![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/89/f3a28cffc8f0ee93dc956bb5fa9b214d.jpg)
ゆか達の住んでいる王国には、王立の魔法学校がありました。
海沿いの防風林に囲まれた、静かな林の中にその学校はありました。
そこには、全国から魔女の血を受け継ぐと言われる人達が集まっていました。
王立魔法学園
ゆかは、王立魔法学園の卒業生である。
いまから始まる物語は、ゆかが学生時代のお話です。
琴月先生「みなさん、入学おめでとうございます。あなた達は、これから3年間、魔女になるために勉強をしていきます。私はあなた達の担任の琴月です。よろしくおねがいします」
生徒たち全員が、挨拶をすると皆、席についた。
琴月先生「まずは、魔女というものについての勉強を始めていきます。」
それぞれが、魔女について質問をはじめます。
生徒「先生、魔女というのは本当に血筋なのですか?」
琴月先生「いいえ、実は血筋というものは、魔女には関係ありません。しかし、血筋という事にしておきますと、国が魔女というものを管理する上で便利なのです。だれでも、魔女になられたら困るからです。魔法というものは誰でも使えてはいけないからです。」
すべての生徒は、国に管理された魔女という家系です。生まれた時から自分は魔女の家系に生まれたのだからと、先祖代々受け継がれてきた教えというものを信じていままで生きてきました。
先生のこの発言は全員が驚きました。
琴月先生「魔法というものは、不思議なものでもなんでもないものなのです。ただ、魔法というものは誰でも使えては危険なのです。だから、国がしっかりと管理しなければなりませんでした。魔法というものは使う人の心しだいで、良いことにも悪いことにも使う事ができるからです。だから、魔法の使い方は秘密にされなければならなかったのです。ですから、血筋をひく者でなければ、魔法は使えないと、すべての人に思い込ませなければいけませんでした。」
生徒「、、、、。」
琴月先生「みなさん、目には見えませんが、電気とか電波というものがこの世に存在しているという事はご存知ですよね?しかし、普通に生きている限り、自力で電気や電波が存在するなんて思いもしないですよね?目に見える事も、触ることもできません。存在していたとしても、目に見ることもなければ、存在しているということさえ知らなければ、それは存在しないのと同じ事になります。しかし、魔法は確かに存在しているのです。ただ、皆さん、魔法なんて漫画の世界、せいぜいホウキで空を飛ぶくらいにしかしりません。たくさんの魔女がこの現実に空を飛んでいますので、魔法とは空をとぶということだけと思っています。世間の人はそれだけを知っていればいいのです。魔女は選ばれた家系だけが使えると思い込んでいればいいのです。」
生徒「それでは、私達は普通の人間と何も変わらない存在なのですか?」
琴月先生「その通りです。魔法というものは、本当は誰でも使えるのです。皆さんはそれを知らないというだけのことなのです。そして、知らなくていいのです。」
生徒「それでは、どうして私達は選ばれたのですか?」
琴月先生「国家が魔女を管理するためです。家系として定義して戸籍を管理していれば、扱いやすいからです。つまり、あなた達は魔女として国の方針にしたがって働かなければなりません。魔女としての国家のためにしなければならない仕事があるのです。家系として管理していれば、裏切る事も逃げる事もできません。残念ながら、あなた達はそういう星の元に生まれたのです。残念ながら諦めてください。国家に背けば処分されてしまいます。」
生徒達「!!、、、、。」
生徒たちは初めて聞かされた、魔女としての存在、自分たちの存在する意味を聞かされたのです。
あまりにも怖い現実に、皆、怯え始めました。
生徒達「嫌よ!!そんなの嫌よ!!怖い、、、。」
琴月先生「皆さん、諦めてください。もう、逃げる事はできません。でも、大丈夫です。いくつかの仕事をこなしていれば、後はあなた方の家族と同じように普通に暮らしていけます。逆らわなければいいだけのことです。」
しばらく、教室は静まりかえりました。生徒達は自分の生まれた境遇を思い起こし、そういう事だったのかと諦めの雰囲気がたちこめる。
自分のお母さんも魔女なので、思い当たる出来事を、それぞれの生徒達が思い出している。
すると、ひとりの少女が立ち上がりました。
ゆか「冗談じゃないわ!!そんなの聞いてないわ!!」
怒りに声が震え、教室中に響き渡る。
何人かの生徒達は泣き出していた。
琴月先生「諦めなさい。これは王国の決まり。そして、この国に魔女の家系として生まれた、あなた達の定めなのです。私にもどうすることもできません。」
ゆかは黙っているしかありませんでした。
この先生だって、逆らえば殺されてしまうかもしれないのです。
ゆかは、ずっと魔女というものは、人々のお役に立つ立派なお仕事だと信じていました。
それなのに、あんまりな現実でした。
ゆかは、この現実をどう受け止めるべきか悩みました。
ほかの生徒達も同じでした。
しかし、魔女の真実は王国の運営のために利用するための人材として、国家に管理された存在だったのです。
それでも、私は立派な魔女として、そして自分らしさを失わないで生きるわ!!ゆかは心に誓った。
続く