京都市東山区轆轤町108-6 「ゆたか屋」 【1697】
京阪「清水五条駅」を下車し出入口⑤から川端通に出て、鴨川の東岸を松原通まで上り右折し、その約600㍍先左手に佇む、ベージュ色の総二階の京町家が目印の、おばんざい1本のお食事処です。
食レポの前に、松原通を向かう途中の、ちょうど三分の二のところに在る「西福寺(さいふくじ)」について少し触れておきましょう。
西福寺は平安時代初期に、空海が自作の土仏地蔵尊像を祀ったのが始まりと伝えられる古刹で、六道絵や風葬された死屍が朽ちていく様を描いた「檀林皇后九相図」が寺内に残っており、六道まいりの頃になると公開され、その時期多くの参拝客でにぎわいます。
古都探訪「六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)㉝」のコラムでもご紹介しましたが、この辺りは「あの世とこの世の境界線」に位置し、轆轤(ロクロ)という町名(髑髏の転訛であると云われる)からも、そのおどろおどろしさを感じることができます。
「六道珍皇寺・六波羅蜜寺」→http://orange.ap.teacup.com/applet/watch-dogs/msgsearch?0str=%82%A0&skey=%98Z%93%B9%92%BF%8Dc%8E%9B%81E%98Z%94g%97%85%96%A8%8E%9B&inside=1&x=56&y=7
さて怖い話はこれ位にして本題に戻りましょう。
店頭に掲げてあるメッセージボード。 ランチは「おばんざい定食」これ1本なんですよ!(なんとも潔いじゃあ、ありませんか)
格子戸を引き店内に入ると、時を重ねた漆黒の低い天井が、おやじの頭上に迫ってきましたよ。
店内はシンプルな装飾で纏めてあり、それらが裸電球の光によってぼんやりと浮き上がり、独特の趣きを演出しています。
何故かその雰囲気に似つかぬシャンソンのBGMが流れていましたが、時が経つうちにシックリくるから不思議です。
「おばんざい定食 1,000円」
思わず「オオッ!」と声を漏らすほど、インパクト抜群のおばんざいの数々で、更に「ご飯とお味噌汁はお代わりできますよ♪」って、お母さんこれじゃあ利益は取れないでしょう??
メインの良い塩梅の鮭の切り身はもちろんのこと、手の込んだおばんざいの一つ一つに箸をつけるのが、どんなに楽しかったことか! それら全てに京らしいメリハリのある、愛情たっぷりの優しい味わいがし、まるで家族でお昼を囲んでいるような錯覚に陥ったほどです。
これだけ手の込んだ料理をお母さん一人で切り盛りしているため、多人数での来店はお断りしているとのこと。 それもあってゆっくりと静かに「お袋の味」を堪能することができました。 ご馳走様。 また会いに来ますよ、お母さん!
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