日々徒然です

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神童との出会い

2013-05-01 00:45:49 | 小説
子供の頃、神童と呼ばれた。その神童も今じゃ、あいつに変わった。
俺は、あいつの演奏を聞いて直ぐに表舞台から姿を消した。俺はピアノを弾くのが嫌だった。
でも、名ばかりの講師をやっている。

あいつに出会って、変わったと言われた。同じ講師にも「最近、あの子の講師になりプラスになりましたね」と言われた。
教授が「君と引き合わせたら、君が気にするのではと思ったが。老婆心だったようだ。コンクールを楽しみにしてるよ」と言ってくれた。

「あなたの曲の優しさが好き、心に残る転調が好き」甘い言葉を投げかけられて俺は歓喜に満ちていく。
ピアノを弾いている君の近くに自然と寄り添う。
そのままベットに直行する。「あなたが欲しい」囁かれ求め合う。

君と一緒に居ると、音が漏れて仕方がない。
引き寄せられて弾きたくてどうしょうもない。指が熱を帯びてくる。
溺れるような、嵐のような、そんな中で身体を支える腕の力強さに、ひどく安心してしまった。