バスケットボールなど、サブカルチャーのあらゆる側面からヒップホップを解剖し、その本質に迫った一冊。



DJ、ラップ、ブレイクダンス、グラフィティ――これらの文化が、いかに生まれ、いかに世界を席巻するに至ったか? さらには、不当な国策、苛烈なギャング抗争、搾取するメディアと産業、人種間の軋轢といった中で、「公民権運動後」のマイノリティが、どのように生き、戦ってきたのか?


オールド・スクール時代のB BOY/B GIRLを撮った写真集。欲しい…。
Back in the Days
Ernie Paniccioli
powerHouse Books
2001-10-01



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