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人村です!

舞台と結婚したと公言する「人村朱美」が綴る舞台生活 毎週火曜日更新・・・したいなぁ

今でしょ

2013年06月18日 | 徒然
 「時間よ止まれ、汝は美しい」とファウストはつぶやいた。そして次の
瞬間、地獄へ落ちた。何故なら、それは悪魔との約束だったから。

 ファウストが「瞬間」に向かって「とどまれ、おまえは美しい!」と
言ったら、その時ファウストは死に、メフィスト(悪魔)に魂をやらなけ
ればならない、という約束の元、ファウストの人生遍歴が始まるのだ。
(ゲーテの詩「ファウスト」を原案に作られたグノー作のオペラが『ファウスト』)

 とどまる今への希求(西洋)対、流れる今の享受(東洋)。
 
 「今」は、棚田に映る月のように無数だが、一つしか選べない。

 勇気をもって機敏に「今」を受け入れて生き、繋げてゆく。留まろうと
しない勇気。それが「今でしょ」を流行語にしたのか。

 私たちの心は、ゲーテが永遠や瞬間を詩にするズッと前から、今を
受け入れる感性で生きてきた。

 このことが意味するのは?

 もしかして、一度”総意”で決めた事を、途中で止(や)められない体質に
繋がってはいないか。
 途中で止めるという勇気の喪失。今を受け入れて流されるしかないのだ
という諦めへの転換。

 現代は、言葉にすれば美しい日本人の哲学的価値観を、諦めの体質に
すり替えてしまったと思うのは、私一人か。

 私たちが「決して止めない」と約束したのは、メフィストよりも強大な
悪魔の王・プルートーだったのではないか。

 「止める!」と言った途端地獄に落ちても、止める勇気を持たねばならない。
 
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