車止めピロー:旧館

  理阿弥の 題詠blog投稿 および 選歌・鑑賞など

里坂季夜さんのうた

2009年12月18日 | 八首選 - 題詠2009
里坂季夜さんの歌から8首。


085:クリスマス
厳かにクリスマスケーキを切り分ける昭和の父の右手の記憶

081:早
いつもより4時間早い快速に懐かしい顔 声はかけない

068:秋刀魚
ぎんいろの陽射しちいさな虹になる秋刀魚の腹にしゃぼんの泡に

051:言い訳
うつくしい言い訳ひとつおもいつく使ってみたい踏みはずそうか

043:係
生まれつき苦情係の道訊かれ顔らしいのでそれを愉しむ

040:すみれ
砂に蒔くすみれの種はたちまちに見えなくなって残暑夕暮れ

020:貧
悪いのは想像力の貧困であの子じゃないってやさしい詭弁

001:笑
悩みなどないのでしょうと笑われて明日もこんなかんじでいこう



1番。
悩みが無いわけじゃないけれど、そう見えないくらいがいっか。
ちょっとだけ前向き、プチポジティブ。
短歌で詠まれるポジ:ネガって、3:7くらいでしょうかね。
内省的な詩形では、みんなネガティブなことを呟くのが大好き。
でもやっぱりこういう前向きな歌は気持ちいい。
43番もプチポジティブ。

68番。
たしかに、魚って虹色に光って見えますね。
歌で読むまで、言語として意識に上ってこないことってたくさんある。
こういう風に細部を掬い取って詠めるか、というのも私の今後の課題。

コメントを投稿